◯【74点】天気の子【解説 考察 :東京を舞台にドSFとド貧困で社会批判】◯

天気の子

製作

2019年日本映画

『ムー』
が絡むだけで胡散臭いなって思った人が
書いた感想です。

監督

新海誠
君の名は。
・雲のむこう、約束の場所
秒速5センチメートル
・言の葉の庭

あらすじ

伊豆諸島にある高津島の高校1年生の帆高は、
島生活に嫌気がさし、そして謎の光に誘われ島を出て東京の新宿区にやってくる。
大した金も身分証も持ってこなかった彼は、
漫画喫茶で暮らしアルバイトで生計を立てようとするが、
職もなく仕事もなく、お金も尽きる。

帆高は本土へ行くフェリーで出会い連絡先をもらったフリーライターの
おっさん須賀圭介のところに行き、
彼の家でアシスタントとして住み込みで働く。

新宿で取材をしていたある日、新宿のマックで施しをしてくれた少女が、
怪しい職業のおっさんたちにホテルに怪しい店に連れ込まれようとしているのを目撃。
帆高は彼女を彼らを過去に新宿で拾った拳銃で脅し、
彼女を連れて逃げる。
彼女の名前は天野陽奈、帆高よりも年上の彼女。
帆高に自分の隠された力である願うと天気が晴れる力を披露する。
彼女は各地で噂を聞いた100%晴れ女だった。

しかし陽奈は母親が最近他界し、父親も不明。
小学生の弟の凪とふたりで暮らしており、お金に困っていた。
帆高は陽奈の晴れの力を使って商売を行う。

しかしそれが原因では東京は異常気象が起きてしまうのだった。

そして陽奈たちのもとに児童相談所がやってきて、
帆高は拳銃事件、そして行方不明登録がされており、
警察が迫っていた。

そして異常気象を止める術は陽奈が犠牲になることだと陽奈は悟り。。。

2019年7月20日劇場鑑賞 2019年60本目



『君の名は。』で国民的映画監督となった新海誠の次作

最終的に宮崎駿の『千と千尋の神隠し』には及ばなかったものの
衝撃の歴代興行収入第2位になってしまった『君の名は。』。
自分もぶっちゃけ面白いなぁ、もう一度2人に会いたいし、
美麗な映像に浸りたいと劇場に2度も足を運んでしまったわけで、
超絶大好きでUHDも購入してしまいました。
でも監督の映画は『秒速5センチメートル』しか観たことなくて。
しかもポエマーな感じや自意識爆発させまくったあげくに山崎まさよしのPV化しちゃう
かなり拗らせた作品すぎて、そんなに好きではなかったけども、
『君の名は。』のRADWIMPSの使い方は最高だったなぁ。
そんな大ヒット映画監督が、東宝のご褒美で超やりたい放題で映画を作ったのではないかと思う
本作『天気の子』を鑑賞しました。

SFボーイ・ミーツ・ガール再びだが

結局のところは前作同様SFとボーイ・ミーツ・ガールなわけですが、
東京の伊豆諸島に暮らす15歳が新宿にやってくる、
そこで少女と出会うが不思議な力を授かってて、
その能力に翻弄される少女に恋した少年と、
そして巻き起こる異常気象と自分たちの境遇の悪さという
過酷すぎる世界と過酷すぎる境遇、
それでもまだ愛にできることはまだあるかい?
というわけ。

貧困という低所得の社会批判がやばい

正直ね。
幼すぎる少年と少女の恋にいまいち感情移入できなかったわけ。
高一と中三の少女の純粋な恋と運命に翻弄されるという
低年齢層向けの物語はいまいちぴんとこず。
それよりも本作に潜み続ける日本社会の細やかな闇の数々が目を引いたり、
根底にあるダークな新海誠のSFとしての破壊衝動みたいなのがすっごく気になってしまった。

