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◎パンズ・ラビリンス 2011年度46本目◎

「なかなか真面目にスペイン内戦と少女の薄幸からの幻想を描いておる。」

$A Little his REDEMPTION.~season Ⅵ~-パンズ・ラビリンス

国旗メキシコ、スペイン、アメリカ共同制作スペイン
監督
ギレルモ・デル・トロ
(ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー、ブレイド2)
予告編

ヒツジあらすじヒツジ
物語は妖精たちの逸話から始まる。その世界は地底にあった。その世界のお姫様は好奇心が旺盛で、地上の世界に行ってしまいました。その結果お姫様は大人になりだんだんと地底の世界のことを忘れてしまい、彼女は歳を取り死んでしまいました。ですが地底の世界の王様は、彼女の魂がいつかこの世界に戻ってくると信じていました。
物語は1944年のスペインに移ります。その頃のスペインは、フランシス・フランコという人物が独裁政治を行っていた。
内戦で父親を無くしたオフェリアは森にある母親の再婚相手の独裁政権の大尉ヴィダルの指揮をとる砦に同行することになる。母親のカルメンはヴィダルの子供を身ごもっており、山奥への移動は心身疲労をさせるものだった。
オフェリアは妖精の物語を愛しており、山奥への道中で見つけた大きな虫を妖精と信じており、またその虫も彼女のことを気にかけていて、彼女についていくのだった。
そして砦についた彼女達だが、ヴィダルはオフェリアやカルメンのことよりも自分の子供のみに執着し、彼女らのことなどどうでも良かったのだった。
またカルメンもヴィダルの動向を第一に考えており、オフェリアのことを気にかけていなかった。
そんな中オフェリアの面倒を家政婦長であるメルセデスだ彼女は家政婦の中では少し若くパワフルだった。
その夜オフェリアのもとにあの虫がやってくる。虫は姿を変え、本物の妖精のようになった。
オフェリアを導いた妖精は、砦の迷路と言われる場所へ導き、彼女をある遺跡に連れて行く。
するとそこに羊の姿をした化け物が現れる。彼の名前はパン。
そしてパンはオフェリアが地底の国のお姫様であることを察知する。
だが本当にお姫様であるかを証明するには試練を越えることが必要であった。
オフェリアはパンから試練とそれに必要な道具を渡される。
そしてヴィダルは二人の農夫を惨殺した。この砦にも反乱軍のゲリラが銃口を向けていることは明白だった。
オフェリアは試練をこなすとこが出来るのだろうか?またゲリラとの戦いはどうなるのだろうか?
2011年7月11日鑑賞
ヒツジ感想ヒツジ
ギレルモ・デル・トロの監督脚本を担当した映画です。
筆者は彼の監督した映画の中では、ヘル・ボーイ/ゴールデンアーミーが大好物で、映画館に行って、おかしなシーンで泣いてしまいました。(笑)
映画の知識の無いままブレイド2も普通に見たりしていましたが、本作はそのギレルモ・デル・トロを世界的な名声を手にさせた極めて真面目な秀作でして、2006年のアカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を獲得、勿論脚本賞や、外国語映画賞もノミネートしています。
その他の映画祭でも絶賛され、今までゲテモノ映画(デビュー作はミミック)を作る事に拘っていた監督ですが、BからAランクの監督へと変わりました。
ただやっぱり個人的には、本作よりもご褒美で作られたようなアメコミ映画、ヘルボーイ/ゴールデンアーミーの方がぶっ飛んでいて、それでいて怪物への愛を感じられて好きです。
まぁーとりあえず、ギレルモ・デル・トロはティム・バートン監督などと同じく、人間より異形のものが好きな、そういう特殊な監督のようです。(ゴールデンアーミーでは人よりも怪物の方が多く登場する。)
そういうわけで本作の感想。
正直本作のことを筆者は、名前と名声だけ知っていた程度で、実際に本編を見てみるとかなりの違和感に満ちた映画だった。これは恥ずべき事だけど。
