オスカー女優がなぜエアロビに固執するのか?
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに:ご訪問ありがとうございます
製作
2024年フランス・イギリス・アメリカ映画
祝:メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞作品
キャスト
ネタバレ あらすじ
2025年5月24日劇場鑑賞
2025年27本目
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祝:GG賞主演女優賞を受賞した快挙!!
本作は2025年に開催されたゴールデングローブ賞にてミュージカル・コメディ部門にて主演女優賞を受賞した作品。まさかのSFホラーでである。凄まじい快挙。それを演じたのが90年代から活躍しているデミ・ムーアなのが驚きである。62歳にて50歳のエアロビに人生を賭ける女性を演じてしかも超綺麗な裸体をずっと披露するし凄い。彼女自身そこまで90年代に大活躍していたがピークを終えている印象は強かったがここに来て俳優として再評価されるのやはりすごいし、不気味で悪趣味なSFホラーで受賞すんの素晴らし過ぎる。本選とも言えるアカデミー賞は、出演時間がより長く、性的で大胆な演技を必要とされた『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが獲得してしまったが、アカデミー賞では本作にふさわしい、メイクアップ部門で受賞した。
概要:もし自分の若い体と共存する権利を得られたら?
50歳になる元オスカー女優のエリザベスの現在の出演作は早朝の週一のエアロビクス番組だけ。そんな彼女も遂に番組リニューアルに際して降板を余儀なくされる。動揺した彼女は車で事故を起こした際に、謎の薬物、サブスタンスの治験の紹介を得て若い体を手に入れるのだが、50歳にもなって孤独で仕事も一つしかない彼女には、サブスタンスのルールもコントロールすることができず。。
という若さに執着した孤独な金持ちが若さを手に入れるが無茶苦茶精神狂って若き体の自分と対立してめちゃくちゃになってくサイコロジカルSFホラー。この手のB級風なソリッド系ホラーに対して上映時間2時間20分というかなり攻めた映画。普通なら90分程度でまとめそうなのにねちっこく女性の若さについて毒を持って描いてくる見ていて素晴らしい不快感を与えてくれる。正直見ていて嫌な気持ちになったしグロテスクだし楽しいや面白いより不快感が強くてもともと映画通の評価は高いことを理解してたが一般評価はやや低めなのもあり敬遠しよっかなって思ったけども妻のリクエストで見に行ったわけで、凄いトラウマ級なもの見たなぁと思いつつもすっごく疲れたなぁ。

