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◎ショート・ターム 「純度の高いドラマ映画なのだが、いまいちインパクトがない」78点◎

「ミイラ取りがミイラになる王道」

ショート・ターム
アメリカ2013年アメリカ映画アメリカ

ショート・ターム12。そこは、短期児童養護施設。
親とは暮らせない子供たちが、短い間引き取られる養護施設が舞台のドラマ映画。
心の中に問題を抱える少年少女とそこで働く人々の物語。
主人公は、その施設の主任クラスの女性スタッフのグレイス。
長年働く彼女は、まさにこの手のプロ!!
しかし新しくやってきた少女、ジェイデンに、自分の過去を重ね、かなり入れ込んでしまう。
さらには、恋人との関係が次に進むことを感じ、「家族」という問題に直面する。
そんなミイラ取りがミイラになる映画
これぞミニシアターな低予算でこじんまりとしたディープな人間ドラマ!!
小さい世界を舞台に濃厚な人間ドラマが描かれる。
そして印象的なのが、その映像の撮り方。
一貫して、手持ちカメラを用い、安定もさせない。
これは登場人物の心情を映像で表現しているにちがいない。
ひたすら揺れ動く画面は、まさに登場人物全てのキャラの心に動揺があることを物語っている。
またなるべく肩越しなどではなく、誰かが見ている視点のような構成の多様により、映画の中にいるような気持ちになる。
正直、重いし、ギスギスしている。
キャラクターたちのドラマを縫うように映す映像もすごいのだが、さらにすごいことに、俳優たちの演技力の完成度も素晴らしい。
自傷するキャラクターが多く、その迫真さも高い。
特に主人公のグレイスは、アカデミー賞にノミネートしてもおかしくないと思う。
そういった完成度の高さから、まるでドキュメンタリー映画でも見ているような自然さがあるのだ。
でもオリジナリティーがない。
確かに素晴らしく、純度の高いドラマ映画なのだが、いまいちインパクトがない。
どっかの渋谷の映画館で、味わったことのある感覚をまた味わったような。
そんな感想なのだ。
確かに感動して、泣きそうにもなったのだが、ちょっと違う。
同じドラマ映画として『猿の惑星:ライジング』に比べると、真新しさもない。
確かに映像はいいし、作風のギスギスした感じと相反する舞台のショート・ターム12の照明の暖かさや暖色系な感じは、心地いいのだが…でもコンセプトが強すぎる。
悪く言えば、あざといのだが、そこもそんな感じない。
おすすめはできるのだが、とことんインパクトがない。
これでアカデミー賞とか著名な賞に演技賞で受賞していたら、太鼓判もできるのだが。
メモ得点メモ
物語の面白さと上映時間 8/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 6/10
キャラクターの魅力 8/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 8.5/10
音楽 7/10
俺の趣味 8/10
78
いい映画でした。

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