「旧時代の技術で新時代を描く21世紀を代表する「映画」。」
2010年度アメリカ制作
製作
ケヴィン・スペイシー
監督
デヴィッド・フィンチャー
(ファイトクラブ)
出演
ジェシー・アイゼンバーグ
(ゾンビランド)
アンドリュー・ガーフィールド
(Dr.パルナサスの鏡)
ジャスティン・ティンバレイク
ラシダ・ジョーンズ
(40男のバージンロード)
予告
STORY
2003年秋のアメリカ。
大学1年生のマーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は恋人のエリカと食事をしていた。何の変哲の無い会話だったが、いつの間にかテンションが上がってしまいマークは失言をしてしまう。それに腹を立てたエリカはマークを振ってしまう。
足早に学生寮に帰るマーク。
帰ったマークは腹いせに自分のブログに彼女の悪口を書く、そして大学内で誰が美人か?を決めるプログラムを躍起になって作ってしまうのだった。
しかしアクセス数の増大で学校のサイトがフリーズ、悪事はばれてしまうのだった。
学内で処分を受けた彼は、学内の女子全員を敵に回す。
そんな彼に目を付けたのが、学内でボート部のエリートであった双子のウィンクルボス兄弟とその友人。
マークを利用して、自分たちが作ろうとしていたハーバード大学の出会い系サイトを完成させようとする。
マークはそのアイデアを気に入りプログラムを持ち帰りそれの開発をするが…。
ウィンクルボス兄弟はマークと連絡が一行に取れなかった。マークは彼らのサイトを作ろうとはせず、独自のサイトを作り始めていた。親友であるルームメイトのエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)にお金の融資を頼み、実質的に二人は共同経営者のようになる。
そしてそれから3年ぐらい経った時。
マークは二つの訴訟を抱えていた。それは彼が作ったサイトがウィンクルボス兄弟のアイデアを盗んだものだとウィンクル兄弟が彼を訴えたからだ。
そしてもう一つの訴訟は…親友であったエドゥアルドが原告であった…。
2011年1月27日鑑賞
感想
本年度ゴールデングローブ賞作品賞脚本賞監督賞受賞作品。
要するにすごい映画。
自分このデヴィッド・フィンチャーが一番好きな監督だったりするんですが、今作は初めて見た感想は、デヴィッド・フィンチャーらしくないなぁーと思いました。
まぁーやっぱりフィンチャーの中ではファイトクラブが一番好きなんですがね。セブンともゾディアックともベンジャミンバトンとも、全く違う映画になったなぁーと。
フィンチャー映画ってもっとこう。長ったるくて、それでいてどんよりしていてダークだった気がするんだが…。
そういうズシンとくる重みは本作には、いまいちなくて…テンポ良いしインパクトないし、淡々として会話ばかりがつづく。まぁー普通に面白いんだけど。個性ないなー。と思った。
でーフィンチャーの映画について個人的に更に言及をすると、彼にはタッグを組む脚本家みたいなのがいないんだね。
普通ここ10年間それなりに映画を撮って活躍する監督となると脚本を自分で書いたり決まった脚本家がいたりとするものだと思うのだけど、前作ベンジャミンバトンでは、フォレスト・ガンプの脚本家とタッグを組。出世作のセブンでは、無名だけど頑張ったライターのデビュー作(9年越しだっけ?)でー同じくファイトクラブも原作ありきだっけ?
