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☆哀しき獣 2011年度137本目☆

「バイオレンス且つエンターテイメントisコリアムービー」

$A Little his REDEMPTION.~season Ⅵ~-哀しき獣

韓国2010年韓国制作韓国
監督
ナ・ホンジン
(チェイサー)
斧あらすじ斧
現代の中国、そして韓国が舞台の物語。
中国の延辺朝鮮族自治州、中国ロシア北朝鮮に面する特異なばしょであるここでは多くの浮浪者がいる。多くの民族がひもじく生きてのたれ死んで行く。
朝鮮族の男グナムは、タクシー運転手だが、彼には多額の借金があった。
彼には娘と妻がいるのだが、妻は韓国に出稼ぎに行く為に密入国料としての高額な料金が必要だった。
その為に多額の借金をしたグナムだが、妻は韓国に行ったきり連絡もなく、決まった入金日にも金を送金さえしなかったのだった。
韓国に出稼ぎに行った女は、だいたい浮気して帰ってこない。それが至極当然。
借金と連絡のない妻の浮気に心を病めるグナムは、稼いだ少ない金を片手にレートの高い賭け麻雀に日夜行き、全てを失ってしまう。
ある日、ストレスの限界に達したグナムは、そこで大暴れをしてしまう。
それに目をつけた男がいた。彼の名は、ミョン。表向きは犬のディーラーさが、裏の顔は裏社会に生きる男だ。
ミョンは、グナムに会いに行き、借金の話を帳消しにする代わりに韓国に行き、1人の男を殺してくるように支持する。
考えた末、それを行うことを決めたグナムは、韓国へ密入国するのだった。
劣悪な状況の果て、入国したグナムは、殺人計画を練りに練る。そして韓国にいる妻を探すべく情報収集を行う。
期限が迫る中、彼の犯行の計画も全てが上手く行くように思えた。
だが犯行予定当日、思いがけない出来事が起きた。
それは、標的の側近自らが、標的を暗殺したのだった。
とりあえず殺した証拠だけ手に入れようとしたグナムだったが、側近に見つかってしまい、側近を殺してしまい、また標的の家族に見つかってしまうのだった。
警察がやってきた中、グナムはその場から逃走、グナムは韓国で指名手配されるのだった。
標的を暗殺したのは、ミョンとは全く関係ない組織だった。
組織は、グナムが事件の真相を知っていることを考え、グナムを暗殺すべく追っ手を派遣する。
またミョンへの暗殺も考慮するが…。
グナムは中国に帰るべく、集合場所に向かうが、それは偽の情報だった…。
グナムは、妻を捜しながら、中国に帰るべく、そして追っ手から逃げながら必死に立ち向かうのだが…。
2012年1月26日鑑賞
斧感想斧
『チェイサー』の監督最新作!!
知る人ぞ知る韓国映画『チェイサー』のナ・ホンジン監督の最新作が2年越しの日本公開。
出演は前作の善と悪を演じた二人の立場を入れ替えての再出演。(これはすごい)
ちなみに『チェイサー』は日本では小規模での公開だったと思うが、韓国では特大ヒットされ、韓国のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞を受賞したかなり優れた映画ということが判るだろう。
また有名な話としては、ハリウッドでのリメイク権が既にレオナルド・デカプリオによって購入されている。(スコセッシが撮るのか?)
そんな監督の最新作がようやく制作されたわけだが、なんとアメリカの20世紀FOXによって出資されるという驚きの展開。そしてナ・ホンジン監督自身がアメリカのハリウッドで本作をリメイクすることが確定しているというなんだか凄過ぎる製作背景がある。
同じアジアに住む映画好きとしては、嬉しいし、やはり韓国映画は凄いなぁーと近年の日本映画を見ていると思ってしまいますね。
また監督が実際は長編2作目なのにここまで世界が賛同するということは、凄過ぎる。どんだけ金の卵なんですかね!!
そんな『哀しき獣』原題は『黄海(中国と朝鮮半島の間の海』は、2時間20分という長編作品であり、章構成となっており、なかなか親切で分かりやすい構造になっているのですが、どうやら日本公開、いや世界公開版は監督自身で再編集した方になっているようです。(え?)
