12年間のごとに愛する人を変えて
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2023年アメリカ映画
もしまた12年後があればどうなるのだろうか?
そして前世と今世と来世
キャスト
パスト ライブズ/再会のストーリーは?
ネタバレ あらすじ
2024年4月14日劇場鑑賞
2024年23本目
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概要:12年間隔で描かれるアメリカと韓国の遠距離恋愛???
2024年に開催された
ゴールデングローブ賞と
アカデミー賞に作品賞と
脚本賞にノミネートし
ゴールデングローブ賞では
監督賞と主演女優賞もノミネートし
その他のアメリカ国内の
多数の映画賞でノミネートしまくった
2024年を代表する作品
『パスト ライブス/再会』
を鑑賞しました。
主要賞レースでは
ノミネート止まりではありましたが
低予算向けだったり
自主制作よりの作品の賞レースでは
多数の賞を受賞していた本作。
自分も鑑賞しましたが
2020年代版『ビフォア・サンライズ』か?
という感想。
12歳まで韓国で一緒に育った
男女だったが、
特権階級の女性は
よりグローバルに生きられるように
カナダへ家族により突如連れてかれてしまう。
それがトラウマになった男は、
12年後。
韓国ならでは兵役という
死の可能性を夢想した時
彼女のことを思い出す。
逆に過去を懐かしんだ彼女は
かつて自分の甘い記憶と共に
置いてきた故郷の思い出を
思い出すように軽い気持ちで
彼と連絡をとったことをきっかけに
2人の時間が再び動き出すのだが。
そこには絶対的にどうしようもできない
アメリカと韓国という遠距離や時差。
それを越えられない
資本と自分の置かれている環境で
生き抜く必要があるという人生が
淡い恋愛に対して
辛辣な現実を突きつけてくるのであった。
彼との淡い過去の可能性よりも
自分が将来どうなりたいかという
実際の人生を選んだ彼女は
彼との関係を断つことを決め
新たな踏み台のように
アメリカ人との恋、
そして結婚という住民権の土台を
着実に手にしていく。
逆に12年後
彼女ともお家柄のせいで
うまいこといかなかった彼は
過去の淡い夢をもう一度見るように
遂にアメリカ、ニューヨークに
彼女に会いにいくわけだが、
その嘘みたいな遠距離恋愛に
巻き込まれる彼女のアメリカ人の夫。
めっちゃ不憫
しかし彼女が見ているのは彼ではなく
彼との思い出にある
自分の韓国で過ごして
彼と結婚したかもしれないという
韓国人としての理想的な日常の夢と
12年間の思い出だった。
彼はそれを気づき
身を引くのだが。
という地獄のような感想を抱いたわけです。
感想:鬼畜過ぎるだろう
と見てて
なんじゃこりゃ
と思ったわけではある。
自分のことをずっと好きでいてくれる
であろう韓国人の男と
アメリカ人の夫。
冒頭から2人の男に思われている自分に
若干酔ってるような趣があるわけだが
おっさんとしてはかなりしんどかった。
確かに
リチャード・リンクレイターの
『ビフォア』シリーズの
趣があってそれのリバイバルで
オルタナな感じが
映画ファンの心を掴むのもわかるし
現代的なアプローチとも言える
アジア系アメリカ人の物語を
紡いでいる点もアメリカにとっては
非常に価値のある
作風なのではないかと思う。
移住することによって奪われた思春期の
淡い恋とそれを取り戻そうとする男という
淡さがたまらなく切なく
それでいてそこに間男のポジションに
なった夫の絶妙な立場。
芯がありそうでも
めちゃめちゃ揺れてる女。
彼女が夫に利発的に愛情表現を
しているようには思えないのが
また見ていて辛い。
夫が「自分を利用しているのではないか?」
と不安に思う気持ちが非常にわかる。
都合のいい存在なのかもしれないと。
12年後があったら自殺してるかもよ。
彼女にとっては全てが
メタファーであって
韓国人の男は
彼女が韓国で成し得たかもしれない
デートの追憶を楽しんでいるのでは?
本質的には全てが彼女の踏み台にしか
見えなくなってしまって
なかなかしんどいし。
何見せられてんだろう?
と思うところはあったわけです。
魅力:ニューヨーク観光映画
となかなかにアンニュイな
気分を味わせてくれるが
ニューヨークでの彼との
小旅行がなんとも魅力的で
会話をしている背景に映る
ニューヨークやら
レストランのワンシーンなど
大掛かりな映像でなくても
魅力たっぷりに映されてて
かなりストレスを和らげてくれるし
音楽も含めて
時間を作ってみる価値のある
映画になっていたなぁと思うのであった。
ここが巧み:韓国の格言を交えて
このアンニュイな物語を
絶妙にしているのは
アジアンな格言。
韓国では縁があった人は
前世でも何かしら触れ合った人。
そして今回はより強い縁で結ばれた。
もしかしたら前世では
韓国の人と結婚していたのかもしれない。
という絶妙な格言を映画全体に
浸透させている。
めちゃめちゃ巧み
自分勝手に思える女性に対して
この前世との関連があったとか
ニューヨークの街並みだとか。
そもそもの映画のタイトルが
『前世』ってタイトルですからね。
そして上映時間が
106分という手軽さ。
主張と物語と
映像と音楽のバランスが
非常に良くて
低予算だってすっごく
わかりやすいけど
シナリオにギミックを盛り込み
お金をかけずに
優れた映像を導き出せた
非常に優れた
映画だったなぁと
思ったのでした。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 7.6/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7.5/10
・上映時間と個人的趣味 7.7/10
78点
ただあまり人には
お勧めしないかなぁと
映画好きな人なら
技巧的で素晴らしい映画だ!
ってなるだろうけど
それ以降の発展がなぁ。
強いていうなら
また12年後にこの人たちが
どうなってるだろうか?
という論点のアプローチは
ありだろうなぁぁ。
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