「テレビ映画の最終兵器を見て、テレビ映画の価値を疑え!!」
2010年日本制作
STORY
前作から7年後の物語。
サラリーマンから転職して警官になった青島(織田裕二)は、ついに、係長に出世した。
以前と違い、主要メンバーも一心し、頑張っている青島に、重要な任務を託された。
それは、現勤務地の湾岸署から新しい湾岸署への引っ越しの指揮をとることだった。
だがその引っ越し作業の中、不審な事件が同時に起き、更に拳銃が盗まれてしまう。
その矢先、拳銃が使われた事件が起きてしまうのだった。
2010年7月20日鑑賞
感想
日本で一番、多くの人が映画館で見た実写日本映画と言えば、やっぱり前作だと自分は思う。
正直言って、前作は見た際、結構面白かったし、これからの日本映画の行く先にワクワクした。
だが、本作を見てしまうと、その面白ささえ疑問に思う程、本作は、過去から見えた日本映画の未来の延長線上に存在する、欺瞞とも言える、日本映画の商業的肥大さによる、衰退が顕著に現れるとても酷い映画になってしまった。
いや言ってしまえば、本作は映画などではない。映画として位置づけることは、今までの既存の映画というものに対して大変失礼であって、認めることなど到底許されないお遊びだ。
だったらそんな映画全部見れないじゃないか?と思うが、自分はちゃんと鑑賞することが出来た。
本作のやってることの低能さや、映画として成立していない状況が、むしろとても奇怪で、「これが、テレビ映画の最終兵器の実力なのか。」とあざ笑えることが嬉しくてたまらないから、全然見ていられる。
逆に本作はそういう意味では価値の高い、最高の駄作だ。
さてさて、前置きもここらにし、本作を出来る限りぶった切って行こうと思う。
とりあえず本作が最高にダメな理由の一つは、映画の話自体がとても面白くない。
これ正直致命的というか、そもそもこの映画作る必要あったの?そのレベルで話がつまらない。
それについて製作の人はこう言ってます。「テレビ映画は、人が見やすい映画でなくてはいけない。」
はいつまりテレビ映画とは、面白い必要は無いんです。難解でも行けないんです。
ただ単に、全ての人が楽しめる、話で有れば良いのです。
百歩譲ってそれもよしとしますが、本作の更にやばい点は、映画自体、ちゃんと成立していない為、ある意味難解なのです。
正直言いますが、本作はカットが繋がっていないのです。
死亡確定の人間が2秒後のカットでは無傷で突っ立っているという恐ろしいシーンが終盤存在します。
これは本当にビックリです。理論的に異常という難解なテレビ映画の大本命です。
本当にビックリです。
まぁーそんなのが一つや二つならまだしも。
この映画自体、面白い映画作る気があったのかさえ謎な程、そういった酷い要素がとてもいっぱいの恐ろしい映画です。
まず第一に、本作の起承転結の起の要素である。拳銃盗難事件。
これ実際起こったら相当まずくね?
というか、引っ越しのどさくさに紛れて、そういうことが起きるという衝撃の展開。
これ、まともな脚本家なら書こうともしないだろうし、まともな製作陣なら、OKサインが出るはずないんですよね。でもそれで通ったんだからね。正直驚きです。
そもそもこんな話聞いて、現実世界の警察に対して、こういったイメージを持つ可能性があるかもしれないのに、正直本当にどうなんだろ。しかもそれが物語の発端で、それが異常というのも、もうすでに本作が酷いというのが顕著に現れてる。
またそれをもみ消そうとする、警察署の上層部が倫理的にやばい。
確かに、本作は、前2作のおかげでブランド化した作品であり、世界観というのも確立された作品だが、10年ぶりの新作でいきなり、倫理的にまずい人間の登場はいかがなものか。
また本作での彼らの存在が、お遊戯としか言えない。
記者会見場で、やつれたメイクをする三人の姿は滑稽より、倫理的に異常であり、やはり怪訝な存在であり。この映画が奇妙な映画であることを顕著に表している。
それをやろうとする製作陣は本当にやばいのだ。金さえ入れば関係ない。それが全てとも顕著に現れている。
そういうメリハリの無さが、一カ所で無く、全てに渡っているのがまた本作が酷い。