と言うわけで今回の映画も初タッグの近年ではチャーリー・ウィルソンズ・ウォーという社会派映画の脚本の人との映画がソーシャル・ネットワークというわけみたいです。
確かに本作はチャーリー・ウィルソンズ・ウォーに似ているとも言えなくもないが、舞台移動が全く無いので、あっちより地味です。
監督らしさが垣間見れないのはまぁー仕方ないとして、まぁー残念なんですがね。
映画自体の普通さ(一見したらの話で)も驚きだったかな。
ここまで淡々とした映画によくしたなぁーと。正直ぽくないとしか言いようがないですが。
ただ気づいてないかもしれないですがね。本作は凄い映画なんだとも思いますよ。
それは無名の俳優たちが、普通の俳優として普通に存在して、また古来の映画のようにもの静かにただずんでいるのですが、それは驚く事なかれ若者の存在するレストランだとか大学だとかになるわけで、クラブさえも平然と映画内に存在しているのです。つまりは現代を現代っぽくなく映し、また扱っている内容もどこまでも現代的でまた最年少の億万長者というおじさん俳優もビックリな前代未聞の内容をどこまでも真剣におふざけなく切り取っているのです。
つまり21世紀という新時代に順応した古来の映画をいとも簡単に作りあげたと自分は解釈しています。
そんな映画だったら評論家達はこぞって称賛するでしょう。例え内容が淡々としてようが、盛り上がりがなかろうが、主人公に感情移入が出来まいが。
現代の人間を実にわかりやすくそれでいて優雅に切り取った映画なのですから。
しかも本作はバッドエンドで終わっているのです。
「成功を手にした男は孤独だった。」
「孤独が嫌だから自分の居場所を作って成功を手にした男は、孤独でしかなかった。ちなみにそれは24歳の億万長者である。」
つまるところ、現代とは若者とは、全く持って理解などできない存在である。
21世紀とはそういう世界の幕開けなのである。
と高らかに歌ったわけである。
という解釈。(苦笑)
もしアカデミー賞を英国王のスピーチが獲らなかったら完全にこういうことだと思う。(苦笑)
まぁーそれはさておき。
自分はね。マークがねとことん「普通の人間」にしか見えなかった。(笑)
だからまぁー良いも悪いも思えずに「こういうことあるよねー。」ぐらいな。(苦笑)
特に印象的だったシーン(個人的に最高だった。)
親友のエドゥアルドと祝杯をするため急いで部屋に戻る二人。
んで先に入ったエドゥアルドがマークの分のビールを取り出し自分の分の蓋を空けて飲む。
だがマークは、自ら冷蔵庫からビールを取り出し、それの蓋を空け飲む。
エドゥアルドはビールをずっと二本持っている。マークは気づかないまま会話をする。
なんだろ?すごいあるよね。こういうこと。すげぇ顕著にマークが自分のことしか頭にないのがわかったし、そりゃぁまぁー当然の展開だよなぁーって思った。
一人で劇場内で吹き出してしまった。あれを上手く何事もなく描くとはやるな監督。
そうそうパンフにはあり得ない程びっしりと監督と脚本のインタビューがあって読み切れなくてビックリした。(苦笑)
それを読んで思ったのが、脚本家の書いた映画とフィンチャーの描いた映画はやや違うものに仕上がっているなぁーと思った。脚本家の言うことに何度か「そんなセリフだったけ?」と疑問を抱いた。もしかしたら翻訳が誤訳だったのかもしれない。
あと映画内にはアドリブが全くないらしい。それについてはちょっと退いたな。(苦笑)
脚本家のやる気がやばいね。(笑)だからフィンチャーの映画ぽくなかったのかな?でもあの人はそういうの気にしなさそう。完璧主義者だからビジョンが見えたらやらなそう。(笑)
自分は主演のジェシー・アイゼンバーグが大好きなのですが、彼の演技は普通過ぎて怖かったですね。
でもブラッド・ピットもフィンチャーのおかげで大きくなれたわけですから、これを気に映画で見る機会が急増しそうです。
アンドリュー・ガーフィールドなんて次回のスパイダーマンですからね。(苦笑)
すごいことです。
音楽に関しては、トロン・レガシーなんかよりずっと映画らしくないBGMでとても良かったです。
冒頭にホワイト・ストライプス流すなんてクール過ぎでしょ。
オープニングの夜の町を疾走するのがすっごい良かった。あの孤独感と遠目からのアングルなどかなり印象的だった。
地味な映画で感情性の無い映画だけど随分良い映像がいっぱいあったな。
それが監督の腕か…。(笑)
「少しの敵を作ること無しでは500億人の友を手に入れることは出来ない。」
ということがアメリカのキャッチコピーで、日本では主役の人は何者なんだ?風ですが、アメリカの方が話に迫っていて良いですよね。正確にはそのキャッチコピーは
「親しい友を全て敵にすること無しでは500億人の他人を手に入れることは出来ない。」
という映画の終末の皮肉に結びつき
「それに意味はあるのか?」
という訴えとさえも感じとれ、マーク・ザッカーバーグへの批判にさえ繋げられることもできます。
「どこまでも孤独」
が映画内に鳴り響くのですが、ラストでは物語の起因に結び付く辺りが個人的にはスマートな物語だな。と感じました。
そうです。本作は実際作り話であって自伝ではないわけです。原作も脚本と同時に執筆されて、マークザッカーバーグ本人は主人公のマークよりも社交的で明るいのです。つまり映画は直接的にフェィスブック創設の裏側と結びつけるよりは、「どこまでも孤独」と結びつける方が正しい見方であるのかもしれません。
得点
8点
どこまでも見やすい映画で、裏にはいっぱい思惑の込められた複雑な映画としての面白さも兼ね揃えています。その入り口はどこなのか?は、自分もよくわかりません。
正直何回でも見れそうな映画ですね。
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