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◎【81点】この世界の(さらにいくつもの)片隅に【解説 考察 :エクステンデッド版は女性の叙情詩化】◎

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

製作

2019年日本映画

拡大版は
心情描写増加

監督

片渕 須直
この世界の片隅に
・アリーテ姫

あらすじ

昭和9年の日本の中国地方の広島県。
浦野すずは市街地にお買い物に行ったが道中で人攫いに捕まってしまうが、
機転を効かせて人攫いを撃退。
そこで同様につかまっていた周作と出会った。
昭和10年。
すずは兄と妹と一緒に祖母の家に遊びにいく。
昼寝をしていた彼女は天井裏から現れた自分と同世代の少女が自分たちの食べていたスイカを食べているのに気づき、
祖母からもう一つスイカをもらってこようとする。
戻った時には彼女はおらず、彼女のためにスイカと着物を置き故郷に帰る。
昭和13年。
中学生のすずは同じクラスの乱暴者水原に鉛筆を落とされてしまう。
その日の帰り道、絵の授業をサボって怒られた水原から鉛筆をもらう。
彼は絵を描かなければ家に帰らなくて済む。家では家族が喧嘩していて、帰りたくないというのだ。
絵が得意なすずは、水原の代わりに海の絵を描き、水原はそれを持って学校に戻るのだった。

そして1943年昭和18年。
第二次世界大戦が勃発して4年。
1941年に日本も参戦し、アメリカとの対立が激化して2年が経った。
18歳になったすずのもとに突如縁談の話が舞い込む。
広島市から少し離れた瀬戸内海に面し軍港もある呉から北条周作がやってきた。
するすると結婚が決まった2人。
すずは周作の住む呉に嫁ぎ移住。
体の悪い周作の母。軍港勤めの父と周作と一緒に戦時下の中、慎ましく生きていくが、
周作の姉が帰郷。
彼女はすずを気に入らず、いびり通すのだった。

そんな中、周作がすずと結婚した理由、
それは周作が遊女に入れ込んでしまったからだった。
周作は、遊女と結婚をして彼女を救おうと思ったが、身内により止められた。
その代わりとして昔人攫いから自分を救ってくれた変わり者のすずを指名。
家にはその遊女に送るはずだった茶碗があった。。。

食べ物をうっかり台無しにしてしまったすずは両親からお金をもらい闇市にいく。
その帰り道で迷子になったすずは、遊女の白木リンと出会う。
彼女と交流し親しくなるすず。
しかしリンが持つ自分の名前を書いてある紙が、周作が隠し持っていた帳面の裏表紙であると気づき、
彼女が周作の思い人だったことを知り、複雑な気持ちを得るが、
彼女を憎めないでいた。

またリンはかつ自分がこの地に直前にある少女に施されたスイカの話をすずにするのだった。

そして戦争はさらに激化し。。。

2019年12月31日劇場鑑賞 2019年108本目



エクステンデッド・エディション公開

とりあえず前作の感想のリンク
『ロード・オブ・ザ・リング』でおなじみのエクステンデッド・エディションですが、
2016年に公開しました『この世界の片隅に』が3年の時を経て劇場公開。

via GIPHY

思えば2016年版自体もクラウドファンディングで製作費を募るという異例の作品ながらも
日本映画界に残るほどの明確な描写こそないのに確固たる反戦の意思を持った作品として、
アカデミー賞級の作品だったなぁと改めて思うわけで、
3年経ってもどっかの劇場で公開しているんじゃないかな?と思うぐらい熱心なファンがついた根強いカルト作品になったわけで、
その未使用カットや音声を多数追加して、40分もの上映時間が追加。
もともと2時間もあった本作だが、2時間40分というこれこそ『ロード・オブ・ザ・リング』級の大長編に。
すごいわ。

大幅に増えたリンさんのシーン

通常版というか前作のエンディングで描かれたりんさん。
実は序盤の座敷童が遊女のりんさんだったわけですが、
この人もまた世界の片隅に生きた人だった。
そんな彼女、原作では周作の思い人としてすずさんの前に好意を抱いていた人。
周作さんのダメンズぶりが露骨に垣間見られます。
原作のそういったカットされたエピソードが大幅に映像化されて、
リンさんが増えた分、すずさんが実は女として大いに悩んでいたことがわかるわけです。
そういう原作の完全な映画化としての側面はやはり『ロード・オブ・ザ・リング』のエクステンデッド版のようなボーナス感はあるね。

フェミ要素高まって、無印版とはまったく別物の所感

via GIPHY

戦時下の日常を垣間見ることで、戦争の惨たらしさを実感したわけだが、
今作ではすずさんの心情描写がかなり増えており、
その時おりの心情が描かれる。
戦時下で葛藤し、鬱屈していくすずさん。
そして周作の女性問題に頭を抱えるすずさん。
すずさんの苦しみがよりパワーアップし、
そして女性的な葛藤の数々に、おっさんとしては無印よりも乗り切れない部分がある。

戦時下の1人の女性の葛藤という側面の強化は、無印の映画的な良さをぼやけさせてしまっているなぁ。

ただ原作としては女性的な側面がちゃんとある作品なんだろうなぁと思うし、
本作はこれでよかったと思う。

すずさんの口紅など、女性らしさが際立っているし、
追加エピソードも面白いの結構多かったし。
ダイナミックな描写も増えてたぁ。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.5/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8/10

81点

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