映画ということで、前作同様に命の危機を本作でも扱う。
前2作がなかなか印象的であったのでわざわざ入れたのかもしれないが、本作では主人公である青島が余命わずかと宣告される要素がある。
それが終盤まで物語に絡んで、思い要素になると思いきやその要素は、その告白から数分後に見てる側のみだけに一蹴され、映画の主要キャラだけが、その事実をしらないという衝撃の展開になる。
正直この演出もまた最大に奇怪で、映画を見てる人を一体どうしたいのか。本作に対して何を思わせたいのか、本当に恐ろしい。
そして見てる側は、驚きや感動も無いのに、映画のキャラは終盤その要素を使い、勝手に感動的なシーンを生み出そうとするのだ。
すっごい。すっごいそのシーンは奇怪。見てる側は退屈でやばいのに、映画館のスピーカーからは、大音量で感動を誘発させる音楽が流れて俳優は涙を流している。
その内容自体全く意味が無いことを見てる側は知ってるというのに、一体何を考えてるんだ制作者は。
そのシーンだけで、テレビ映画終焉をとても感じさせてくれる。
そして事件は進んで行くが、本作が最低なのが、事件的に広がりが無い。
てか製作陣は映画を見てるのだろうか?本当に酷い。
そもそも前作は、大規模な程お台場を広域にロケをしていて、劇場にふさわしい壮大な事件で、楽しめたのだが、本作はなんとそう言った要素が一切なく、湾岸署と1作目の犯人をフューチャーしただけという、とても広がりのないこじんまりした事件だ。
またその1作目の犯人を純粋な悪として扱ってるが、それがあからさまに傑作ダークナイトを意識している。
強大な悪に惹かれた人々の暴走という展開とその強大な悪の暴走という、ダークナイトの真似事が、本当に、ただの真似事レベルの質で描かれていて、本当に残念。
また本作にはトゥーフェイスのような存在で小栗が出てくるがこいつもまた酷い。それはもう少ししたら書きたいと思う。
その真似事があまりに酷く、とことんやばいわけだが、本作の独特な勧善懲悪感についてもやっぱり言いたい。
今作には、正直、脚本の君塚の思想が全面に出てる。
ネットが悪いとか、漫画喫茶が悪いとか、派遣酷いとか。
そういう偏見が本作には顕著でそれがむしろ前作から存在していたのだが、前作まではむしろその考え方が一つの個性として楽しめたが、本作の露骨さで前作の良さに疑問さえ抱けるのだ。
またその思想が結構やばいのは登場人物にも出てくる。和久の甥の無意味さ。そして謎の日本語を話す外人。彼が警官の時点で結構やばいし、それが全く笑えないのもまたやばい。
また若手警官としてパソコンをひたすらいじり最終的に「事件解決するほうが、ゲームの何倍も面白いや」という驚愕のセリフを残す刑事がいるのだが、彼が刑事なのが結構やばいとも思うが、最後の一言、正直彼こそ、これからバットマンの悪役化するにふさわしい程の異常人物。
でもそれも考えずに、若者の特徴を持ったキャラを作っただけなのだが、その着想の幼稚さと言うか、酷い偏見が本当にやばい。
またそれを大部経験豊富な脚本家がやるのが本当にやばい。
そして本作の演出面でも本作は最高にやばい。
閉じ込められた仲間を助ける為に、絶対空かない扉を開ける為に主人公が取った行動が凄い。
そこらへんにあったちょっと太い木で、ひたすら扉を殴るのだ。
勿論扉は開かないが、そこをスローモーションにし、感動的なシーンへと昇華させようとする。
実際、そうとう頭の悪い、倫理的に異常な展開で、そこを感動にしようとする衝撃な演出はもうお手上げだ。
まぁー本作の登場人物の思考力の低さは映画史にも残る程、凄いレベルだ。楽しめる人もそれなりに思考能力の低い人かもしれない。それ程やばい。
また犯人を捕まえるシーンで犯人に気づくシーンがあるが、それがまさかの、犯人が潜入中常時ピンクのリュックを背負っててそれを犯人が潜む漫画喫茶で見かけるという点で御用になるのだが、いやそれ本当にやばい。
そんなミスハリウッド映画で見たことないよ。
言ってしまえば、本作は、アメリカのコメディー映画に非常に酷似している。
それぐらい不可解で異常で、抱腹絶倒なシーンが多種多様にある。
