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◯【67点】アンダー・ザ・シルバーレイク【ネタバレ感想:監督の偏執愛映画】◯

アンダー・ザ・シルバーレイク

製作


2018年アメリカ映画

監督

デヴィッド・ロバート・ミッチェル
・アメリカン・スリープオーバー
イット・フォローズ

出演

アンドリュー・ガーフィールド
ソーシャル・ネットワーク
アメイジング・スパイダーマン
アメイジング・スパイダーマン2
・ハクソー・リッジ

あらすじ

現代のアメリカのロサンゼルス近郊の北西部のシルバー・レイク。
ハリウッドからほど近いこの地域では、将来映画監督や脚本家、はたまたロックスターや芸術家になりたい若者が暮らしている。
サムもまた夢見てロサンゼルスのシルバーレイクに住んでいる。
今は特に仕事のない彼は、日課近隣の人々の生活を眺めている。
貯金のない彼は、家賃も払えない。
そんな彼は、隣人のサラに恋をする。
サラといい感じになり損ねたサムは、また明日彼女と会うことを約束するが、
サラは翌日ルームメイト達と共に突如夜中のうち引っ越してしまうのだった。
サラに会いたいサムは、忘れ物を取りに来た不思議な女性を追跡するが、途中で見失ってしまう。
この街には何か陰謀が起きている。
サムは数多の隠されたメッセージを見つけ出し、暗号を解き真実にたどり着きたい。
折しもサラの失踪を追う途中で、サラの遺品が失踪した富豪の焼死体が見つかった車から見つかる。
事件性も高くなったこの事件を解決することにサムは躍起になりはじめる。。。

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2018年10月13日劇場鑑賞105本目



感想:ネタバレ注意!!

『イット・フォローズ』の監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェルの最新作。
ハリウッド近郊のシルバーレイクのある地区で、特に夢も希望もなく自堕落に生きるエンタメスター希望の青年が、
ある日を境に妄想に取り憑かれたように失踪事件の探偵になってしまうという、なかなか偏ったシナリオ。

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その偏り方は、冒頭から他の映画とは特異で、「犬殺しに気をつけろ」と落書きされたファーストフード店の入り口から映画は始まり、
それが映画の本編に重大な要素として絡んでくるようで、絡んでこない。
また同様にバットマンのコミックの引用のようにハリウッドの街?アメリカ?にはフクロウの組織がいて、秘密を知るとフクロウの剥製のお面をつけた裸のお姉さんの殺人鬼に寝ているところを襲われるなどなど、パルプのようなサブストーリーが、幾重にも絡んでいるが、本質の失踪事件には、絡んでこないわけで、今作の作風を彩るデヴィッド・ロバート・ミッチェルの自己満足とも思える彼の愛するポップカルチャー、映画、音楽、広告、テレビゲーム、全てが絡み合って、それがアメリカのエンタメを牛耳る資本主義の権化達のサブリミナル効果で、私たちは自分たちの趣向が操られているという、妄想とも思える陰謀論を熱心に描いた監督のカルト的思考がガンガンに描かれる映画。

カルト映画へのラブレター

個人的には、この多すぎるポップカルチャー愛。
特に映画の映像演出に関しては、多くのカルト的な人気のある映画監督、冒頭の展開が『裏窓』でその後の展開も狂った『裏窓』なわけで、そこからもともと持ってたやばい気質、陰謀論信者という部分という狂った要素が、デパルマっぽくあって、
さらには、女性に執着していく様はやはり『めまい』的であったり、ただ現代のダメな若者という投影が、ヒッピーとも言い切れない、マザコン的な側面があったりと。。。
ヒッチコック、デパルマなど70年代以前のオマージュを映像の構図に幾重にも盛り込み、また展開的なチープさと現実なのか妄想なのか?という絶妙なラインをうまく映画に落とし込んでいるあたり、
監督の強烈な愛はビンビンに伝わる。