とりわけ闇深いなと思ったのが、
新宿描写。
なぜかお金もろくに持たず東京にやってきた帆高を待ち受けるのは、
18歳以上の女性をターゲットとした風俗の求人カーが走る雨の東京。
家賃も払えない人が住んでいるという24時間の漫画喫茶。
ろくな回答もしないYahoo!知恵袋、
ひもじさの象徴のような日清のカップラーメンを貴重な夕飯として食べる少年。
少女はお金のために体を売る決心を簡単にするし。
東京の貧困というものをダイレクトに描いた新海誠。
すごい。
そしてそれらが序盤に連続的に映し出される。
前作までは実在する風景も映画にアニメーションという偶像に落とし込んだが、
今作はプロダクトプレイスメントとしてアニメーションの中に落とし込んだのが、すごいし、
それぞれのスポンサーの広告たちが広告としてなにも役に立っていない、
悪しき情報の形骸化のような象徴として、
何も役に立たない無価値なものとして淡々と映り込む。
それはまるで東京というものを幻想をなくしてただ写実的に描いた、
新海誠としてのリアリズムがドル箱映画に存在していた。
すごいわ。
そういう現代社会の生きづらさが終始映画にはただよい、
少年少女の物語が前提として生きづらい現代批判の上に成り立っていて、
辛かった。
2019年の現実の切り出しが異常。
そしてその重たく生きづらい社会に少年が対立する構造を
やってのけるのすごい。

あと主人公が頼るおっさんが色物オカルト雑誌と勝手に認識している『ムー』の記者という点も
本作の突拍子もないSF物語としてのバランスが恐ろしい。

そこにさらに新海誠お得意のモノローグポエムですよ。
濃厚新海誠。

自分の生活圏内の東京過ぎて

本当にすごい技術力だなぁ。
本作の舞台って渋谷から山手線の鶯谷ぐらいまでの沿線を舞台にしている。
ほぼほぼ自分の生活圏内で、
よく見る風景がそのままアニメーションとして落とし込まれててすごい。
俺も行ったことある池袋のラブホテル街、
そこを舞台にささやかな贅沢を高校生未満の三人が送るという、
ずれすぎる価値観。
多すぎるプロダクトプレイスメント。
確実に現実をSFの一部の中に落とし込んだ超野心的な作品だが、
何年か経ったらすぐに風化してしまうという懸念。
特に既製品を映像に落とし込む。
いつかは懐かしいものになってしまい、
古臭いものとなってしまう。
それさえも恐れずにやりきるのが本当にすごい。
でも根本的に拳銃バンバンとかのバランスがむしろ悪くてね。

あとあまりにも写実過ぎて、それ以上の何かが遠くて、
終盤の水没した東京は良かったけど、
そこまでの無駄さというものがあったとも思う。
近すぎる物語過ぎて、なんだか乗り切れなかった。

瀧くん!!

普通に新海誠ユニバースがしっかり繋がっててびっくりした。
でも次回作はこの水没した東京を舞台にするのか??
そしてこの時点の瀧くんってWikipedia上ではまだ三葉とは再会してない模様。
でも『君の名は。』の時点では天気が悪くなかったから、
違う世界線の物語になるのか???

ありのままの東京SF

ノストラダムスの大予言をガチで取り上げるタイプの雑誌『ムー』が出てきたせいで、
個人的に胡散臭いなーとしか思えなくなってしまったわけですが、
それでも東京を舞台にし、ただ事象をSF的に大幅に広げて、異世界と東京を共存させて、
そして根本はボーイ・ミーツ・ガールの物語にする。
これまでの日本のSFアニメが異世界に行ったり、飛ばされたり、
違う時代だったり、世界だったりと、ここではないどこかで起きるとびっきりの何かだった
日本のSFアドベンチャーアニメ。それをしっかり東京の日常から誘った本作の
ありのまま感がやはりすごいと思う。
東京を舞台にジブリSFやってるよ!って感動した。

こんな大規模な映画なのに

自分的に1番びっくりしたのが、こんな日本全国で公開される映画なのに、
新海誠監督自身が編集も行なっているのにはびっくり。
製作委員会方式のせいで日本映画は終了したって映画ファンとしては暗黙知だったと思ったら、
生粋の映像作家が普通にいるじゃないですか、
やってることコーウェン兄弟とあんま変わらないよ。
すげぇよ新海誠。
川村元気すげぇよ。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6.8/10
・映像のアプローチ 8.5/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 6/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7/10

74点

これだけの東京の写実描写をするのにどれだけロケハンしてどれだけ資料を集めて、
そしてどれだけ多くの企業を打ち合わせをしたんだろうか。
すごいなぁって思うけど、なんで刑事をリーゼントなんていうザ・アニメキャラに落とし込んだんだろ。
やっぱり新海誠監督は変態だなぁ。
あと『君の名は。』のハリウッド版の監督がマーク・ウェブだから『(500)日のサマー』の妹への
相談のシーンを凪くんと帆高で置き換えたオマージュシーンがあるのすげぇ。

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正直『君の名は。』の方が王道恋愛ドSFなのとのどかな田舎の風景が美し過ぎて心洗われまくりで、
好きでした。
今作は東京があまりにもリアルすぎて問題作という印象の方が強かった。

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