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◎【80点】COLD WAR あの歌、2つの心【解説 考察 :冷戦下の男女(西東)の結びつき】◎

COLD WAR あの歌、2つの心

製作

2018年ポーランドイギリスフランス映画

第二次世界大戦後の
ポーランドのことをよくわらないと厳しい映画なのでは?

監督

パヴェウ・パヴリコフスキ
・イーダ

あらすじ

1949年ポーランドの地方。
ヴィクトルとイレーナとカチマレクは地方の町へ赴き、
その土地に根付く歌を録音して民族音楽を収集していた。
また3人は国立のマズレク舞踏団を立ち上げるために、
歌唱力とダンスの才能に恵まれた少年少女を集めて、オーディションを行い、
選抜を行う。
音楽担当のヴィクトルは、オーディション初日に問題児と噂のあるズーラの力強さに魅了され、
彼女に惹かれてしまう。

1951年、ポーランドの首都のワルシャワで公演を行うマズレク舞踏団。
その中でもトップ歌手として美声を披露するズーラ。
それを指揮するヴィクトル。
2人は隠れた恋人関係として年の差を超えて愛し合っていた。
しかし国からソ連を讃える歌を演目の中に入れることを要求。
舞踏団は国のために芸術性よりも政治的に傾向してしまうことになり始め、
イレーナは身を引くことを決める。
ヴィクトルと愛しあうズーラだったが、カチマレクにヴィクトルが西側の音楽を
隠れて聞いていることなどを密告していることを告げる。
ズーラは過去に犯した罪により脅されている。
しかし2人はどうしようもできなかった。

1952年ドイツ公演の際にヴィクトルはついに西側に亡命を決める。
愛するズーラも誘うのだが、ズーラはこなかった。

1954年作曲家として活動するヴィクトルはパリで恋人と暮らし、
ジャズバンドのピアニストとしても過ごしていた。
舞踏団のツアーでやってきたズーラと再会したヴィクトル。
去り際にズーラから西側にこなかったのは怖かったことを知るヴィクトルだった。
そしてズーラはこのまま舞踏団として活動をすることを告げるのだった。

2人の恋は冷戦下のポーランド周囲のヨーロッパを舞台
時代に流されながらも何度も何度も引き寄せられていく。

2019年7月5日劇場鑑賞 2019年57本目



『ROMA/ローマ』がなければアカデミー賞受賞していたのにぃ

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『イーダ』でアカデミー外国語映画賞を受賞したパヴェウ・パヴリコフスキ監督の2018年の映画で、
2018年のアカデミー賞で前述の賞の受賞候補としてノミネートしたが、
惜しくも『ROMA/ローマ』が受賞してしまった。
『ROMA/ローマ』がなければ受賞していたのではないかと思うが、
そこは数奇な運命。
『ROMA/ローマ』もまた白黒映画で、本作同様に愛を描いた人間ドラマで、
音と映像にこだわった作品で、どこか似たような趣があるような無いような2作品だった。
しかし個人的には『ROMA/ローマ』の方が映画的な広大な映像が上手くて。
ふとした瞬間に日常に潜む優雅な自然な景色や、ハッとしてしまうほど四角のモチーフが随所に潜む普通の街並みを
映画という枠組みの中に落とし込み、そして映画的に優れた線対称的な画一さの素晴らしい映像にしていた。
強いて言うなら『ROMA/ローマ』がヨーロッパ的な映画進行や物語に加えてアメリカ的な映像感覚を持ち込んでいる。
本作はあくまでもヨーロッパの優れた感覚を突き詰めた映画だったなぁと。
人の好みの差ではあると思うが、
今作は今作で爆音上映などをしたら洗練されたキレのある音と重低音が響く楽曲の数々がより魅力的に演出されて、
最高なのではないかと思った。

オヨヨーイ

すっごい複雑な映画だったけど、
オヨヨーイという本作のテーマソングとも言える楽曲が非常に印象的。
正直こうやってブログを運営しているが、いまいち消化できていない映画。
仕事を早々に切り上げて残業をほぼせずに駆け込んだわけですが、
完売しているほどの大盛況。
そりゃあアカデミー賞の時期に相当話題だったし、公開時期が3ヶ月早くてもよかったぐらい、
公開時期がおかしかったわけで、しかも結果的に都内で3箇所ぐらいしかやってなくて、
苛立ったとかもあったし、劇場の環境もあんまり良くないなって思ったけど、
それでも結構楽しかったが、正直全然よくわからなくて、
迷わずにパンフレット買った。
映画的には映像が全て写真のような美しさがあったわけですが、
話が全然よくわからなかった。

