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★6才のボクが、大人になるまで。「2時間45分の心の旅」 96点★

「映画史に残る映画という瞬間の時間旅行」

6才のボクが、大人になるまで。
アメリカ2014年アメリカ映画アメリカ

6才の少年がアメリカのヒューストン近郊で18才になるまで

2時間45分の時間旅行

『ビフォア・サンライズ』シリーズのリチャード・リンクレターが描く、12年間の歳月をかけて生み出した映画史に残る一本
『ビフォア・サンライズ』というヨーロッパ旅行中の男子学生とフランスの女子学生が出会って、ただお喋りするだけの映画があった。
それは、本当にお喋りだけで、映画が終わる。
おれはこの映画が苦手だったが、その映画は、9年の歳月を経て、続編が生まれた。全く同じキャスト全く同じ歳月を経た同じキャラクターの『ビフォア・サンセット』に続く。
そしてそれから9年『ビフォア・ミッドナイト』が生まれた。
映画は18年の成長と変化をたった1日の会話という形式で映画を捉える。
すごい精神でシリーズを生み出したリチャード・リンクレター。
その彼が、新たに生み出したのは、実際に12年という歳月をかけて、6才の少年が18才になるまでの成長を描いた劇映画。
毎年たった数日間の撮影をして、ワンシーンを作り上げる。
それを12年繰り返し、そして物語を紡ぐ。
ビフォア・サンセットは18年で3本、本作は12年を一本だ。
ある種、ドキュメンタリー映画のような記録性を感じるが、この映画は違う。
あくまでも作品にストーリーが存在し、配役が存在する。
メイソン少年とその母親と姉と父親。
この4人の12年間の作り話なのだ。
この手の幼少期から成人までを描く映画は、いっぱいあるだろう。『フォレスト・ガンプ』だってそうだ。
しかし、本作はたった一つ違う、それは、本当にキャラクターたちが、成長して、徐々に大人になっていく。特殊メイクなど存在しない。
その1年の中に生きているメイソン役の本人の1日を切り取りつつも映画として機能をしている。
なんとも野心的な作品だ。
リチャード・リンクレターはやばい。
思えば、近年見た『バーニー/みんなが愛した殺人者』でも、他の映画とは違うものがあった。
この映画は、実際に起きた殺人事件を基にした作品なのだが、主要キャストは俳優であるが、他に出てくるエキストラが実際に、バーニーという人間とコミニケーションをとった実存する人物たちで、その彼らが、演技というか、インタビューに答えるように出てくる。ドキュメンタリーに近いすごい映画だ。そういった映画を普通の枠組みに捉えることなく、斬新な側面からアプローチを続ける監督が、リチャード・リンクレターだと思う。
『ビフォア・』シリーズでもただの会話のみで、映画という動的な出来事がほとんど描かれず、コミニュケーションのみを描いて、それを18年の歳月をかけたプロジェクトにして、恋愛というテーマを解体し、独自の解釈で映画として講じてくれて、見る側に鮮烈な印象をあたえてくれる。
『バーニー』だってそうだ。独自の切り口と、殺人者である男の悪ではなく、善を捉え、そしてその男の顛末を描く、そこには解体と切り口があって、解釈とテーマがあると思う。
そして、リチャード・リンクレターが現在、そのバーニー本人と暮らしてるとかいう噂も聞いたのだが…。
更には、自分は見ていないが、『スキャナーリー・ダークリー』もまた独自の手法で映画にした作品。実写映画をアニメに変えたような作品。
それでも『スクール・オブ・ロック』のようなゆるい映画も普通に作っているんだから、本当にやばいよこの映画監督は!!!
そもそも12年間も映画監督っていう仕事をできてこういうものが作れるってすごい。
映し出させる12年という実際の変化。
この映画のすごいとこはやはりここ。
12年という歳月で、少年から大人の男になっていく、メイソン。
脚本はあると思うが、中盤にかけて、思春期に入ったあたりからの言動の違い、人間という生物の奥深さを感じさせてくれる。
当然といえば、当然だが、こんなにも言動も変化してしまうのか。
途中からは、思想と思えるものも介入してきて、映画作りの一貫したテーマとして着地地点へと向かっていく。
この12年間は、アメリカや人間に対しての皮肉とも思える。
映画は、他のエンタメ映画に比べたらアクシデントが少なすぎるとも思える。
根底にあるのは、アメリカ、ヒューストンの一瞬を切り取ること、ヒューストンの本当の姿をそこに収めることも目論見としてあるだろう。そこにはアメリカに対する絶望感だってあると思う。
