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◎【映画 レビュー 】ヒメアノ〜ル【2016ベスト候補 89点】◎

ヒメアノ~ル
日の丸2016年日本映画作品日の丸

2016年の映画ではトップクラスの衝撃を受けた!!
洋画好きの自分がこんなに邦画に興奮するとは思わなかった!!
さてさて全然気にしてなかったけど、公開後評判が非常に高かったので、こいつは行ってみようと鑑賞。
監督は『さんかく』の吉田さん。出演は、濱田岳とムロツヨシ、そしてジャニーズのV6の森田剛。
原作は『稲中卓球部』などで有名な古谷実さん。古谷さんはコメディのイメージが自分の中では強いが、よく考えると染谷、二階堂で園子温監督が映画化した『ヒミズ』も原作が古谷さんでダークでシリアスな作品だったわけで、コメディの人でもない。
そういうわけで『ヒメアノ~ル』。
フリーターの青年がバイト先で、変な先輩と交流を持ったことで、素敵な女性と知り合うけどもセットで殺人鬼になってしまっている高校時代の同級生と再会するわけ。
映画としては、その主人公の青年の岡田を演じるのは、濱田岳。変な先輩を演じるのはムロツヨシ。
この二人の間の抜けたやりとりとカフェ店員を織り交ぜた三角関係。
そして相変わらずの濱田岳の安定感のある童貞演技とムロツヨシの変な人っぷりが冴え渡っているが、それの裏側で描かれるもう一人の主人公の森田の狂気な日常が映画全体を底上げしていて、音楽でいうと低音が効いてるぐらい凄まじいパワー。
その森田を演じるのが、森田剛。もともと森田剛って悪役が似合う狂犬さが見える人柄だけど、今回でついに銀幕を彩る。
この森田が、いてもおかしくないし、誰かが描いていてもおかしくないのに今まで見たこともない悪。
いや正確には怪物。
悪とか善とかを超えた人間ではない怪物。
生きるために人を殺すような怪物なのだが、それを作ったのもまたまぎれもない人間で、そもそも彼が善人だったのに人の悪意に晒された結果、怪物へと変貌してしまった存在。
普通の人間のできる、金を稼ぐなどの活動ができない立場の彼は、野生動物のように人間の生物としての欲求を満たすためなら命などなんということでもない。
その怪物とのほほんと生きる20代中盤なのにアルバイトとして生きる夢も希望もない青年たちが織り成す群像劇が一気に身の毛もよだつ、サイコサスペンスへと変貌するのだった。
この二つのコントラストが凄まじく、終盤に混じった後の名作洋画張りの緊張感。凄まじい。
一方では、童貞を卒業して彼女の経験人数に拗ねてみたり、もう一方では人殺しの後始末に首を傾げたり。
映画も序盤というか岡田たちのやりとりはフィックスで明るく撮ってるのに、森田のシーンは基本手持ちであえてカメラを振らせている。
また森田が、これまで見てきた銀幕の殺人鬼と比較すると最強であり最弱であり、それでいて悲しい。
と非常に魅力的。
むしろいてもおかしくないぐらいのロジックをまとった存在であり、本当に悲しい。
また映画だと殺し方もエンタメとして派手にしたりして現実離れするが、本作は非常に生々しくシンプル。むしろ生々しくて誰にでもできるレベルのそれがみていて痛みさえも簡単に想像できてしまう。
前触れもなく、失踪して刺し殺す。何度もなんども刺して殺す。
あまりにも誰にでもできるような殺人を簡単にやる森田。それは人間の持っている道徳だとか常識がなく、まさしく違う生物へとなってしまった。それなのに司馬懿かかった演技を森田剛はするわけもなく、むしろちょっと間の抜けた口をぽかんと開けたり、狂気迫ったシーンなのに子供みたいな声で淡々と自己の狂った欲求を語ったり、人をレイプして殺した家でカレーライスを食べてたり。平然と嘘をつく。やばい。
恐ろしいが、見終わると悲しさだけが残る。
本作のすごいとこは、決して好きになれないヤンキー崩れの森田剛があまりにも悲しい存在に見えたとこ。
「俺たちの人生終わってんだよ」という彼の言葉と彼の細さ。そして彼の最後の言葉。凄かったなぁー。
また学生時代のシーンも本人がやったようで、いじめのシーンは素晴らしい体当たりぶりを感じる。
なんか日本の映画賞をあげてほしい。
映画として悪役がこんなに悲しく胸をしめつるとは。
また映画を見終わると日頃の仕事のストレスや日常の人間の煩わしさが、なんか無意味に思えて、人間の理論武装も圧倒的なシンプルな暴力一つで簡単に壊れてしまうんだとシンプルな気持ちになってしまった。
ただ岡田と森田の最初の遭遇と終盤の展開が噛み合わなくなっているのが残念。
メモ得点メモ
物語の面白さと上映時間 8.5/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 8.5/10
キャラクターの魅力 9/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 8/10
音楽 8/10
俺の趣味 10/10

タイトルがまさかの中盤でしかも一気にトーンを変えて出てくるのは驚いたぁ。ここから本編かよ!!って。
ムロツヨシの「俺は毎日、恋をしている」はインパクトある。
あと『SRサイタマノラッパー 2』で共演した二人が出てきてビックリ。あと山田真歩が森田に殴られてた時のあれにはビックリ。普段あんなの見ないよ!!まぁ因果応報感はある。
あとショッキングなシーンが山ほどある。
でも久しぶりに怖すぎてやばい映画見たなと。
89
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