社会派:女性の若さと美貌への毒
単純なホラー映画ではあるがやはりババアの若さにこだわることの末路のエグさが酷い。若さを食い物にし消費しようとする業界の気持ち悪い笑顔や態度が終始不快に気持ち悪く描いている。それを迎合する主人公の狂いっぷりがあの世界の住人でも無ければ、女性でもないしと全く理解できない。何故あそこまでエアロビクスにエリザベスはこだわるのか?若くなって別人になってもそこに居場所を作ろうとする主人公に全く共感できないし、オスカーも受賞してたなら俳優業として別の選択肢だってあったろうに、プロデュース側に回るなり海外ドラマに路線変更するなり、結婚も友情も何もかもうまくできなかった彼女が映画的にも批評されてる不気味さ。反面教師として、こうはなってはいけないというメッセージ性と、こうだから陥る最高で最悪の終盤はまさにエリザベスという怪物の物語にふさわしい。他人を尊敬することの大切さ、自分自身も尊敬できず妬み奪おうとする、だからこそ50歳まで孤独だったのだろう。きついものを見せつけてくる。アンチエイジングの成れの果て以上に歳をとる楽しさを人生に見出せないことの警報の恐ろしさよ。
衝撃のラスト:2時間待っただけある
終盤の展開にはびっくりした、アカデミー賞受賞も納得のアンチエイジングお化けの爆誕。整形の成れの果てで顔面ボロボロがまだ可愛いほどの怪物。今作複数のホラー映画のオマージュを捧げてたけど終盤の『遊星からの物体X』感や『キャリー』感など凄まじい。2025年になって観客を血だらけにする悪趣味映像を拝むとは思いもしなかった。
映画という魔力を改めて垣間見たしそれを喜ぶ通たちの気持ちもわかる。
2時間待っただけある恐ろしさ。別に人を大量に殺すとかそいう話ではなくただ血がばーってどばーって出るだけで、みんな血だらけ、大晦日に遭遇したくない地獄。美人に憧れるプリンセス教の少女も血まみれという予備軍根絶っぷり。そして彼女をめちゃめちゃボコしにいく醜い存在への酷い男性の暴力。彼女はただ縋っただけなのにこの仕打ち。映画全体の主人公への冷笑の辛辣さ。まじ酷い。適当な男とデートに行こうとするけどスーと自分比較してメイクぐちゃぐちゃになって家から出られなくなるあの状態まじでしんどいだろ。すげぇよこのシナリオ。
ここが熱い:SFホラー映画らしい見せ方
サブスタンスという薬と医療キットの絶妙なSF感。
さらには生活感のないエリザベスのハリウッドスターとは言い切れない外の景色が一望できるデカすぎる窓と生活感のない部屋の都合の良さとデザイン性。そして西海岸の高級住宅街から少し離れた廃墟風の建物、サブスタンスのある場所に行くには無人の3割ぐらいしか開かないシャッターという異常さ。そしてサブスタンスのある部屋と引き出しの妙な白さ。良きデザインと不穏になるデザインのバランス良かったです。仰々しい音楽の排他的なSF感あってよかったです。
ここが賛否:結構グロテスクで痛々しい
と今作なかなか生々しくて痛々しい映像や見ていてしんどいなぁという映像も多かった。自分の体から若い自分が出てくるというところの気持ち悪さとアーティスティックな表現を超えて、開いた背中は強引に縫い合わせるという見ていて痛々しい映像。さらにはその体に注射器を指して栄養を摂取するという描写もあって、その傷が人体に対して道具としているようにぶよぶよしてもう治らない傷のような不愉快さがある。またバランスを欠いた際のエリザベスへの反動の急な老化の不気味さと恐怖。老化して狂っていくエリザベスの不気味な老婆感や、膝がおかしくなる描写など見ていてめちゃめちゃ不愉快。そんな彼女が蹴りでなぶり殺されたりとする不愉快な展開。終盤の怪物のシーンもなかなかにエグい。終始可哀想だなぁという見ていてしんどかった。また特殊メイクの視点を見るとめちゃめちゃすごかったです。
今後も特殊メイク要素のある映画がアカデミー賞メイクアップ賞を受賞したらチェックしようと思います。
ここも賛否:衝撃のDIY能力
映画的にも謎なのだがエリザベスがスーに返信して、お風呂場の向こうに新しい部屋を突如作るシーンが描かれるのだが、まじで工事道具をどっかから持ってきて作ってる。めっちゃ騒音も立てたようだが、本格的に部屋作って流石に笑った。それだけのスキルあったら逆にプロデューサーに売り込めたりやしなかったのか???

ここがすごい:二人の美しき女優のボディ
女優二人の裸体がかなり拝めますが全然エロさを感じない凄さ
映画的に女性のルッキズム、体全体の美しさに対して描かれてるので冒頭からシャワーシーンもあったりと全裸シーンが多かった。デミー・ムーアは60代とは思えないハリのある体に驚いた。おそらく整形しているのだと思うが、綺麗で大きいおっぱいだった。ただ顔面も整形しているのか口の感じが不気味でした。スー演じるマーガレット・クアリーは30歳というわけですが、めちゃめちゃスタイルもよく肌もツヤツヤでとても美しかったです。
しかも初登場の全裸をまじまじと舐めるよう撮影した映像はエロよりも女性の美しさや健康さ、女性の若さと老いの違いとは何かというのを感じさせながらマーガレット・クアリーという俳優の外見を理解したような不気味な気持ちになってしまった。デミー・ムーアは流石にアカデミー賞受賞はできなかったが脱皮して抜け殻になった惨たらしい姿もすごかったし、特殊メイクをしたあとの動きとか最高だったし、自分で破棄したくせにスーを見て復活させて殺されちゃう決断の暴走を特殊メイクでやり切るのすごかった。やはりマーガレット・クアリーのダブル主演で出演時間が少なかったから『ANORA アノーラ』に負けちゃったのかなぁ。
雑記:パンフの背表紙でネタバレ喰らう
正直見る予定なかったんです。妻から見るように言われてみたわけで、逆に事前にどんな映画なんだろうとか、アカデミー賞の画像とかも見てしまったわけです。それでも一番びっくりしたのはGAGAさんが作ったパンフレットにネタとしてサブスタンスの使用方法と注意事項が書かれてるんだけどそれがガッツリ映画のシナリオの箱書きだったわけで、それをSNSでみちゃったわけ。でも本編のサブスタンスにも注意事項とか書かれているんだろうなぁって思ったらそれなくてびっくりした。それでも映画は結構楽しめたのでよかったです。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 7.6/10
・映画の美術面 8.4/10
・キャラクターの魅力 6.6/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 6/10
70点
共感できないし映画としてめっちゃ長くてあんまり面白くなかったのですが映画の製作者たちの心意気、主張が熱い映画だったなぁと。見終わって自分が読んでた頃の2000年代の映画秘宝だったらめちゃめちゃ面白いホラー映画特集してくれたんだろうなぁと過去を懐かしみました。

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