冒頭からシングルマザーの母親が、再婚しては離婚することを繰り返し、更には元夫ともコミニュケーションを取ったり、アルコール依存のキャラが出てきたり、元米軍の帰還兵が出てきたり、自由人だった元夫が、カトリックな人と再婚して、昔の面影を無くしてしまったり、絶対そこきょうわとうだろ!!って感じ。
そのアメリカという国の持つ、日本とは違う変化と生きづらさを感じさせてくれる。
またその変化にさらされながらもメイソンも変化というか成長をしていき、徐々に世界に対して味方を変えてくれる。
その見方は、アメリカの凡人とは違う、映画の主人公としての、違う姿であることは言うまでもないのだが、その姿に26才である自分以上の言動力や行動力、これまでの体現を見て、自分自身の方が、まだまだ知らないことも多いし、子供であると辛い気持ちになってしまったことは言っておきたい。
一瞬
映画は、一瞬を切り取っている。一年のある瞬間という一部を描いている。
鮮やかに進んで行く。
だが主人公は、思いの外、アート野郎へと変貌していく。
その彼が、仕事としようとしたものが、カメラであるのは、やはり映画のテーマのせいだろうか。
その瞬間を切り取られてきたメイソンは自らもまたその一瞬に見せれていき、カメラに没頭する。
その姿は、ある意味メタ的であるが、その分、映画は彼の見える世界の違いに彩られ、どこか違う世界を旅しているような。
だがそれは、映画のラストで、一貫する。
その一瞬は…。
イーサン・ホークが出ていることがやばい!!
『ビフォア』シリーズ同様にイサーン・ホークが出演。
これが良い!!
映画を彩っている。
導入として、時間というテーマに実績と前例のある俳優が、出ていることで安定感があるし、やはり一人だけ、プロジェクト慣れしているせいか、演技力が違う。
見ていて安心できるし、彼の顛末もまた良い。
あと終盤の母親の叫びがやばい。
あれ言われちゃうと、人生ってなんなんだろ?とか深淵にむかうわ。
映画というか旅行のような。
少年から大人になるまで、原題はboyhood、大人になるまでの道を迷っているような、なんてことのない日々をただ進んでいるのに、そのどれもが違う瞬間で、どれも同じものの繰り返しではない。
辛いことが、あろうと楽しいことがあろうと、喜びと悲しみはいつも存在して、いつも共存して、その一瞬の中にあって、人生とはなんなのか?その答えの糸口を4人のキャラクターの成長で描かれている気がする。
最後の最後で18歳になったメイソンと18歳の女が、語る言葉は、されど18歳というまだ人生の中盤の一つの人生に対してなんだろうな。
そしてその直前で父と会話するメイソン。
父の話に「重要なことわ?」と聞くが、「そんなもんねぇ、話したいことを話すだけさ。」ということもまた人生の解釈なんだろうな。
映画としては話を終えるための落ちを用意したわけでなく、人生という旅行の途中で、縛られない思考が許される少年から大人になるまでの大切な期間を描く。
一度しかない旅行、一瞬を大事にしろと言われるけども、一瞬はいつでも僕らの中にある。
もう一度自分の人生を思い返して、後悔するもよし、いい人生だなと思うもよし。
ちなみにおれの人生はなかなか低レベルで、面白みがないです。
本当に支離滅裂な記事になっちゃったな。
メモ得点メモ
物語と上映時間 9.5/10
映画の奥深さと世界観 10/10
キャラクターの魅力 9/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 10/10
音楽 9/10
俺の趣味 9.5/10
映画の冒頭とか荒削りな低予算な感じあったような。
あと継父って必要なのかね?あれはやっぱりアメリカのアルコール依存問題と離婚率の高さを皮肉っているのかね?
音楽のセンスはいい。基本インディロックが主体で、ヴァンパイアウィークエンドとかをアレンジして流したりしている。あとその年の流行った曲とか地味に流している。
冒頭がコールドプレイのイエローでラストがアーケードファイアーということで、時代を感じる。
冒頭から商業的成功を感じさせるポップさがあったのに最後には、インディロックでアートで、手を休めることを解くわけですか。
でもなんだろうこの宙ぶらりんな気持ちわ。
子供なんだなまだ俺ってやつは、あんなに雄弁物事を語ることもおれにはできやしない。
あと15歳から17歳ぐらいまでメイソンくんの目が曇っていたのはなぜだろう。笑
これもまた多くの人に語ってもらいたい作品。
96
今年はすごい映画が多すぎる!!

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