まさかファンタジー要素が7:3でゲリラとの内戦要素が多くを締めるとは思わなかった。
また筆者はとりあえず、映画全てを吸収するために、映画の表層部分を追いながら鑑賞したけど、驚いたな、本当に、もっと幻想的な世界が繰り返されると思ったけど、えぐい現実がひたすら続き、しかもそれを真剣に描いていて、ファンタジーの余地があまりなく、オフェリアの負の感情の行き場としての幻想という、実に真剣な映画になっていた。
また映画自体は彼女の視点で作られていて、幻想自体が虚構という一辺倒な描き方はせず、幻想自体は実際に存在しているように描いている点も個人的には良かった。
確かにオフェリア以外には、存在しない世界、つまり虚構だと思うが、本作では彼女の視点を強く描いているので、存在は確かにしていると思う。
なのでラストシーンの受け取り方は彼女の幻想と、本当に彼女は姫様に戻れたという話の2パターンの解釈も出来ると思う。ちなみに英語版のプロットだと見事に彼女は姫様に戻れたという結末になっている。自分的にもそっちの解釈で本作を鑑賞終了したが、実際のところは何とも言えない。
そのおとぎ話に魂を染めた主人公の夢と苦しい現実の板挟みと見ている側のおとぎ話を信じるか信じないかの瀬戸際の観客たちの視点に委ねた極めて特異な作品だ。
そういう絶妙なバランスで作られた脚本は見事だと思う。
部分的に本作の感想を書いていこう。
冒頭からの森描写で本作には、他の映画と一線をかく程、大量にハエがいる。いきなり虫視点でカメラが動いたりとやはり監督の異形を愛する姿勢は見事で、それを映像作家として優れた技術で映像として納めている。その点から優れた映画だと思う。
また幻想として数多に存在する怪物のディテイルが凄い。パンもだが妖精も、特にはペイルマンの垂れたお腹や、妖精を食いちぎる様など。(笑)
脚本に関しても、オフェリアへの試練の童話性の強さと妙に本気なゲリラとの戦争。
正直言えば、どっちかで筆者は良かったけど、本作の場合そのどっちもが上質に仕上がっているのが驚きだ。
確かに比率はタイトルの「パンズ・ラビリンス」に比べておかしいとは思うけど、(まぁーその現状こそラビリンスなのかもしれないという拡大解釈もある。)ゲリラ要素が普通に面白い点でカバーされているとも思うんだよな。
それでも少し、浅い展開もある。
オフェリアのつまみ食いはちょっとありきたりだったのと、終盤でもう一度パンが来るあたりはご都合的だと思われる。だがその終盤のパンが来る件こそが、オフェリアの妄想だと筆者は思っていて、それまでは本当にそういう世界にオフェリアが交流を持っていたのだと思えた。
そしてその妄想で最後のラストシーンもまた彼女の妄想で終わるという、短めだが、「未来世紀ブラジル」的なものだと思えた。
ヴィダル大尉は見ている最中は大した事なかったけど、見終わってから考えると良かったな。
特に口が裂けて縫うシーンはもっと注目されるべき、かなりのバットマン要素もあると思いますよ。
そういったふくらみや、先ほど言ったラストシーンの厚みが良いと思います。
ですが、正直言えば、もう少しファンタジー要素が欲しかったのと、「パンズ・ラビリンス」なのにパンが全く出てこない、ゲテモノぶりなどなど、少し物足りない感もゴールデンアーミー好きとしてはあった。
でも本作は名声を得るには十分な出来だったし、一見の価値のある映画だと思いました。
メモ得点メモ
8
コアなファンがいそうで怖いけど、そのファンの解釈もぶつかり合いそうで怖い。
とりあえずゴールデンアーミーが好きです。
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ブルーレイが無いのが非常に残念。海外版ならブルーレイあるけど、字幕は無さそう…。あとジャッケットがラストシーンなので、本当はもっと暗くて内戦だらけのドラマメインです。

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