韓国公開のオリジナル版とは描かれている部分が大部少なくなっているようです。凄く残念。
その比較サイトがアメリカにあるらしいですが、筆者はまだチェックしていないのですよね…。
『哀しき獣』オリジナル版と海外版比較サイト(英語)
ちなみにオリジナル版は156分。世界公開版が140分、アメリカ公開版が136分。
自分が見たときも、グロ描写が白黒に改変されたり、首をかっ切られるシーンは画面が真っ暗になったりしていました。
このグロ描写がすごい(2012年his内)
韓国映画と言えば、グロ描写!!というかなりおかしな曲解をしている筆者であるhisであります。
勿論『チェイサー』でも凄かった(確か18禁かな?)描写、新作で同監督と聞いて、期待しないわけにはいかない。
いや、相変わらずの生々しいグロ描写。今作では、包丁と小振りな片手斧が大活躍、凄過ぎて、一部修正済みです。
生々し過ぎて、ちょっと目を背けたくなりますが、それが本作の醍醐味でもあるわけですよねー。
というわけで、映画の内容を踏まえた感想です。
タクシードライバーの大冒険
貧困街で生きるグナムさんは、ただのタクシー運転手でした。中国人なんだか、朝鮮人なんだかよくわからない立場の彼は、国籍も怪しいです。出稼ぎに行った妻は音信不通。借金地獄に苦しむ彼に手を差し伸べたのは、今すぐ行きたい韓国への切符と暗殺の依頼だった。
一端のタクシードライバーだった主人公は、決断して韓国へ渡るのだが、それはダークな救いの無い大冒険の幕開けだった。
フィルムノワール
正直言えば、序盤は結構眠かった。
しかし舞台を移した繁華街の韓国で、一気に目が覚めた。章構成の面白さもあるかもしれない。
ありきたりかもしれないが、韓国への密入国の後、舞台は韓国に行く。
そもそも韓国映画だってのに、なんだって彼は韓国にいないんだ?とか思ったりしたのだけど、この映画の描いているのは純粋なサスペンスに留めようとせず、少なからず中国の延吉に暮らす朝鮮族という民族へのスポットライトを注ぎ、多くの朝鮮民族が苦しみながら生きていることにも焦点を合わせているわけだ。
舞台を北米に移すとメキシコ系アメリカ人みたいな?
社会派感を含んだ設定、そしてさりげなくラストシーンを感じさせる描写がここに置かれている。
この点でもなかなか上手い脚本だと思う。(褒め過ぎだな。)
そして妻を探す日々と、殺人の準備の情報収集やリハーサルなど。
この時点で筆者は映画に引き込まれている。
また多額の予算のおかげか、そのリハーサルや情報収集の描写がかなり細かい。またちょっとしたコメディも盛り込んだりしてくれたり、韓国映画界の実力を見せつけられる。
そして最初のハイライトである、想定外の殺人事件。
人が良過ぎたグナムは(むしろ可愛い)、そこで事件に巻き込まれ、また犯人として勘違いされて警察に追われるはめに。
このシーンがすっごく面白かった。ただのタクシードライバーの主人公が急に事件の重要人物になってしまい、またビルの4階ぐらいから脱出を試みる展開なんだけど、階下には警察が迫っていて、ビルの間を巧みに移動して、多くの窓を突き破って、地べたに着いたら、本気ダッシュ。
筆者は本気ダッシュのある映画はとても大好きです。(『M:i:Ⅲ』とか)
このシーンではカットがとてもうまく、パトカーが追いつきそうに思えて、微妙に追いつけないそんなハラハラ感がやばい。
また『チェイサー』同様、警察の無能感がここでも描かれている点は、前作を見ていて楽しめた点です。
登場する第三勢力
警察に追われる主人公。
しかし追っ手は警察に留まることはなかったのだった。
主人公の標的を殺すのを依頼した通称プレジデント(バス会社の社長)の存在が映画内で明るみになる。
結果的に主人公は第三勢力にも追われることになるのだが、しかしプレジデントは手を出しては行けないものにも手を出してしまうのだった。
眠れる獅子が目覚めた
お気づきの方はいると思うが、本作は前作の主役二人が立場を入れ替わり主役を演じている。
前作で元刑事のぽん引きは、今作ではミョンというグナムに殺しを依頼するキャラをそして、前作の狂人がグナムというわけだ。前作の面影を全く感じさせないグナム役の人も凄いのだが、逆に狂人を演じきった前作の主役はもっと凄い。
プレジデントはグナムを雇った殺し屋を殺すべく部下を派遣するわけだが…さすがの延吉出身の悪党、ミョンさんにとっては、寝込みを襲われても問題無し。(笑)
獅子が目覚めた。
このミョンさんは、起こしては行けない狂人だったわけだ。部下(女中?)と手際良く死体を片付け、お気に入りの小振りな片手斧を片手に、プレジデントの情報を得るミョンさん。
いやミョンさんすごいよ。すっごいバイオレンスエンターテイメントキャラ。
そんなわけで、プレジデントはあっさりミョンさんに首根っこ掴まれるのでした。(笑)
主人公のグナムは、無能な警察を尻目に逃走。
ここでも多くの警察無能描写が横行しています。(笑)
前作では追いかける人を描いて、今作では逃げる人を描くのだから上手いよねー。
その魂の逃げっぷりが凄く、一端のタクシードライバーの哀愁があったりと楽しい。
しかも帰れないというお決まりの展開。
やや驚きには乏しいが十分エンターテイメントとして面白い。
そこからは、主人公の行動は皆さんが予想できると思うし、前作の『チェイサー』を見ていれば、主人公が更なる悲劇に見舞われるのは重々承知でしょう。
そうなってくると映画として新鮮で面白いのはやはりミョンさんなわけです。
ミョンさんがとりあえず強いし、純粋にやばい。
帰ろうとして密航しようとした主人公、しかしその船は中国じゃなくて日本行きだった。
その場から逃げるグナムだが、ミョンさんたちと遭遇。
警察がいるのにミョンさんたちは、門をくぐりグナムにダッシュ。
ここもすごく面白いシーン。
またもや密室でのあくしょん!!
