「映画大国アメリカが作り忘れた生粋の純情カルト映画。静寂付き。」
2008年スウェーデン制作
予告編
STORY
現代のスウェーデンのちょっとした郊外でのお話。
12歳のオスカーは、同級生の坊ちゃんに酷く辛辣な集団でのいじめにあっていた。オスカーはいつか仕返しをしようと考えていた。だが気弱で内気な彼にはその行動は取れなかった。
ある中年の男がいた。その男は、深夜に男を殺害し、木に吊るした。
そして血を抜き出したのだ…。
だがそれが通行人に感づかれてしまい…。彼は採取した血を忘れてしまったのだった。
その中年の男の家には、少女が一人いたのだが、酷く顔色が悪い。彼女は彼が血の採取に失敗したことに酷く動揺し怒り狂った。
少女が外に出ると、そこにオスカーがいた。オスカー木にナイフを突き立てていた。
それに興味を示した少女、エリ。オスカーはエリを警戒する。
だが後日も外にオスカーは行くとエリがいたのだった。次第にエリに惹かれて行くオスカー。エリはオスカーにいじめに対してアドバイスをする。
中年の男はオスカーの存在を知りながら、エリの為に血を採取しようとするが、彼の殺人は新聞にも載る程明るみに出てしまい…。
耐えられなくなったエリは通行人を襲った。
それを目撃したその友人は、周囲に異常事態があることを察知し…。
2011年6月16日鑑賞
感想
日本でも話題になった作品。制作は08年とこれまた日本では遅い公開だ。
原題はLet the Right One In。
光のあたる場所に連れてって。的な訳かな?間違いかもしれない。
ただそれに当てはまると思うので、よしとしよう。(苦笑)
スウェーデン映画のことは正直詳しくないので詳しい概要などは書けないが、本作は全米でリメイクされたわけで、それがかなりの好評。ホラー小説の帝王スティブンキングのお墨付きだとかで。(笑)
そっちの方は残虐描写を強くして、エリを僕らのクロエ・モレッツが担当している。
色々と見るべき視点が違うため、とことん別物になっているらしい。そっちの方が個人的には楽しみだ。
なんというか、非常に丁寧に作られた映画だった。
主役は実際、とても過酷ないじめに合う少年のオスカーだ。
彼がエリに出会うことで、幸せ(別側面からの不幸)になるという良く出来たお話だ。
そのオスカーの透明感が異常で、いじめられっこにぴったり。またそのいじめ側の人間描写も逸脱で、いじめることを後悔しながらもいじめるしかない少年bなどかなり凝っていて丁寧だ。
その要素と同時進行で、エリの人生の末端が、彼女の愛人とおぼしき中年男性から感じられる。
彼女の困難な生涯の一部をその男の苦悩と苦労から描かれるというわけだ。
そしてそこで、エリの愛人の世代交代が描かれるというわけだ。
それだけでなく、ホラー映画としての側面としてエリによって被害に合う近隣の住人も存在する。
これはかなり可哀想だが、その要素と同様に、一般的な吸血鬼の末路もそこで描かれ、また終盤のエリとオスカーの関係へのアクションの一端として関係していて、脚本は単調でありながら複雑な構成で、とても良く出来ていることは言うまでもない。
やはりオスカーは逸脱で、湖でのスケートのシーンでの反抗など胸が熱くなる。
また弱気で可哀想なのにエリの前ではティーンエイジャー気取るとこなど溜まらない。
全体的に音楽がうるさくないのも本作の特徴。
もの静かで薄暗かったり、スウェーデンという北欧独特の澄んだ白が映像的にも面白かったりとある。
それなのにトラウマ要素も数多くあり、サム・ライミのスペルに並ぶ程の衝撃的な映像もある。
終盤のプールの惨劇は、むしろアートでもありトラウマだ。またその後のモールスも実に見事な青春映画として昇華もしている。
実際色んな要素のごった煮というのがこういったホラー映画の典型なんだが、それが調和されていてもの静かという素晴らしい映画だ。
エリの正体にぼかしが入っているのが非常に残念だ。あれがあると更に幸せそうだけど実は不幸感が極まるのに。
得点
8点
原作はモールスという、午前中はそれでしかコミニュケーションがとれない禁断の恋に欠けている気もする。ヴァンパイア映画として逸脱だと思います。猫が可愛いし。オススメです。
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