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◎【85点】バーニング 劇場版【ネタバレ 解説 考察 :やれやれ、僕は温室を焼いた】◎

製作

2018年韓国映画

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監督

イ・チャンドン
・ポエトリー アグネスの詩

出演

スティーヴン・ユァン
・ウォーキング・デッド
・オクジャ/okja

あらすじ

現代の韓国。
イ・ジョンスは大学を卒業後兵役を終えたが
小説家志望という名目で
フラフラしている青年だ。

しかし彼は、
田舎で一頭の牛を飼い農業をしていた父親が
役所の人の訪問時に暴力を振るったことで
裁判となった。
牛の世話などを行うために、
実家に帰ることになった。

そんなジョンスはある日都市部で、
幼馴染のシン・ヘミと再会する。

最初は誰だかわからなかったジョンスだが
好意を寄せてくるヘミを快く思い、
2人は親しい関係へと急速に発展する。

しかしヘミは、
これからアフリカへ長期間旅行へ行くと言う。

彼女はジョンスに旅行中に部屋で飼っている
猫の世話をすることをお願いし、
ジョンスはそれを承諾する。

彼女が旅行へ行ってから毎日部屋に行くが
猫の姿はなかった。
そしてジョンスはヘミのことを思い
彼女の部屋でオナニーをするのだった。

ある日ヘミから帰国の連絡があり、
父の農業用の中型トラックで
空港に迎えに行く。

ヘミと再会したジョンスだが、
ヘミの隣には自分とは真逆のオシャレで
高所得者の雰囲気を出す
ベン(スティーヴン・ユァン)がいた。

ベンとの関係を聞けないジョンス。
ヘミ曰くアフリカでベンと出会い、
色々と大変だったとき助けてもらい、
気があうので一緒にいるという。

一緒にご飯を食べることになった三人。
ベンはジョンスが小説家志望であると聞き、
とても興味を抱く。

ベンは友人から彼の所有する
高級車を持ってきてもらい帰ることになる。
ジョンスはヘミを止めることなく、
ベンの車に乗せて送ってもらうようにする。

数日後、
ヘミから連絡があり、
都市部で一緒に遊ぶことになるのだが
そこにはやはりベンの姿があった。

また数日後、
ヘミから連絡があり、
ジョンスの住む田舎町に
ベンと一緒にやってくる。

ヘミは何かを訴えるように倒錯している。
2人きりの時ヘミは
ジョンスが昔自分が井戸に落ちた時、
救ってくれたことを話すが、
ジョンスはそのことを覚えてなかった。

ヘミが眠ってしまった時、
ベンはジョンスに秘密を打ち明ける。

自分には変わった趣味がある。
それは2ヶ月に1度
ビニールハウスを燃やすこと。
彼は使われてなくて燃やしても
誰にも迷惑のかからない
ビニールハウスを見つけて燃やす。
それをすることで幸福感を得るという
かなりやばいやつだったのだ。

そのことはヘミはもちろん知らない。

そして次に燃やす場所ももう決めており、
それはジョンスのすぐ近くの
ビニールハウスでもうすぐだと告げる。

動揺するジョンス、
しかし眠っていたヘミが目覚めたことで
この会話の続きはできず。

またヘミの不埒な態度に
苛立ちを覚えたジョンスは
ヘミにひどいことを帰り際に言ってしまう。

また数日後、
ジョンスはベンの犯行を止めるべく、
近所のビニールハウスを
かたっぱしから回っていく。

正義感なのか、
それともベンという
異常者に惹かれていくのか
彼自身それもわからない。

しかし数日が経ったが一向に
燃やされた気配はない。

いても経ってもいられれなくなった
ジョンスはベンを尾行するようになる。

そしてその最中、
ヘミからの不審な電話があり、
またそれ以降彼女と連絡が一切とれなくなり
アパートももぬけの殻で、猫もいなかった。

ジョンスの中で何かが繋がったが、
時はすでに遅かった。

ベンが何かを知っていると思い、
より彼に執着するようになるジョンス。

そしてカフェにいるジョンスに
ビニールハウスは燃やしたかを聞くと、
もうすでに燃やし終わったというのだった。
そしてヘミのことは知らず、
またベンのとこには違う
ヘミに似た女性がやってくる。。。

ジョンスはベンがヘミの行方を
知っているのではないかと疑う。。。

2019年2月3日劇場鑑賞 2019年12本目



イントロダクション

世界的に有名な作家村上春樹の短編
『納屋を焼く』の韓国映画化作品。

村上春樹の映像化の権利を何故か
国営テレビ局のNHKが保有。

当初は2016年に撮影開始予定だったが、
製作が揉めたようで、
2018年に韓国にて公開。

日本においては2018年12月の4K放送に合わせ
NHKにて前半1時間をカットしたバージョンを
吹き替え版にて放送

その完全版にあたる本作が
2019年2月に劇場公開された。

カンヌ国際映画祭で高評された本作。
NHKが絡んでて不思議だったが、
調べた結果そういうことだったのかと納得。

なぜタイトルに「劇場版」と
つくのかもなんかわかったし。
これがアジアの監督が描く
村上春樹映画としてシリーズ1作目のようだが
今後この計画がどうなるかは
まったく公表されていないのが気になる。
そしてNHKが村上春樹の
映像権利を持っているって、
そもそも国営放送なんだぞ!
なんでそんなのが持ってんだよという不信感。

