ブルースVS寿命なき集合意識の吸血鬼
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2025年アメリカ映画
チーム・ライアン・クーグラーとルドウィグ・ゴランソンのやりたい放題
監督・脚本
ライアン・クーグラー
・フルートベール駅で
・クリード チャンプを継ぐ男
・ブラックパンサー
・ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
キャスト
ネタバレ あらすじ
2025年6月20日IMAXGT版鑑賞
2025年29本目
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概要:史上大成功している若手映画監督ライアン・クーグラーが自由にホラー映画を描く
若干39歳で監督作品が2013年〜2024年までにアメリカ国内で12億ドル稼いでるアフリカ系アメリカ人監督のライアン・クーグラ。期間内の合計監督作品は4本という凄まじい好成績映画監督。著名な映画監督のクリストファー・ノーランだって直近の4作を合計しても7億ドルなのでその異常さは凄まじいものです。ただライアン・クーグラ監督作、デビュー作の実際の白人警官の過剰な黒人への攻撃の射殺事件を描いた『フルートベール駅で』以降はロッキーのその後を描いた『クリード チャンプを継ぐ男』MCU初のアフリカ人ヒーローで社会現象を起こした『ブラックパンサー』とその続編とフランチャイズ映画とも言える作品が多く、その内2本には相棒とも言えるマイケル・B・ジョーダンが主演(に近い)。いずれもアフリカ系アメリカ人が主演を務めておりそのスタイルは一貫している。そして彼が原作ありのフランチャイズ映画から離脱し遂に制作総指揮と製作と脚本と監督を務めた作品がまさかの1930年代を舞台にブルース音楽の根強いアメリカ南部を舞台にした謎の吸血鬼との死闘が描かれる映画になるとは思わなかった。ジャンルは一応ホラー映画に部類されるが、過去にも同様の酒場襲撃系のカルト映画があったのでホラーとも言いきえれない
マジで謎の映画
制作総指揮には『クリード チャンプを継ぐ男』と『ブラックパンサー』での音楽を担当し作品を昇華させた盟友ルドウィグ・ゴランソン。彼のブラックミュージックというかブルースへの情念が映画を物語る凄まじい作品。
珍映画?:フロム・ダスク??
前情報そんなに無い状態で鑑賞。どうやらホラーらしいというとことIMAX GT向けのIMAXサイズで撮影された作品だという情報とアメリカにてとても高い評価を得てるという情報を元に鑑賞。
見てて過去に鑑賞した脚本出演をタランティーノが務めて、監督をロバート・ロドリゲスが務めた酒場を舞台に吸血鬼と戦う映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を彷彿。むしろクーグラ監督、フランチャイズ映画から離れてのカルト映画たる上記作品に類似する映画を生み出す訳の分からなさ。マイケル・B・ジョーダンに双子役やらせ、CGを用いて一人二役にする異常さ。
そしてブルース音楽というアフリカ系アメリカ人の音楽文化を大胆にフューチャーしそこに呪術的なアプローチを混ぜる
やりたい放題な珍映画
異質で象徴的とも言える白人のヘイリー・スタンフェルドのヒロインのようなポジション。エピローグの感じがめちゃめちゃどハマりしてるの面白い。前半と後半で全く違った味わいになる変な映画で個人的には珍映画だったなぁとと思うのだが寧ろ見終わってどんどん好きになる不思議な映画でした。
IMAX GTサイズ:それもギャグにするパワー
映画としては珍作というかめちゃくちゃな内容をエンタメにも社会派ドラマにもホラーにもする凄い映画だった。監督がここでこれをやれば映画のカタルシスを実現できるという圧倒的な映画作品作りの才能というのを感じさせるのでめちゃめちゃ凄い。前半の1930年代の差別こそ終わりがある中のアフリカ系アメリカ人の奴隷開放後の南部の歪な文化とそこを生きる青春とも言える人間ドラマ。帰郷と再スタートを描く湿っぽさ。一人は敵わない恋に背を向けて、一人は無くした最愛の子を悼み、再び愛する人に還るという物語からの酒場でのブルースの演奏やアフリカ系アメリカ人の営みというカルチュアルさと呪術的な音楽との結び付けの強引さ。そこに現れる衝撃の吸血鬼という展開で映画はB級にも近いモンスターパニック映画で娯楽映画にシフト。呪術に詳しいキャラも序盤に登場させる抜け目なさなどもあり、本格的に吸血鬼映画をやりきり、
