「アメリカのスタイルで一番影響力のあるおじさん。」
感想
見る気はそんなに無かったけど、評判がやたら良いし周囲のアート思考の人に「面白い」と言われ、感化されてしまったので鑑賞してみた。
ただ見た場所が相性の悪い新宿バルト9。ここで映画を見ると寝てしまう傾向が結構あって、今回もきつかった。『マチェーテ』と『ランゴ』は見ていて、寝てしまったんだよね。(最初と最後は起きてた。)
でもちゃんと最後まで寝ずに見たよ。
しかし人気のある映画だ。
調べ見れば、本作は2010年の映画。
今からもう3年前の映画を公開するなんて、なかなか心苦しい。そりゃあ現実世界で映画クラスタの話題にならないわけだ…。だって『アーティスト』と同じ頃に作られて賞レースに参加していた映画だよ。(苦笑)
そのヒットの秘訣も、何故今公開したかも、そんなのは不明だし、本作を見たかった人がいたのかも不明。
そんなことより『クロニクル』の首都圏限定公開の方が映画クラスタでは話題ですよ。(笑)
それでもヒットしていると思しき、本作。
だって面白いもの。
この映画はこの前話題になっていたアカデミー賞を撮ったドキュメンタリー映画『シュガーマンを探して』とは違い、記録映像のみを巧みに使ったドキュメンタリー映画。
ニューヨークタイムズのファッション面を担当する男の正体は、仕事を仕事とも思わない、80歳の陽気な自転車じじい。
彼は、街を放浪し、本物のニューヨークのトレンドを映し出す。そんな瞬間を映画のカメラはちゃんと的確に捉えている。
野生の動物を撮る為に、野生の動物と同じ呼吸をする必要があるように、ビル・カニンガムの呼吸を合わせ、自然体の作り物でいない本当の彼を撮られえている。
個人的にドキュメンタリー映画に求めていたのは、エンターテイメント性や感動ではなく、ドキュメントの対象が、自ずと出してしまうカタルシスが好き。
本作には、それがある。
ビル・カニンガムという男の半生と現在を捉え、更には、彼の内面にまで迫って行く。
それはある意味、禁忌であるが、観客も知りたい。
こんな男あり得ない。それぐらいの偉業。こんな陽気なじじいが、如実にニューヨークのファッションを捉え、そして、ニューヨークを生み出している。
ぱっと見は変なおじさん。でも本当は凄い奴。
そんな彼の本当の姿は、やはり到底凡人にはたどり着けない、自然な修羅であり罪深い男でもある。
そんな彼の偉業をたった1時間半で収めている。
世界の中心にいる男は、こんなにもちっぽけなただのおじさんだった。
世界は善意でまわっている。そう信じえる。一握りの奇跡。
もう80歳の彼、彼の跡継ぎはいるのだろうか?
得点
70点
エンディングのルー・リードにやられるぜ。
ニューヨークは本当に魅力的な世界だったわ。
『ビル・カニンガム&ニューヨーク』そこにいる被写体は、作られたものでなく、自然。そして自然にニューヨークという最前線をつむぎ、スタンダードを生み出している。そんな彼はただ尊敬をこめてシャッターをきる。偉業と偉大さを自然に収めた快作。
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