「ダイナミックで壮大。それでいて難解。インディーズ映画と大作映画の融合。」
予告
STORY
コブ(レオナルド・デカプリオ)とアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は人の夢に忍び込んで、潜在的な情報を盗む天才で、この筋でコブは、一番の存在だった。
だが、コブは斎藤(渡辺謙)の頭の中からアイデアを盗もうとするが、妻(マリオン・コティヤール)の幻影に邪魔され、失敗してしまう。
なんとか、斎藤から逃げ切ったと思っていた二人だが、斎藤は上手で、彼らを試すためにわざと自分の夢に入らせたのだった。
斎藤は彼らにある依頼をする。
それは、人間のアイデアの基を潜在意識の中に植え付ける、という恐ろしく壮大で荒唐無稽な任務だった。コブはこの任務に対して酷い嫌悪感を抱くが、斎藤がコブ自身の故郷での罪を消してくれるという報酬の為に彼は、また「インセプション」を決行する。
インセプションをするには、一人では出来ない。優秀な仲間達を集めるべくコブは世界を巡るのであった。
2010年7月23日 【IMAX版】鑑賞 2010年度61本目
2014年11月23日自宅Blu-ray鑑賞
感想
クリストファー・ノーランが『ダークナイト』の次に生み出した作品!!
以前から、ノーランが仕事をしたかった人を数多く出演させていることでも有名で、まさしく、「ダークナイト」の成功のご褒美とも言える、潤沢な才能と資金を内包させた恐ろしい映画だ。
今作には原作が無く、監督自身が脚本も担当している。
正直言って本作の感想を書くのは、実に難しい。
そもそもこの映画自体が、とても難解な映画である。
そしてもう一つは、この映画に対して、全米在住の映画評論家の町山さんという人が、インセプションの話をしてる際に「映画の評論が皆できていない。」と公言しているからだ。
まぁーその話はインセプションという映画の感想自体とは対して関わりが無いので、あまり扱いたくないが、「映画評論は、表層評論であってはいけない」という点だ。事実(例えば、監督が映画を作る際に使用したネタなどを探求したり、監督の背景を調べたりなど)を使い、映画全体を明確に分析、解説することが、正しい評論であり、映画をただ見ることだけでは、物事の表面的な部分だけを用い、自己解釈のみで行うことで、誰でも出来ることでしかない。というわけだ。
その表層評論のせいで映画自体が劣化しているという恐ろしい話だ。
そう言った、自分の将来の道にどすんと穴を開けられ、ふにゃふにゃな気分で、ちょっと距離を置いていた。
まぁーそれでも前に進まないとなんでもかんでも良くないのです。
そういうわけで、表層批評というわけで、感想書いていきます。(感想という表現は完全に的を得ているっぽい。)
一応公開初日にIMAXで見ました。
はっきり言ってこの映画、IMAXで見ることを推奨します。
これはパンフで読んだんですが、監督のノーラン自身が映画というものの意義に並々ならぬこだわりがあるらしく、「大画面」というこだわりを大部持っているみたい。
多分だけど、本作は全編アイマックスサイズで撮ってると思われる。
とにかく画面がでかく、そういう意味で本作の重大な要素である「大画面」を味わうことこそ、本作を楽しむ一歩目として重要だ。
とりあえず、本作はとても理解に苦しむ難解な映画だ。
その面をインディーズ映画らしさとして捉えている人がいて、自分も納得してしまったが、まぁ、一応解説を聞いたから、その面の難解さを解決は出来たがやっぱりあれだと思う。
映画は唐突に始まり、作品の説明つまり「エスタブリッシュショット」がない。
