★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
1931年アメリカ制作製作・監督・脚本・作曲
チャールズ・チャップリン
・独裁者
・黄金狂時代
・ライム・ライト
・モダン・タイムス
ネタバレ あらすじ
2012年4月6日鑑賞 2012年度6本目2024年6月9日自宅Blu-ray鑑賞
2024年28本目
2012年の感想:経緯・解説・考察
2012年4月7日から公開される
アカデミー賞作品賞受賞作品『アーティスト』の
鑑賞に先駆け、
とりあえず予備知識として
サイレント映画を鑑賞しようと思い
手頃に見れて有名な
チャップリンの映画『街の灯』を見よう!!
ということで見たわけです。
チャップリンと言えば、
スラップスティックというジャンル映画として
有名な映画制作者ですよね。
映画が生まれまだ映画に音が無い頃、
映画制作者たちは、体の動きだけで、
人を喜ばせるという娯楽を生み出し、
その境地まで達しているのが
チャップリンやバスターキートンというものです。
またこの『街の灯』公開時にはすでに
トーキーが生まれたにも関わらず、
チャップリンは自身のスタイルを変えることなく、
本作を生み出したのです。
チャップリンのサイレント映画として
のこだわりが感じられる本作は
盲目の女性との浮浪者の恋という
恋愛要素も盛り込まれているのだが、
その描写がとても優れている。
コメディとしても面白いけれど
映画としての技術も凄いというわけで、
映画史において非常に高い評価を頂いているわけです。
今見てもすごいところはありますね。
内容的には、大味なドタバタ劇が延々とつづいているようでして、
日本で言う所の志村けんの『バカ殿』のコントに近いです。
そういったコントの総集編とも言う程集大成かな?
それぐらいにコテコテのドタバタ劇がいくつもあるのですが、
それがね凄い。
ここが凄い:長回しコメディの執念
やはり技術的にもまだ映画史初期の頃の映画だから、
カット割り等もかなり少なく、
基本的に長回しでカメラ固定なわけですが、
シーン1つ1つがなかなか長く、
一連のコメディ舞台を映しているようなものなのですが、
それが凝っているし、
本当に長い。ギミックの多さもさることながら、
登場人物もなかなか多い。
チャップリンがこの手の映画に秀でているとは言え、
入念なリハーサルや打ち合わせもあっただろうし、
またチャップリンが本作の主演であり監督であり脚本である
というのも目が離せない事実であり、
そのチャップリンの情熱さえ感じさせてくれる
非常に優れた映画である。
ここが微妙:個人的趣向だが笑えないが凄い
やはりトーキー以後の映画を特に
アメリカの現在のコメディ映画が大好きな筆者としては、
このサイレント独特などたばたコメディは、
あんまり笑えはしないのだがね。
まぁートーキーが始まったことにより民衆は
コメディアンの話術を堪能するようになったわけでして、
スラップスティックは見事に衰退するのです。
正直ネタ一つもなかなか長く
しかも同じ事を繰り返しやるという体術の天丼という
お笑いギミックなので、
なかなかくどい。
今見て笑えるというのはなかなか変わった人ですよね。
いやでもボクシングのシーンは笑えたかな。
あとアイデア一つ一つも驚きを感じさせる。
意外と台詞とかが字幕であるのは、
ちょっとがっかりだけど。
ここが凄い:ラストシーンの演出が秀逸
やっぱり盲目の女性との交流のシーンがやばいですよね。
あれの金持ちと勘違いしてしまう描写はすごく良い。
そしてラストシーンのチャップリンを
小馬鹿にしながらも手を握った瞬間、
あれ?って思う展開のこの後どうなるの?
という感じがすごくやばいよね。
あの大金のおかげで目が治り
自分の花屋を持つことができた女性が
浮浪者として初めて目にする
チャップリンに対して哀れみの目を向け
見下し小馬鹿にしていたにもかかわらず
手を握った瞬間、
彼が自分の人生を変えてくれて
そして落ちぶれてしまった恩人であることを
察知した時の彼女の表情の変わり様。
彼女自身が自分自身をなんて愚かだと見直し
そして恩人との再会と恩人がここまで
落ちぶれてしまっているという
事実を把握したという表情と
壊れた果てた精神の最中
一握りの喜びが全身を駆け巡るチャップリン。
2人の表情とその間がとてつもなく
映画史に残るワンシーンだなと思うのでした。
2024年再鑑賞
人生3回目の鑑賞。
ついこの前『独裁者』見たなぁと
思ったらもう3年前のことで
いやいやこの前『モダン・タイムス』
見たよなぁってブログの記事の日付を
見たら5年前だったの。
子供できると人生バグるのか?35歳になったから人生中盤に差し掛かってるのか??
今回は前回鑑賞から10年以上の月日が
たったIMdbTOP250の映画の再鑑賞で
2024年6月9日の時点で54位の
『街の灯』を鑑賞しました。
IMDbのリンク
自分自身人生で初めて最初から
最後まで見たチャップリンの映画で
初鑑賞は20代の専門学生時代の授業。
当時とはあんまり感想も変わらず。
むしろ今より2012年に見た時の方が
鋭い感想を持っているなぁと。
あぁまたチャップリン難しいこと
平然とやってるよぉと思いつつも
『モダン・タイムス』の目隠し
落とし穴あり状態での
スケートには個人的には及ばず
という心象。
しかもこの内容で
1時間半。結構同じことの繰り返し
があったりと間延びしていて退屈。
前半は眠くて途中で止めてしまった。
しかし目を見張る謎のボクシングの試合。
チャップリンもあれだが強面の審判も
だいぶ頭がおかしくて
チャップリンが自分の後ろに回っても
どくこともないという謎現象。
一見するとめっちゃ楽しいのだが
複数回みるとちょっと待てよと思う。
しかしあのダンスとも言えるステップ。
よく見れば途中で舞台装置の紐が
ついたりとカットが破られており
とても上手に編集されている
ということがわかるのであるが
撮影するまでの練習は凄まじいもので
あったのではないかと思うのであった。
演技というよりは
舞台やショウを収めた曲芸の延長線では
あると思うがすごいことやっている。
じゃあこれは映画じゃないのか?
と思うと
ラストシーンの文脈を全て演技に内包する
シークエンスだ。
見ている側に全てを察知させて
バカで愚かでよく深い人に翻弄されて
同じく馬鹿なことをして
地獄をみるミニトランプのチャップリンが
ついに報われて完結するという
素晴らしいハッピーエンドは
全てのロマンティクコメディの
お手本のように思えてしまうのであった。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 6/10
・映像のアプローチ 8.5/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8.5/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 6.5/10
72点
やはり優れた映画であることは手堅い。
しかし見る必要はあるのだろうか?
映像もなかなか劣化してきてしまった。
過去の遺産としての価値は大いにあるだろう。
チャップリンの偉大さに
今回も敬意を払いたい。