「ヒーロー映画の起源としての参考として」
1990年アメリカ制作
監督
サム・ライミ
(スパイダーマン3、死霊のはらわた2、スペル)
出演
リーアム・ニーソン
(特攻野郎Aチーム THE MOVIE、96時間、バットマン ビギンズ、シンドラーのリスト)
フランシス・マクドーマンドー
(ファーゴ、バーン・アフター・リーディング、トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン)
予告編
あらすじ
ペイトン博士(リーアム・ニーソン)は人工皮膚の研究をしていた。彼が生み出した脅威の皮膚は残念ながら99分しか持つ事ができず、そのまま壊れてしまう。
そして、ペイトンの恋人であるジュリー(フランシス・マクドーマンド)は弁護士であり、ギャングのコリンが関係している機密文章を発見する。
彼女が仕事に出かけると自宅兼研究所にコリンとその仲間達が現れ、機密文章を手に入れる為に、ペイトンとその助手に拷問を行い、家もろとも爆発させられてしまう。
帰宅すると何もかも奪われたジュリーは悲しみに暮れる。
しかしペイトンは生きていた。だが彼の体はコリン達の拷問により皮膚は大やけどをし、爆発の影響で体はボロボロで、痛みを感じないからだになって奇跡的に生きていたのだった。
痛みを感じないことにより精神にも異常を来したペイトンは、病院から脱走し自身の体の状態をし、途方に暮れ、自身の研究だった人工皮膚を使いもう一度もとの姿に戻る努力をするのだが、ジュリーの付近にはコリンの姿があり、コリンたちに復讐を行う。
2011年11月1日鑑賞
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感想
サム・ライミが監督、脚本、原案を考えた作品で、調べてみると彼の監督作品3作目となる、なかなか面白い文献作品。
もともとは、映画評論家の町山さんのツィッター上で、彼が好きな映画を挙げるというイベントが唐突に起き、そこでサム・ライミ枠で出てきたのがこの作品『ダークマン』というわけです。
やっぱり『スパイダーマン』を見て育ってきた世代であるわけですし、サム・ライミの映画は結構見ていたりするので、この機会に見てみようと思いレンタルしてみました。
しかもこれTSUTAYAの発掘作品の枠内なんですよね。これはある種の陰謀か?と思ったけど、まぁーそこまで追求する程のことでもないか。
主演はリアーム・ニーソン。
今思うとかなり異色な組み合わせだと思うけど、これも予備知識的には嬉しいコラボかな?
俳優としても監督としてもまだ駆け出しだった二人の作品です。ニーソが全く渋くないのも初々しいな。
またヒーロー映画としては、今では驚きの原案そのものがサム・ライミオリジナルというなかなか珍しい類いでして、これ以降アメリカのヒーロー映画と言えば、マーベルとDCに二極化のような状況になるわけでして、しかもサム・ライミは後に『スパイダーマン』を監督することになり、この映画のおかげでマーベルコミックは映像化の軌道を手にするわけで、映画の歴史を知る上ではなかなかの文献だね。
サム・ライミ臭たっぷり。
ホラー(?)映画出身の監督だけあって、ヒーロー映画と言えど、かなりダーク(?)な設定の物語で、負傷した後遺症で精神まで異常を期した主人公が復讐をするとい一見かなりのB級映画。
方向性的には、『ロボコップ』のような荒唐無稽さを感じさせてくれる。
特にオープニングのギャングの抗争のファンタジーぶりは「流石サム・ライミ」と思わせてくれる。
そしてバイオレンスシーンのやり過ぎ感こそが、サム・ライミの映画の基本。死霊のはらわたで、血のりを無駄にザバーンしたセンスは勿論健在!!アクセル踏み過ぎたような演出は、最高で、ホラーなのに笑えてくるという『スペル』同様の大事な要素。
ただ内容的には、少し重々しく。
ギャングへの復讐に人工皮膚を使い他人に化けるというヒーローガジェットを使いつつ、恋人との再会の為に昔の自分に戻るが、人工皮膚のタイムリミットのせいで暴走してしまったりと、哀愁漂うキャラクターになっている。
そのシーンでのニーソの演技はなかなか面白い、ニーソは何者なんだろうか?(笑)
カッコイイ要素は少ない。
ある意味ヒーロー映画としての試作段階とも取れる本作。
まだまだ技術は成熟していないので、いまいちエンターテイメントに走りがちだったりとして、終盤は無駄にヘリコプターだとかが絡んできたり、『スパイダーマン3』はここからオマージュだったのかビル建設現場でのラストなどがある。
だが、いまいちヒーロとしての存在を確立した描写が少なかったとも思える。
1シーン1シーンはあったものの、ドン!!とした佇まいがいまいち実感出来ず、いまいち印象の薄い映画だった。
ダークマンの正体は今で言う所のトゥーフェイスと大差ないのも『ダークナイト』世代としては、ピンと来ない所だ。
よく考えたら両者は似ている。(笑)
ニーソの顔が特殊メイクでぼろぼろになるのもなかなか良いが、最後の最後で、恋人の前から姿を消す彼の姿と往年のハリウッドならキスシーンあるだろってところで、むき出しになった歯茎から読み取れるように、ニーソはもう言葉でしか愛を語れない存在になってしまったという姿が、後々心に響くラストになっている。
ブルース・キャンベル!!
ラストのラストにペイトンは通行人に溶け込む為に違う人間に姿を変えるのだが、その姿が『死霊のはらわた』の主人公でありサム・ライミの相棒でもあるブルース・キャンベル。現在では海外ドラマ『バーン・ノーティス』で大活躍の彼だがラストに出てきたのはサム・ライミ好きとして非常に嬉しいサプライズだった。
もともとはブルースをペイトンに起用する予定だったようだが、スタジオ側が拒否したらしく、仕方なくニーソにしたらしい。まぁー終盤の無駄なアクションなどを見る限り、そういう意向は結構あったな。ああいうのなければもっと面白かったと思うんだけどな。
それでもラストでブルースを使うのはなかなか良いアイデアだったと思うよ!!
得点
6点
短めではあるが、まぁーそんなに面白い映画でもなく、ヒーロー映画がありふれた現在ではいまいちぐっとは来ない。
だがヒーロー映画の起源としての参考として見ると楽しめるし、サム・ライミの演出はそれなりに冴えている。
また本作は5年後にビデオ映画として続編が作られ3まであるのも面白い。勿論ニーソとマクドーマンドは出ていないし監督も違うのだけど。B級感は漂うが、そこまでB級でないのもね。もっと貫いてほしかった。特に義足マシンガンやダークマンの混沌とした復讐などのギミックがいまいちピックアップされなかったのが、残念だと思えた。
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今年出たての廉価版。
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