そのまま加速するように映画は進んで行き、初めて見たときは置いてけぼりになった。
(近年ではそういったエスタブリッシュショットがないのが増えている。)
世界設定の説明不足に、置いてけぼり
冒頭から頭がこんがらがった人がいたなら、多分それはこういうことだ。
「この映画は常識として人の頭の中に入り込んでいるぞ?何故だ?誰か説明してくれ?」
本作は唐突に事件が始まり、いきな事件が終わり、次の仕事(本題)が始まるのだ。
むしろこの映画を見る前は、この映画で「頭の中に入る技術が生まれ、それを行い問題に遭遇して、それを解決する映画である。」そういったちょっとサブカルな発明アドベンチャー映画のようなものと想定して公開当時の自分は見たのだけども、蓋を開けるとこの映画は前提に頭の中、というか夢の中に入ることが可能になっている世界で、そこで巧みに冒険というかスパイのごとく、人にトラウマを与えることを行う映画であった。それに自分はびっくりしたのだった。
そして物語は本題である「インセプション」という作戦へと進む。
ここで解説になるが、本作がインセプションというタイトルであるのは、インセプションということを描いた映画であって、脳内に入ることは大して大事じゃないからだ。
(正確には深層意識というか夢)
ここでやや「オーシャンズ13」のようにテンポよく仲間集めが行われる。
本作の上手いところはそういった仲間達が上手いこと映画に絡んでる点だと思う。
全てのキャラに濃厚な役目があり、とても緻密だ。
本作は情報量がとても多く、難解と言うよりは濃厚。
そしてインセプションという作戦に当たり、映画内で特殊な用語が何度も生み出されて行く、そういう面でも映画慣れしていない人には厳しい内容だ。
ただそう言ったマイナス面を大スクリーンでどうどうと迫力のある映像で魅せてくれる、内容でついて行けなくても、ダイナミックさで見てる側を満足させようとする、知と量で見てる側を完全にねじ伏せてくる。
そう言った、ある種の調和が、インディーズ映画と大作系のスタジオ映画のいい面と悪い面を混ぜていて、成功してるすごい映画だ。
そのインセプション作戦が決行すると更に難解で、更に想像を超えた映像体験が待っている。
一体あれはどうやって撮っているんだろ?と何度思ったことか。
その難解な理由が、本来なら、脳内というか夢の中に一回入るぐらいで終わりだったものの、ターゲットがそれに対してトレーニングをしていて、うまくいかないようになっていた。
依頼人がそのせいでダメージを受けてしまい、このままで依頼人が植物人間になってしまう。
それを防ぐためにも、作戦を成功させるべく、より時間の流れの遅い、夢の中の夢の中にどんどん潜っていくことをするのだが、これが初回ではとても複雑に思える。
今では、その階層という考えが、映画の奥深さを感じ何枚も何枚も皮をむいて映画を見るような感じでおれは好きだ。
正直映像面のこだわりは本当に、見事。監督自身、キューブリックのファンらしく、キューブリック作品のような映像アプローチが垣間見られる。そういう巨匠のテクを現代に蘇らせてくれた時点で本作は称賛に値する。
とても難解で、到底理解し得ない、映画であるが、終盤「雪山」に行くシーンは個人的には、大部昔の西部劇のような展開で自分は大好きだった。
なんか「007」のワンシーンのように大迫力でスペクタクル。
映画を理解しようと脳内ではすごい速さで分析を行っているにもかかわらず、ここぞというところで、ポップコーンを食べている人に向けた大掛かりなアクションシーンを大迫力に映してくれる!
最高だ!!