リチャード・リンクレイター監督の『ビフォア〜』シリーズを彷彿

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映画の第一印象は『ビフォア〜』シリーズに似ているなと思った。
1949年のポーランドを舞台に年の差のある2人が、
恋に落ちるが数年に一回あって、激しく恋の炎を燃やすが離れてしまう。
再会しては愛を謳うが、結局はすれ違ってしまう。
そしてまた違う場所に帰ってしまうが、最後の最後で結ばれる???
特殊な2人の愛の形。。。
その背景にあるのが本作の主題であり、『ビフォア〜』シリーズとは決定的に違う点。

冷戦下のポーランドの政治下における男女

今作が難解だなと思ったし、パンフがめっちゃ濃厚に解説してくれてるが、
全く理解できてなかったわけですが、映画が描く時点が1949年のポーランド。
1945年に第二次世界大戦が終結し、ナチス・ドイツの支配下から解放されたポーランドですが、
次に待っていたのはソ連の影響下にある社会主義社会の息苦しさ。
一人一人の個人としては自分の考え方次第では違うかもしれないが、
その息苦しさのない自由さも世界には存在していて、
西(アメリカやフランスなどの文化)側に憧れる人と東側の人。
年の差のある男女は西東というメタファーの強い影響下にありながらも
恋に落ちてしまう。
まだ幼い女性のズーラは過去に父に虐待を受けて対抗をしたことで
保護観察下にあり、より強い政府の監視が働く、
逆にヴィクトルは経験を積んだ男として、
自分のやりたいことをする自信も兼ね揃えている。
2人は恋に落ちるが、考え方が違い、2人の距離は離れているが、
運命のように2人は惹かれ合う。
ようやく再会した2人だったが、結局は考え方が違い離れてしまう。
しかしヴィクトルの強い気持ちは、東に帰っていたズーラを欲する。

2人はお互いに結婚や恋人がいながらも結局は結びつこうとする。
一見すると不思議な恋愛映画だったが、
根本的にはポーランドという国民の思考をメタファーにした
国の行く末を描いた壮大な映画だったのかもしれない。
結果的に故郷に帰ったヴィクトルを待っていたのは、
罪人としての強制労働だった。
それを知ったズーラはヴィクトルの愛を実感し全てを捧げる。
その鉄の意志、まさしく鉄の女。

最終的には背景が全く描かれない映画である本作、
2人はついに朽ちた教会で2人だけの結婚式をあげるが、
十字路におぼろげに景色を見つめ映画は終わる。

国は冷戦が終わり西側も受け入れて一つになった。
ヴィクトルとズーラのように。
でも2人のいく末はわからない。
十字路のどこへいくのかもわからない。
自分的には疲れ果てた2人は死んでしまったのかな?と思ってしまった。
2人にある未来がとても明るい未来とは思えなかった。
そういう暗喩がやはりあるのかなと???

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オヨヨーイ

冒頭では民族歌謡。
舞踏なども描かれ、馴染みのない文化に触れたわけ、

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中盤からは映画音楽やジャズなど見応えたっぷり。
最終的にはまた違った側面で音楽があり。

この音楽が2人の心情を描いていたのは見ていて気がつかなかった。笑

この部分はすごく映画館映えしていてよかったし、
この映画館意外といい音だすなぁとか思ってしまった。笑

みんな楽しめたのかな?

自分的には『ビフォア〜』シリーズのように出会っては会話をして離れていく2人。
出会うたびに時代が少しずつ変化している舞台裏。
政治下で自分の立ち振舞いを常に考える2人。
わずかな時間が数度繰り返されて、
年と共に立場も考え方も変わっていく2人、
結びつくまであまりにも時間がかかった。
映画の時間は2人の心情や時代背景なんかよりも舞踏シーンや
音楽シーンの方が描かれている時間が多く、
この映画の意味を簡単に理解しながら鑑賞していた人はいたのかなぁと思ってしまう。
今でもよくわからず、文章に落とし込みながらこういう映画なのでは、
と理想と考察を交えて感想を書いている。
しかしすっごく引き込まれる映画だったなぁと思う。
もの音立てちゃダメな映画。

ヴィクトルの変遷がやばい

イケオジだったヴィクトル。

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なぜか若い女子にガチ恋愛しちゃったヴィクトル。
序盤はロック様ばりのキメ顔の連続でズーラにアピール。
大人の男感がやばい。
中盤のフランスでの西側影響下の彼は、
金はないが夢はある。
仕事がムッチャ楽しいとどこかいつも汗ばんだフェロモンたっぷりなおっさん。
そうブラッドリー・クーパーのようなアメリカンでワイルドなイケオジ。

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でも東に帰って牢獄に入った彼は一気に老け込んで、
でも元来のかっこよさは相変わらずで
レイフ・ファインズのような大人の色気が全快。

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おいおいお前なにもんだよ。

そうやってみているだけでも面白かったわけです。
オヨヨーイ。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 8.5/10
・キャラクターの魅力 7.8/10
・音楽 8.5/10
・上映時間と個人的趣味 7/10

80点

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