カルトな人気のありそうなバンドや、夜な夜な行われるパーティーやその演出、ヒッチコックの墓、墓場で上映される監督の『アメリカン・スリープオーバー』、墓場の下にある実際のライブハウス、秘密のライブの招待状は薬物入りのクッキー、唐突に大富豪の娘との逃避行と事件、犬殺人事件などなど。
監督の偏愛全てが本作に現れ、そして全てがアンバランスに盛り込まれている。
『イット・フォローズ』での成功のご褒美なのか、なんでもやりたい放題、その独特の文脈で進行する本作は、まさにトマス・ピンチョンの本のように濃厚、またうだつの上がらない主人公が妄想ながらも探偵として、隠された???暗号を解いて行く様などは、ピンチョンの原作の映画化『インヒアレント・ヴァイス』のような素っ頓狂さがあるのだが、それが最後の最後で全部収束して一つの時代が終わるとか、そういうカタルシがあるのではなく、
失踪事件の結末こそあるが、それもまたサブストーリーのようにただただ監督の偏愛だけが昇華されるという、おぞましき映画だった。

圧倒的なアンドリュー・ガーフィールド

その意味不明な世界観をアンドリュー・ガーフィールドが、それに相応しい、緩くて芯のない男を好演。
歩き方もめっちゃ怪しく、探偵ごっこのごっこ感がピカイチ。
元は真面目だったのか堕落した感もすごくでてて。
まさしく監督の思い描く、サムを体現していて、本当にやばい。
しかも結構『アメイジング・スパイダーマン』のことがいじられているようで、
前半と終盤では、上は赤いパーカー、下は青いズボンとスパイダーマンの色合いで作品を彩り、
挙句手に物が引っ付くというネタも披露。

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それだけならまだしも、本作が根本的にハリウッドで成功できない人間の狂った日常、ずっと上に上がれないまま下に落ちつつも、
何かを見いだす、そんな『ラ・ラ・ランド』の真逆を行ったようなダークな作品で、それが実生活での元恋人との対比のような絶妙な関連性が、
終盤のホームレスの王と地下室で話す際で、彼女とのエピソードを話す時の涙に昇華されているように思えた。

謎が謎を呼ぶ内容に行方不明

不条理なホラーでもなく、不条理なコメディなのだと思うのだが、不条理なサスペンスではある。
映像は優れているし、音楽はカルト映画愛を再現しているのだなと見終わって思うが、
倫理観はかなり破綻している映画。
妄想が妄想を解決し、全てを超越するという内容を2時間20分もかけて描くし、
その過程で、現実なのか想像なのか、もはや答えもない。
ちょっと古いカルト映画のようなものが再誕したといえばいいだろう。
30分の単発ミステリードラマが集約されたような、それぐらい色々あったわけだが、正直見ていて、しんどかったし、行方不明になった。
またセクシャルな要素も多く、セックスやおっぱい、裸、お尻、などなど丸っぽい人間のディテールがいっぱい出てきた。
そういうお下劣さや糞尿なども含まれてて、それがまだ人間のイデオロギーとかに言及しているのかというと、別にそうでもないのが、
本当になぁーーーー。

海外ドラマだったら良かったのに。

正直映画としては、俄然本作は不支持。
面白いといえば面白いけど、これは面白くないのでは??
シーンが多すぎて、疲れるし、そこに終末に向ける描きがあるわけでもなく、ただただ監督の偏愛が爆発するオナニー映画でしかなかったと思う。
ただ優れた映像が多数あるし、音楽もすごい。
むしろその世界観を割り切って楽しむなら30分程度のミステリーコメディドラマにして、シーズンフィナーレに向けて、最後へのヒントが各話に隠されているようなそういう作品の海外ドラマにすれば、めちゃめちゃ面白いものになるんじゃないか?
そういう風に思ってしまった、映画としては、ちょっと勿体無いと思った。
あぁそれ『ツインピークス』ってドラマあったわ。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 5.5/10

67点

面白くはなかったけど、よくできた映画だなぁと思った。
でも見て後悔はしたなぁ。
シーン多すぎるし、言いたいこと言い逃げ感があるだけで、ちょっともうちょっとどうにかならなかったのかな。。。
監督の自己投影感が強すぎる。

作品のネタを掘れば掘るほど出てくるオタク的を超えたマニア、偏執的な愛が爆発はしてるが、
エンタメとしてイマイチ煮え切らないのが、辛い。

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