そんなことはさておき
好評だったし、
直近では唯一好評の映画だったので、
この度前情報なしで鑑賞してきた。

いやテレビ版の前半1時間丸々
カットってすごいな。

村上春樹の小説読んだことない人の感想です。

村上春樹の作品はタイトルだけ知ってて、
あとはレビューと独特な言い回しだけ
知ってる程度の人の感想です。

唯一彼が関わってる作品で
『グレート・ギャツビー』、
『ティファニーで朝食を』
上記の彼の和訳は読んだことある程度。
流暢で優雅な文体が印象的で
とても読みやすかったなぁと。

世界的に著名な作家なのに映像作品とあまり縁のないことがなんか不思議

数多の作品を持つ村上春樹ですが、
映像作品の少ないこと。

昨年にも日本でも映画化されていたり
80年代から10年代にかけて
数点映像化されてますが、
此れと言って多くの人が
目にしていない印象が多い。

むしろ本作『納屋を焼く』が
今までで一番世界中の人に見られ、
そして高い評価を得た映画に
なったように思える。

確かに村上春樹の近年の作品のレビューを
読むだけでも主人公や世界観全てが
独特な感性で彩られており、
それを映像化することに違和感を残さず
映像作品として成り立たせるのは
とても難しいだろうなと思う。

むしろ本作においては、
韓国映画らしい表現ギリギリの
暴力や精神異常さと村上春樹の持つ、
魅力と調和して、
また監督の高い映画の手腕が
すごい高い質に仕上がってた。

村上春樹版ダークな『グレート・ギャツビー』

見ていて第一に思ったことはこれ。
村上春樹自身
『グレート・ギャツビー』が
好きってのもあるけど。
見知らぬ資産家に出会った青年が、
秘密の多い彼に惹かれていくという展開は
まさにそれそのものかなと思った。

しかしこれは韓国映画。
その資産家というか金持ちの男に
隠された秘密はそりゃまぁダークなもの。

村上春樹らしい純朴ながら
欲深い主人公というものが、
映画内に体現されすぎて
第一にすごいわけです。
表情や空虚さ、
そして主人公とヒロインのやりとりの
意味がありそうで意味のない
詩的な感じがすごい。

ヒロインの内面の飢えと
主人公の空っぽさ。

そして同様に空っぽのベンという
ギャツビーらしさ。
自分同様に空っぽすぎるが
境遇が正反対の人間に惹かれたのか、
小説家志望ということに興味を持ったのか
ベンは主人公のジョンスに自分の秘密を告げる。

そして彼の次なる行動に対してジョンスは試す。

温室を焼くとは何なのか?

この映画の面白いとこは、
暗喩がうまいことかなと。
まぁ映像もすっごいんだけどね。

「私はビニールハウスを焼くことが
趣味なんです。」

これは言葉のままなのかと思いきや、
連続殺人の暗喩であると
後半になってようやくわかる。
というかそんな気がする。

映画内では明確には説明されることはなく
ジョンスの思い込みや
執念に近いものがあるわけだが、
これは見捨てられたビニールハウスという
温室というか温室で育った
見捨てられた無垢なる人の
彼なりの暗喩だったのかなと思う。

劇中で戦利品が出てくるあたりも
そうのではないかなと思う。

似たタイプの人と親しくなり殺害するベン。

その描写は一切なく、
一切ないことで
ジョンスの取り憑かれたように
ベンに執着していく様が見事であって、
それを淡々と冷静に暗喩表現する
ベンの恐ろしさも異常だが、
もともと空っぽで何もなかったジョンスが
徐々にベンという男に唐突に出会った
恋心や自分の好きなもの全てを吸収していく
ベンへの執念のような妄執のような飢えとも
思える狂気がまた恐ろしく。

ベンも恐ろしいが、
ジョンスも恐ろしいという
二つの狂気をうまく描いた監督の手腕が
すごかった。

さらに恐ろしいのがこの映画、
そうかもしれないという仮定しか描かず
ベンが白の可能性もないわけではないとこ。

ネタバレになってしまうが、
結局のところジョンスも
温室を焼くことによって、
彼もまたベンと同種の存在へとなるという
ヘミの言っていたグレートハンガーは
ジョンスだった。

2人のサイコパスの物語として
かなり見応えがあったかなと。

しかし上映時間はかなり長かったなとも思う。

イ・チャンドン監督の高い映画力

何気ない寂れた風景、よくある田舎の光景。

それをまっすぐ映画的に広角を駆使して
奥行きのある美しいショットに
するわけでもなく絶妙にバランスを崩して
見事な画にする監督の手腕にはびっくりした。

また作品内でアフリカの飢え、
精神的な飢え、踊りを音楽へと昇華させ、
それをベンという人間の生きてることを
実感するというビートへの置き換えなど
映画的に面白い試みが
幾重にも作り込まれていて、
監督の高い映画力を感じた。

極上の胸糞感

嫌だなぁと感じるものを
うまくうまく織り込んでいた。
主人公のどうしようもない最低な行いや
その父親との関係、
現れる母親の嫌な感じ。

ベンの住む家のシャレオツ感や、
ベンという人間そのもの。
彼の聞く音楽。
奔放すぎるヘミのキャラクターなどなど。

それなのに映画はある
種のオフビート感があり絶妙にテンポが悪い。

もともと中だるみとは言い切れない、
見辛さが終始あって、
それでもこの映画の持つ魅力に気づいた時
極上の胸糞感に浸れる。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.8/10
・映像のアプローチ 8.8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8.5/10
・音楽 9/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
85点
感想うまく書けなかった。
もっと早く感想書いた方が良かったな。。。。

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