ミョンの部下達との攻防。勿論皆片手斧をお持ちですよ。チーム片手斧!!それをぶんぶん振り回している。怖いし滑稽だけど面白い。
ミョンさんは歩きです。
そして追いついたミョンさん。逃げるグナムは、船の甲版から飛び降りる。そしてミョンさんは斧を投げる!!(笑)
そんで部下に追いかけろと命じて、陸から移動する部下にあきれたミョンさんも船からダイブ!!(笑)
これが1シーンに盛り込まれてるのが凄い。
この先はよくわからないカーチェイスがあります。
ミョンさんの振り切ったグロ殺戮や、ぼこぼこになっても不動っぷりは見事過ぎるキャラクターです。
最終的には、プレジデントの下に単身、包丁と片手斧を持ち乗り込むのです。
その仁王立ち具合は『ダークナイト』のジョーカーに匹敵するかっこよさだし、名ヴィランだと思います。
凄かった。
そういうキャラが出来ている時点で本作は良作だと思いますよ。
また主人公がグナムであるにも関わらず物語の登場人物の関係が映画が進むごとにかなり入り組んでいて、色んなキャラクターが濃密に絡み合い、物語が非常に面白くなっているのも凄く良かった。
ラストはかなり無情でやるせないが、それもだいたいは予測がつくだろう。
しかしその無情感が妙に気持ちいい。また事件の起因の理由がまた子供っぽいのも『チェイサー』からの何かを感じさせてくれる。
映画はエンターテイメントだ。
そういうことで本作は多額の費用を用いた韓国製フィルムノワールの娯楽作品として逸脱した作品に仕上がっている。
しかし本作は最初にお伝えした通り、韓国公開のオリジナル版とは15分も短くなっている。また更に加えられたシーンもあるという。
本作を見ていて思ったのが、シーンまるまるどっか行ってしまったシーンが確かにあって、かなり違和感を感じた。それはミョンさんが隠れ家で眠りに着く寸前で何かを思い出して行動をするシーンなのだが、そこからが無くなっている。謎だ。
あとオリジナル版はエロ描写が多いのと、ラストシーンがちょっと長いらしい。
アメリカ公開版はもっと短いらしいが、カットするなら最初の方だけにして欲しかったが。
まぁー本作はなんだかんだで1年以上前の映画なので、韓国版を手に入れることがもしかしたら安易に出来るかもしれない。良かったらチェックして欲しい。日本のDVD化に際して、オリジナル版が収録されると良いのだけど。
それでも『哀しき獣』は映画ファン必見の映画だったと思う。パワフルだしね。
見逃していたら是非見てほしい。
メモ得点メモ
9
アメリカではそこまで評価が高くない。しかも調べたらオレの評価見た当初は『チェイサー』より面白いって言っているのに、『チェイサー』に10点つけてた!!(笑)
とりあえずアメリカリメイク版期待しています!!(笑)
でもアメリカらしい銃撃戦は盛り込まず、本作の生々しい包丁と斧を押してほしい。
韓国映画の殺陣の出来ってとてもすごいよね。銃みたいに引き金を引くのではなく、自ら対象に当てに行くという行為がすごく魅力的。しかも韓国映画らしく生々しいのが醍醐味だよね。
しかし後にもっと頑張っている『アジョシ』を見るのでした。(笑)

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