◎楽園追放 -Expelled from Paradise-「楽園というマトリックス」85点◎

「ロボットアニメとしても面白い！」

2014年日本

監督
水島精二
脚本
虚淵玄
口こみで評判だったので、見たら面白かった
『ガンダムダブルオー』や『鋼の錬金術師』の監督、水島精二と『魔法少女まどかマギカ』『サイコパス』など脚本の虚淵玄が生み出す、未来の地球を舞台にした地球を出てマトリックスのような電脳世界に生きる人類と、破滅して旧文明化した人類の希望と尊厳の物語。
東映が制作元というわけで、『仮面ライダー鎧武』つながりで虚淵玄は脚本やったのかなぁーなんて思ったり。
ちなみにフルCGアニメなわけで、ディズニーとかのようなデフォルメされたキャラではなく、8頭身ぐらいのキャラクターが動く。
近年だと『サイボーグ009』のアニメ映画に近いと思う。
制作が違うので、関連づけられないわけだが、無関係だと思うが、東映は『キャプテンハーロック』や『聖闘士星矢』のフルCGアニメを作ったが、こっちとは作風が違いすぎる。
2400年の人類の姿に感動した
人類の98%は自らの肉体を捨て、大気圏近郊にある宇宙空間にコロニーを作り、そこにHDDを通して、電脳空間にアバターを置き、生活をしている。
もはや、体というものを捨て、意識体だけで生きる人間たちの姿に感動をしたのだが、その先にある、虚淵玄らしい根拠のある肉付けされたがんじがらめの世界設定もまた良い。
任務に赴く為に、マテリアルボディという義体を使って地球に降り立つ設定だとかもすげぇ。
ネット世界の表現の仕方でいきなりフルヌードにはびっくりしたものの、映像表現の巧みさがよかった。
旧文明となった地球での任務については、まぁーよく見る光景だが、
ディンゴがどう見ても『テイルズ・オブ・エクシリア』のアルヴィンだったんだが。
ただ、よくある虚淵展開で、実は世界はこうでした、お前らのやっていることは世界の滅びを加速させてるだけで、主人公は犠牲にならないといけない。
みたいな感じにはならず、希望をもたらせてくれる物語展開に、そう言った旅を通して、電脳世界に生きてきた人間が、人として大事なものを知り、違った価値観を持ち、違う行動に出るというかなり綺麗な脚本で、見ていて安心した。
ロボットアニメとしても素晴らしい
調べてみると『イデオン』『マクロス』でミサイル演出を生み出した板野さんが参加している。
そこに『ガンダムダブルオー』での戦闘描写なども相まってか、ロボットの戦闘シーンがとてもグルグル動いてすごかった。
正直、ロボットが活躍するアニメではないと思っていたので、これは青天の霹靂！！
しかもコンテナを大量に投下して、移動しながらフル装備で戦うという玉切れ無縁の最高の展開。
戦闘開始冒頭から『マクロスプラス』のゴーストを彷彿させる無人戦闘機が出てきたり、超巨大レールガン出てきたり、宇宙戦だったり、地球でのミサイルやらなんやらの市街戦でグルグルしたり。
キャラクターの台詞も相まって非常にエキサイティング。
これは、スパロボに是非とも参戦してほしい。
釘宮理恵やばいっすね。
これまで釘宮理恵さんのツンデレキャラを拝んだことなかったけども、これはすごいね。
なんか設定がうまいことなってて、任務の為に義体の成長を16歳で止めて、その結果出世欲の高いロリツンデレの完成で、相当ツンツンしててすごかった。
叫ぶシーンとかかっこいいし。
でも歌い出したり、仁義っていうのはダサかった。
神谷さんの声も素敵だった。
皮肉のある社会批判
電脳世界で全ての人間は旧文明よりも最高の体験ができるようになった。
なぜあなたは旧文明で生きる？
その問いに的確に答えを出せるあたり、やはり虚淵玄さんはすごい。
マトリックスのような世界、ユートピアにも結局は、優れた人間だけが、幸せを手に入れることができて、能力の低い人間は存在を消されてしまう。どこへ行っても競争社会。意識だけの人間になっても結局は資本主義のように働いて働いて働き続けて、自分の居場所を確立しなければならない。
儚いぜ人類、というか日本人。
さらには電脳世界では、本当に自我が保たれているのか？それこそ自分という意思は誰かによって生み出されたプログラムなのかもしれない、曖昧さもあるなか、逆に人工知能が、独自の考えを持つことで、人類となんら変わらないものであり、むしろより人類に近いものになっていくその対比も良い。
旧文明とマトリックスの対比にさらに、外宇宙への冒険という３用の姿の対立に自分は胸がほっこりした。
脚本も奥深く、映像も刺激的、ロボットアニメとしても最高だったし、上映時間もそんなにない。
これは良いです。
ただアンジェラのおっぱいがやたら揺れたり、無駄に服装がセクシーだったりと無駄にセクシャルです。この手のアニメ好きな人へのサービスですね。
オススメです！！
得点
物語の面白さと上映時間　8.5/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ　8.5/10
キャラクターの魅力 8/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 9/10
音楽 8/10
俺の趣味　8.5/10
85点
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