本作直近だと『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』以来のIMAXフルサイズ映画で70mmのIMAXカメラで撮影し、IMAXGTで見ると縦長の超美麗な映像が楽しめる作品でした。
ですが『オッペンハイマー』の時も問題に感じたのですが、IMAXGTサイズの1.43 : 1と通常のIMAXサイズ1.90 : 1(通常上映よりは大きい)そして2.76:1の混合で、映像の質感も別物で変わる。やはり1.43の映像は解像度も高く美麗で圧巻。1.90は普通、逆に2.76はフィルムの粒子感と明るさに違和感がある。むしろそれがごっちゃになって不愉快に感じた。それにしても1.43のサイズの映像は圧巻だったなぁ。また今作アメリカでは65mmのフィルム上映も行っていたりするようで、クーグラ監督自身がユーチューブに登場し今作の撮影フォーマットと上映フォーマットを紹介しててとても面白かった。
そしてびっくりしたのが終盤の吸血鬼との全員での死闘の展開、画面が大きくなるという謎の演出。これがIMAXGTサイズ1.43まで大きくなるのはもはやギャグだったなぁと思った。
ここが凄い:力技で映画をまとめる旨さ
マイケル・B・ジョーダンの片割れも吸血鬼化という辛い展開。そしてどうにか倒したと思ったら、さらにおまけでクークラックスクラインとの死闘も描き、
via GIPHY
さらにはエピローグで吸血鬼要素が違う形で昇華されていると絶妙なまとめる旨さ。
ここも凄い:音楽のオリジナリティ
制作総指揮にアカデミー賞受賞者でありグラミー賞受賞のルドウィグ・ゴランソンが連ねているだけあって、音楽が作品の中心にいる作品。そもそもがブルースミュージックのゆかりのある地を舞台にし、それに対して優れた音楽は時を超えて悪魔を呼び寄せるという謎の逸話が紹介され、びっくりするようなIMAXGTいっぱいの高解像度で美しく呪術的な演出と2020年代の音楽と1930年代の音楽やアジアのテイストもいれる謎の映像。見応えこそあるのだが、その自由さに困惑するし背景に存在するルドウィグ・ゴランソンという存在がめちゃめちゃ前に出てくる。もはやこのシーンから、あれこれもしかして音楽ルドウィグ・ゴランソンというのがよぎってきて、エンドロールで製作総指揮に名前連出てきてびっくりしました。
メタファー:文化と寿命無き集合意識の統一者=吸血鬼
見ている最中は、まさかクーグラ監督がモンスター映画を撮るなんて、しかも吸血鬼映画だなんてと。その技術力の高さや、ネタとしての面白さもあって往年のカルト映画の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を思い出させてくれたわけですが、なんで吸血鬼なんだろう?と考えると寿命がないという点や意識全てを支配できる存在というこことでただ生き続け均一化であろうとする怪物として、ブルース音楽という文化を否定する存在の暗喩、また文化の盗用を得意とする存在として先住民たちから土地を奪った白人という暗喩というのもなかなかに合点がいく。人間としての80年余りが、人体の変化や衰え、それぞれの人生の喜びや悲しみを超えて、一時的に出会った何かによって人生そのものが変わる瞬間、主人公はブルースに傾倒し、そこに人生を捧げた。吸血鬼たちはそれになった瞬間、一生の均一化。永遠の始まり。
またタイトルである『罪人たち』が全然ピンとこないですが、この辺りはキリスト教としてのブルース音楽を敬愛する人たちへの罪、さらには吸血鬼たちという怪物たちの罪やそもそもスモークたちシカゴで犯罪を犯しながらも帰ってくるという、多くの罪という言葉が複数かかっていて、絶妙なタイトル。
ここが好き:エピローグ
吸血鬼になることで当時絶対に結ばれることができなかったスタックと結ばれたメアリー。メアリー演じるヘイリーさんが実は血筋としてアフリカ系アメリカ人の血が混じってて役者としてリンクしているの面白かった。最後の登場シーンでサミーの演奏を聞いてるシーン絶妙にマイケル・B・ジョーダンがヘイリーの乳首を服の上からいじってるシーン好きです。そのアホなノリ好きです。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 8.3/10
・映画の美術面 9/10
・キャラクターの魅力 8.4/10
・音楽 8.6/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
82点
絶対UHD買います。もう一度見たいです。
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