そして問題のラストだが、ここが本当に問題。
これは見た人がだいたい困ると思う。
自分の答えは、この映画自体が監督の夢。という捉え方で、監督やばすぎ(エンディングで夢が覚める時に鳴らす音楽が流れるので、観客に対する「夢の終わりの提示」を表現したから。)という意見。
実際はどっちでも良いらしい。
監督的には、コブが家族のもとに帰ったが正解のようです。
正直役者勢は見事です。特にアーサー役のジョセフ・ゴードン=レヴィットはポスターなどでは、微妙でしたが、映画内で動くと本当に素敵。
『スペル』などで活躍した俳優や、僕らのキリアン・マーフィーが複雑なシーンを上手く演技でより複雑化してくれたりと、最高です。
というわけで、ここから更に、ネタばれします。
本作が何故インセプションというタイトルで挙げ句2にすべきな程の極端な始まりだったかというと、その要素が主題では無いからっぽいです。
本作の主題はタイトルが表す通り「インセプション」直訳で始まりです。
物事の始まりであるアイデアという意味あいが個人的には正しいと思いますが、本作の意味合いでいうと、それを頭の中に潜り込んで人に植え付けるという壮大な意味で、それをもう一度するわけですが、実際主人公はそれが2回目で、先にインセプションをしたわけですよね。その主人公のトラウマについての物語というのが本作の一番の重要なとこみたいです。
またじゃあ渡辺謙とかって一体なんなの?と思いますが、これも解説で知りましたが、映画にはテクニックとして、本筋と関係なく映画自体を盛り上げるための要素などがあって、それが渡辺謙の依頼というわけで、映画とは主人公が成長する話でしか本来無いわけです。トゥモロー・ワールドの主人公が最後の希望を守るんですが、主人公が死ぬと映画は終わります。その後の世界はどうなったんだよ?的になりますが、それもこれと一緒で、主人公が主題であるというわけですね。
後は、この映画の登場人物達の名前がやたら複雑だなと思ったら、町山さん曰く、エレン・ペイジの役の人はある本の登場人物と一緒の名で、迷ってる人を導く役だったらしく、本作でも同様。そう言った象徴的な要素が強い点も作家性が強くて価値がありますね。
ただ、本作は絶大に膨大な量の情報量やアプローチがあるわりに最後の最後で一気に投げやりにして、むしろ映画自体が未完とさえ思えるほどな極端な終わり方をする。
それこそが、まさに難解と思わせる起因だと自分は思うし、実際どうなんだろ?なんて思う。
ただ「インセプション」という映画については、何故か疑問や議題になってることが今でもあって、最近ではデヴィッド・フィンチャーとクリストファー・ノーランの違いを感じたり、そういう意味でも本作は、大傑作であるのだろう。
2014年11月追記!!
『インターステラー』人気に便乗して、『インセプション』再鑑賞!!
いえーい。
当時よりも映画マニアレベルが上がったせいか、何度も見ているせいか、この映画については結構理解している。
深層的にこの映画の緻密さと人間の夢?深層意識?の世界に潜るという深いテーマが素晴らしく、やはり『メメント』のような記憶を保てない男の物語などを作った監督らしい、一つのアイデアをこねくり回して、エンターテインメントとして昇華させるクリストファー・ノーランの手腕は、素晴らしいし、今後の映画業界でも彼のオリジナル作品は楽しみでしょうがない。
ちなみに『ダークナイト ライジング』は唯一の失敗作だとおれは思っている。
これに至っては、一つのアイデアではなく、複数の分厚い原作の要素をひとまとめにしたために、もともと辻褄合わせなどが苦手で、広角映像などのダイナミックさでごまかしていた監督のごまかしきれない作品になってしまった。
とりあえず、映画としてはいいシーンが山ほどある。
ジマーさんが生み出したドゥンドゥーンという音楽。
舞台設定のおかげでやりたい放題を映画に収めた映画の脚本。
そのおかげで街中を電車が暴走したり、急に舞台が雪山になったりとなんでもあり。
一番すごいのは、ビルの階層がぐるぐる回るシーンと無重力になってしまったビルで工作するジョセフ・レヴィット。
また更にこの映画階層という場所が幾重にも別れたものを同時進行させるマルチレイヤーな映画で、また流れる時間が違うということで、スローモーションで落下する車の中で俳優みんな寝ているだけ、でも一方では無重力、一方では雪山で秘密基地崩壊という凄まじいシークエンスをやってのける。
特に俳優寝ているだけのスローモーションで車落下は、緊迫したシーンなのに何度も見ていると笑えてくるぐらい面白い。
そうだ!!何度見ても面白い!!
得点
物語の面白さと上映時間 9/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 10/10
キャラクターの魅力 8.5/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 10/10
音楽 10/10
俺の趣味 10/10
96点
レオナルド・ディカプリオの代表作だよね!!
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