◎【77点】存在のない子供たち【解説 考察 :存在のない住人の行方】◎

存在のない子供たち

製作

2018年レバノン映画

去年に
『判決、ふたつの希望』を鑑賞した人の
感想です。

あらすじ

レバノンの首都のベイルートのスラム街で暮らす12歳のゼイン。
彼は少年院に5年間投獄されたのだが、
児童虐待を扱ったテレビ番組を見て、電話をかけて、彼の両親を訴えることにした。
そして裁判が始まった。
ゼインは両親を自分を生んだことを罪として訴えるのだった。

物語は数ヶ月前に遡る。

ゼインの両親はゼインやその妹のサハルを学校にも通わさずに、
昼は一家がお金や家などの暮らしをお世話になっているアサドのスーパーのお手伝い、
夜は謎のジュースを販売している。
母親の親族が投獄されており、刑務所での資金作りのお手伝いとして、
複数の処方箋を使い薬物を生成し、衣服に浸して、刑務所に密輸などを行なっている。

そんなある日サハルに生理がやってきてしまう。
それが両親にバレてしまえば、サハルを狙っているアサドに奪われてしまう。
ゼインはサハルを救うために2人でこの街から脱走することにするが、
時すでに遅く、サハルはアサドの家に嫁ぐことになってしまう。
両親と激しく喧嘩したゼインはそのまま家出を行い、
お金も僅かしかないため、仕事を探す。

遊園地で掃除などを行うラヒルと出会う。
彼女はシングルマザーだったが、もとは家政婦としてアフリカの諸国から出稼ぎにきていたのだが、
恋愛し妊娠してしまったために、職を失い、偽造IDで暮らしていたが、その有効期限が間も無く切れてしまい、制作屋が高値で売りつけようとするため、困っている。
またラヒルの息子ヨナスと交換すれば無料で偽造IDを渡すというが、ラヒルはそれを拒む。
ラヒルの家に招かれたゼインはラヒルの代わりに子守を行う。

平穏な日々を過ごしたのもつかの間。
ラヒルが帰ってこない。
困ったゼインはヨナスと一緒に彼女が通った市場に出向く。

2019年8月13日劇場鑑賞 2019年65本目



レバノン

評判が非常に良く気になったので鑑賞。
とそもそもアカデミー賞外国語映画賞にノミネートしていた作品。
海外映画評論家お墨付きってわけですか。

昨年なんとなしに鑑賞した『判決、ふたつの希望』も同様にアカデミー賞候補作品だった。
また面白いのが2作ともレバノンの映画だったわけ。

全然レバノンなんて聞いたことないが、どうやら中東にある国で、
海外渡航レベルはベイルートなどの首都のある西の方は1。でも東に行くと一気に3に上がる。
それもそのはず東にはシリアがあり超危険レベル。
なかなか危険地帯。

そんな一生行くこともないだろう地域の映画を2年連続で見るとは夢にも思わなかった。

あらすじ勘違い

どこで見たのか?完全にあらすじを見る前に勘違いしていたわけで、
自分の思い込んでいたあらすじは、
赤ちゃんを置き去りにした母親から主人公の少年が赤ちゃんを盗んでいって、
盗んだ子供達でコミニティーを形成していく、ネグレクトを扱った作品だと勝手に想像。

首謀者であるゼインが警察に捕まり、その裁判から基本的人権とは何かを見つめ直す映画だと
謎の曲解をしていた。
何で読んだあらすじなんだ???

人権とは何か?

問題のある両親のもとに生まれたゼインは、愛する妹が、両親の友人の金貸し屋に好かれていることを察知しており、このままだと未成年のまま結婚という最低な事態を想定していたが、
虚しくそれが実現。
ゼイン少年は家出を決行して、パスポートも持たない不法移民者の母子家庭に居候するが、
母親は逮捕され強制送還コース。
途方にくれながらも母親に置いてかれた赤ちゃんとヤングすぎる子連れ狼化して、
スラム街で生活するが、悲劇は止まらなかった。

という批判する行為が重箱の隅をつつくようで、
もはややぶ蛇。
逆に真面目な人にお説教されそうなぐらい、重たい話。

そのゼインくんが、最終的には暴走を起こし、捕まってしまうが、
起死回生の公開裁判で両親を裁く。
レバノン国内に対しての、生まれてからの選択肢を与えない両親を裁き、
人権とは何か?生きることとは何か?その難しさを見せつけてくる。

悲劇がドミノ倒しのように連続してくるが、
それを悲劇と思えない麻痺した映画ファンの心とやら。

「ああ。そういう感じね。ああ。そうね。つらいよね。」
どこか他人事すぎるのは、自分の住んでいる場所が日本という国だからなのか?
それとも文句が言いづらい社会派のプロットだからなのか?

もしくは12歳の少年という存在のたくましさが映画の苦境以上に輝いていたからなのか。
外連味やあざとさはあまり感じず、むしろ映画というシーンの映像的構成が見事で、
面白かった。

作り物ではない生々しさがたまらない

他の映画で全く違うジャンルの映画の悪口を言うのはあんまりだと思うが、
この映画の前に『サマー・オブ・84』という映画を見たのです。
アメリカの北西部の1984年の架空の町を舞台にしたティーンサスペンスなんですが、
まぁ2018年の映画なので、34年前の世界を再現しているのですが、
今思うとすっごい作り物なんです。
でも本作ってなんだかものすっごく生々しい。
スラム街だからなのか、物が多くて、ごちゃごちゃで、すっごい情報量。
生きるための改造、生活の知恵の積み重ね。
ありあわせで買ったなにかが今では重宝、
そんな人間のリアルが山ほど映画に積み重なっている。
けっして映像の構図がすごいとか、そういうのではなくて、
無機質の何かではなく血の通った有機物が映画にあって、すっごくパワフル。
それが現実的には良いというわけではないが、映画的には情報量としての
彩として終始機能し、マンネリ感のある映画とは違うエキゾチックな体験を確かにもたらしてくれているように感じた。

両親は難民

感想書いてて疑問だったのが、ゼインの両親の正体。
よく考えたらこの2人身分証がない。ゼインも身分証がないわけで、
何か宗教的な理由でそうなってたのかなとか勝手に思い込んでいたけど、
2人は難民なんだね。
生きるためにアサードに依頼し、生きるために子供をつくって、若さを食い物にして、
自分も生きようとする。
根本的には難民というかそれを起こした国に原因があるが、
それでも子供という選択のできない存在に、強いることは罪だよな。
またゼインを助ける子供と母も同様に不法移民で、
もうみんなレバノンの人じゃないし、存在していない人間の話だったわけ。
実話をもとにしている映画で、いろんな話を複合したと思うが。
収入少なめの日本人としては、そっちの問題に肩入れできるほど心に余裕ない。

それでも主張の強い映画にしては、映像的にもイケメン少年の演技のすごさ含めて、
面白かったな。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 8.3/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 7.8/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 7.8/10

77点

遊園地のシーンで機械の真ん中の女性像のおっぱいを丸出しにするシークエンスが
スケベで良かった。

全体的にゼインくんの虚無顔がイケメンでやばかった。

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