だがもっと恐ろしいのが、本作が笑えることを製作陣は気づいていない。作ってる側は真剣なのだ。
だからこそ見てる側は笑うことが許されない、もう正に脳の思考は止まるしかないのだ。
さて問題はその後のシーンだ。
その犯人を捕まえるシーンであの日本語がしゃべれない刑事が拳法を使い、捕まえるのだが…。
そのシーンがまるまるカット。
次のシーンでは犯人が気を失っているというまさかの展開。
こいつら面白い映画作る気あるのか。
そんでついにラストです。
ちなみにここまで気合いで爆弾を止めたり、実は警察署に爆弾は無かったりと、無駄だらけのシーンがいっぱいあります。
それに対して主人公は何をしたかというと何もしてないんです。
本作の奇怪なとこナンバーワンは、主人公が何もしていないのに事件が解決するのです。
それはつまり上映時間があと15分位しかないからです。
主人公が翻弄されるわけでもなく、この映画は進み、気がついたら、ラストになるという全く衝撃の映画です。
そして本作が2番目に映画としてやばい、いや脚本としてやばいのは、本作には葛藤というものが全くないのです。前作までは上手いこと、青島と室井が終盤になるとぶつかり合って、感動的なシーンや名言が生まれますが、本作は皆無。
人間同士のぶつかり合いも全くなく、むしろちゃんと脚本がかけてないし、挙げ句そのレベルが、映画学校の学生のレベルよりも酷く、何一つ人間も描けてなければ、事件もまともに描けてもいない。
いったいこの映画にしてはとても長い2時間30分という時間に何も描くことができないという衝撃の映画なのです。
そして最大にやばいのが、ラストの盛り上がりの映像が異様にちゃっちー。
ガラスの破片が降り注ぐにに、誰一人傷つかない。
そうそう。
皆さん言い忘れてましたが、小栗の役のキャラがまた酷いんですよ。
彼至近距離でパソコンの画面が爆発して、片目をやられるんですが。(パソコンの画面だけ爆発するシステム自体凄まじく謎。パソコン吹っ飛ばせば解るけど、画面って)
でも彼、最後爆弾が爆発する建物の窓付近にいて、吹っ飛ぶんですが、次のシーンでは傷一つなく、普通に立ってるんですよ。
普通腕一本無くなってるか、大重体で、挙げ句車いすでラスト登場が定石なはずなのに、無傷って挙げ句、彼「犯罪者は皆死ねばいい」とか言っちゃうんですよね。その着想が明確じゃないのもまた酷い。
そういうわけで、もうこれ映画として成立自体してないし、上映時間短くすべきだったし、むしろ作らなければよかったというか、良い意味で、テレビ映画の価値の低さを体現してるというか、これを気に完全なテレビ映画離れしちゃうんじゃないの?ってぐらいすっごい酷いの出来ちゃったわけです。
最後の最後に本作のヒロインが主人公に
「あんたなんか本当に死んじゃえば良いのに」
というんですが、これがこの映画自体の主題だとおもいます。
「こんな映画いらないんだよ」
そのセリフの後言った本人だけその場に残っていて主役の方はいなくなっています。
つまりそんな意見聞く程余裕が無いと。最後に上手く
映画的に描いているというわけですな。
得点
2点
本当に酷い映画です。全然面白くないし。でも自分的には酷い映画を見る機会が出来て、それに付いて文章がかけたので良かったです。
ちなみに次回作がもし作られるなら
冒頭で青島とすみれの結婚式がいきなり始まり、でも青島は部下の内田有紀と肉体関係を持ってしまう。
そして今作で実は、重体になっていた、小栗が眼帯と異様な義手で現れ重犯罪者を取り締まるため、武力行使を試行しようとするという衝撃の展開で、署長の真下と室井が何者かに暗殺され、その犯人が小栗で「無能な人間の存在こそ、犯罪だ。オレが全てを調節する」とか言い出して、義手が異様な武器化する、そして囚われてしまう、すみれと内田、青島はどっちを選ぶのか?
という衝撃の展開じゃないと、許せない。
とりあえず、製作の亀山と監督の本広と脚本の君塚が業界からしばらく干されないと納得いかない。
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