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◎【コーエン コメディ 映画】ヘイル、シーザー!【78点】◎

ヘイル、シーザー!
アメリカ2016年アメリカ映画作品アメリカ

監督・制作・脚本
コーエン兄弟
(『ノーカントリー』『ビッグリボウスキ』『ファーゴ』『トゥルー・グリット』)
出演
ジョシュ・ブローリン
(『ボーダーライン』『ブッシュ』『ノーカントリー』『グーニーズ』)
ジョージ・クルーニー
(『ゼロ・グラビティ』『マイレージ、マイライフ』『オーシャンズ11』『ファミリー・ツリー』)
レイフ・ファインズ
(『グランド・ブダペスト・ホテル』『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』『シンドラーのリスト』『イングリッシュ・ペイシェント』)
スカーレット・ヨハンソン
(『ロスト・イン・トランスレーション』『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『プレステージ』)
チャニング・テイタム
(『22ジャンプ・ストリート』『ホワイトハウス・ダウン』『マジック・マイク』)
コーエン兄弟が50年代のハリウッドを毒の効いたシニカルな脚本で描くいつものクライムコメディ!!
コーウェン兄弟の『バーン・アフター・リーディング』同様にジョージ・クルーニーをまぬけな役に落とし込んだ豪華俳優が微妙におかしな役を演じるクライムコメディ。
あらすじ
30年代から40年代のロサンゼルスを拠点としたハリウッドのスタジオ制映画全盛期が終焉を期し、テレビの台頭に映画でしか味えない大掛かりなエンターテイメントのカタルシスを与えるミュージカル映画がヒットして大量に作られる時代。
冷戦の影響で共産主義を排斥するまたは盛り込もうとする赤狩りの時代。
スタジオのチーフプロデューサーというか何でも屋のエディことジョシュ・ブローリンは、時代錯誤の大金がかかった歴史大作映画『ヘイル、シーザー!』の主演俳優が失踪し、それが誘拐事件であることが判明する。
スタジオの社運がかかったとも言えるビジネスの最中、新人俳優のなまりだったり、お抱えミュージカル女優のゴシップだったりと頭をかかえることが絶えない。
そんな彼の元に航空会社からのロッキードからスカウトが来る。
彼は家庭の時間も捨てて、一日中スターたちのお守りをすべきか?それとも好待遇の仕事選ぶべきか、人生の岐路に立ちながらも問題は山積み状態!!
『ノーカントリー』や『ファーゴ』などの大傑作のバイオレンスクライムサスペンスで有名だけども、両立して、ブラックユーモアあふれるシニカルなクライムコメディも継続的に制作している。
ただここ最近では、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』『トゥルー・グリット』など色んな映画に挑戦している印象。今作もコーエン兄弟のチャレンジ精神と映画愛をビンビンに感じられる!
今作もミュージカル映画主流のハリウッドを描くのにミュージカルシーンのダンス多めのシーンと物量攻めでどや顔なシーンをロジャーディンキンスさんと協力して生み出していて素敵。
50年代のハリウッド近辺を濃くステレオタイプにして描いた本作は、それだけで笑えて来る世界観だが、相変わらずのコーエン兄弟のクライムコメディのプロット。
50年代ネタをシニカルに描写していてブラックな笑いを提供してくれる。
今作では、近年鬼才監督たちの作品に頻繁に登場するチャニング・テイタムがステレオタイプなミュージカルシーンを再現してくれており、相変わらずのダンスの才能を見せてくれるし、あるシーンの機敏な動きで笑かしてくれる。それに終盤にジョナ・ヒルがぽっと出てくるのも『21ジャンプストリート』コンビで笑える。
粋なサービスだ!!
三谷幸喜の映画っぽいっちゃぽいよな。
基本的には、映画の大筋よりも出てくるキャラクターと役所が笑えるわけで、みんなの憧れのミュージカル大スターなのにババアでしかないスカーレット・ヨハンソンだったり、演技派舞台映画が得意で完璧主義なレイフ・ファインズだったり、双子のゴシップ記者はまさかのあの人だったり。
ジョージ・クルーニーは筋肉バカだったり。あと時代を意識した赤狩りや共産主義もスパイスになっている。
と海外版三谷幸喜の映画みたいなのりですな。クライム部分の盛り上がりもやや弱いところも。
ただ今作の良いとことしては、コーエンの前回の脚本で『ブリッジ・オブ・スパイ』というアメリカの心をメタした作品でもあって、人間の素晴らしさ、良きアメリカ人とはこうであったという思想はとても魅力的で、素敵な作品だった。
その主題はむしろ本作にも共通していて、主役の何でも屋というチーフプロデューサーのエディは人生の岐路に立って、この仕事をすべきか違う安定的な仕事をすべきか悩むわけですが、その答えを出す展開とそのことに気づく終盤のエディとベアードのやりとりで気づくみたいなのは、いいシークエンスです。
あと上映時間が少ないとこもいい。
ボビー役のアルデン・エーレンライクがジェームズ・ディーン的で素敵。
これもネタの一つだと思うけども田舎出身で訛りが強く演技もカウボーイ風。そんな彼がその外見から古典ドラマに採用というネタ。
この人が意外と終盤まで絡んでくるわけだが、ネタでロープを振り回すのだが、その技術がすごい。
あと目元が特徴的。あまり映画に出てないが、ブラッド・ピットぽくもあるしジェームズ・ディーンにも似ている。でもデイン・デハーンもいるわけで、そっちにも似ている。
全体的に娯楽=コメディな作風で頭固い人には辛いか?
ミュージカルの再現などの映像の作り込みや50年代のスタジオの作り込み、それらの舞台裏をブラックに描いていて、技術力の高さをビンビンに感じられる映画だが、そもそもこういうコメディが好きではない!!っていう人も映画を好きな人には多いかもしれない。
近年ではコメディにアクションを持ち込み、体全体を使った体当たり風なギャグだったり過激な下ネタなんかも特化していて、冗談もエッジが重視されている中、映画的な絵の面白さをネタ特化のステレオタイプキャラで飛び道具にしたのは、やや物足りないかもしれない。
僕的には『バーン・アフター・リーディング』や50年代の映画背景も知っているし、結構好きだなぁと思ったんだけども、上映時間も90分で短いし、チャニング・テイタムは短い登場時間なのにすごく魅力的だったし、驚いたシーンも結構あったし。そもそも自分がハリウッド映画を好きだからかキャラクタ一人一人が愛しくなるんだよな。
※ちなみにパンフに記載されているけど、主役のマニックスはMGMの副社長。
終盤の映画の中の映画のセリフはコーエン兄弟の映画愛にかけられているようで、自分は気づかなかった。し今もよくわからん。キャラ一人一人に元ネタがいるようです。深いなあ。
メモ得点メモ
物語の面白さと上映時間 8/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 8/10
キャラクターの魅力 8/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 7/10
音楽 7/10
俺の趣味 8/10

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