2014年アメリカ映画
夜のロサンゼルスを舞台にアメリカの本質を描く最凶の一本!!
謎のギルロイ家の新星現る!!
『ボーン・レガシー』の監督や、『ボーン・~』シリーズの脚本を手がけたトニー・ギルロイ監督の
弟のダン・ギルロイの初監督作品。もちろん脚本も手がけている。
ちなみにダン・ギルロイの双子の兄は、映画編集マン。
という謎のギルロイ家の新星と濃厚な演技で映画をいつも彩るジェイク・ギレンホール。
二人が産み出した本作は、アメリカの都市部を毎晩駆け抜けるスクープ屋、通称ナイトクローラーを描いた一本。
正体不明でどこからきてどうやって育ったのか全く不明の男、ルイス。
彼はこそどろをしながら、ロサンゼルスで生計を立てる謎の男。
彼の言動は考え方全ては、自己啓発本から拝借したようなものばかり。
そんな彼は、ある夜、ナイトクローラーという仕事に出会う。
たった一回の事件を映像に収めるだけで、大金がもらえる。
最高の仕事に出会ったルイスは、ナイトクローラーとしてなし上がっていく!!!
ルイスを演じるのは、もちろんジェイク・ギレンホール。
今作ではプロデューサーとしても参加している。
おかしいよ、おかしいですよ、カテジナさん!
映画全く、関係ないけどもという見出し。
この映画かなりマッドでした
社会病質者として生み出されたルイス。
その彼が、人の悲劇を餌にしてなし上がっていく様を描く本作。
パンフを読めば、そもそも、このナイトクローラーという職種をやっている人たちが本気でやばい人たちなのがわかるが、本作で出てくるルイスはもっとやばい。
映画的に仕上がっている。
それを産み出したジェイク・ギレンホールのおかげとも言えるが、本当にすごい。
吸血鬼じゃねえか
いや、この映画本当は現代の吸血鬼を描いた一本でしょ。
日中は家に引きこもり、夜になると街をさまよい人の血を求める。
その根源ってやっぱり吸血鬼だよね。
それをモチーフにしたようにルイスはまるでヴァンパイア伯爵のように色白で目くぼんでいる。
そして人間とは違うもののようにぎょろりとした目。
午前中は、サングラスを着用、なぜか夜でも着用。
そして言動はビジネス書から拝借したように魂よりも資本のみを追うような感情よりもただ自己の利益のみを追求したとても冷たい言葉を吐く。
そんな狂った男の生き様は見ていてとても腹立たしく、気持ち悪い。
だが映画は、彼の成功を祝福するようだった。
彼が決定的な大事故に出会った際、そして軽い犯罪を起こしている際に流れる音楽は、身も凍りつくような不穏な音ではない、彼の成功や道が開けたことを祝福するような音が流れる。
あくまでも狂った男のサイコなスリラーである本作なのに、音楽は安いヒューマン映画のようになっている。
すさまじいマッド。
資本主義社会に因果応報は存在しない、あるのはより強いものより狡猾なものの勝利だけだ。
ロサンゼルスという特異な場所だから成り立つのか?それともこれこそが資本主義社会の本質なのか、映画は思いもよらぬ形で終わる。最後の最後まで不愉快だ。
それを作り上げた監督、俳優は素晴らしい。
映像センスはんぱねぇ!!
映画の俳優の素晴らしさはいうまでもなく、脚本の胸糞悪さと、題材を選んだセンスも素晴らしい、じゃあ映像はどうか?というと
もちろん映像も素晴らしい。
映像に関しては素人のルイスは、手持ちカメラを片手に事故現場に突入する。
それはもちろん、映画用に作られた事故現場だが、それをどう撮影するか、撮影者をどう写すか?
被写体を撮影するものを撮影するという異質な状況をハッとさせる映像構成で描いていた。
事故現場の配置、そしてルイスの行動、そしてルイスが最高の撮影場所を見つけた時、その全てが印象的で素晴らしい。Blu-rayを買ってでも手にしたいものになっていた。
殺人事件直後の現場に突入
これを手持ちカメラで乗り込む、ルイス。それを後ろから手持ちで肩舐めで撮影するわけで、そのルイスという撮影者を観察しつつもルイスの大スクープに高揚しつつもどこまでも冷静である姿を最高にスリリングに収めている。
このシーンはジェイクも最高だった。てかジェイクはずっと最高だった。
終盤のカーチェイスも最高だった
ルイスの使っている車はダッジ・チャレンジャー、マスタング系のスポーツカー。
それでスクープを追うべく、終盤爆走。パトカーと犯罪者の車を追いかける複雑なカーチェイス。
その様が見事で素晴らしい。あの走りっぷり、最近だと『アウトロー』のトム・クルーズのものに近い。カーチェイスも見応えあり。さすがギルロイ一家だ!!(『ボーン・スプレマシー』よかったよね。)
その後の展開も最高。
観客はスクープを目撃する。
その真相に驚愕する。
そういうことですよね。うんうん。ジェイク・ギレンホールが最高すぎる。
ジェイク・ギレンホールが天才だった件。
追記になりますが、忘れてならないのが、ギレンホールが本作のプロデューサーとしても参加している件。
パンフレットにその件についてインタビューがあるわけなのですが、ギレンホールが映画に対してとても理智的に参加していることが垣間見れる。
俳優として常に考えて行動し、また映画製作者として常に良いものを作ることにこだわり働いている。
映画俳優だけでなく、プロデューサーとしても有能で、しかもこんなに緻密に物事を考えるとは。
天才でしょ。
ちなみに本作の裏側にあるナイトクローラー。インタビュー通りに本作作っているわけで、ナイトクローラーはまじ狂った怪物であり吸血鬼だったわけですね。
あとジェイク・ギレンホールの次回作『エベレスト』。全然興味なかったけども、これは見なくては。
得点
物語の面白さと上映時間 9/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 9.5/10
キャラクターの魅力 9/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 10/10
音楽 8/10
俺の趣味 9.7/10
94点
唯一気になったのが、このルイスという男の背景が謎すぎる。
そもそもこれだけのバイタリティーだったらもっと以前から成功してそうだが。
社会病質者として孤立し続けていたのだろうか?
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