アカデミー賞をつかめない理由もわかる感情移入できない若者の苦悩と勝利
★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
2025年アメリカ映画
卓球映画なのに爽快感より悪夢が勝つ
キャスト
2026年3月13日劇場鑑賞
2026年6本目
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概要:アカデミー賞主演男優賞大本命だった映画を見た。
2025年12月に北米公開されたA24の新作『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を鑑賞しました。
A24らしいインディーズ色の強い一本ですが、興収は大きく伸びた話題作です。
本作は低予算映画系列ながら北米で9000万ドル以上の大ヒットを記録し、ティモシー・シャラメぐらいしか勢いのある俳優が出演していないにも関わらず、この特大ヒット。サフディ兄弟も前作は5年前だし、中身も卓球映画ということでここまでヒットする背景はティモシー・シャラメの圧倒的な吸引力かな?と思う。
自分も北米で好評と聞き仕事終わりに鑑賞してきました。
監督は2019年までは兄弟で一緒に活動していたサフディ兄弟。
今作から2人は独立して監督業を行うようです。
彼らは、独立系自主制作のような低予算映画界で活動し、兄弟初監督作品から低予算系の映画祭から評価を得ており、カンヌ映画祭でも注目を得ており、
この度ゴールデングローブ賞とアカデミー賞にも評価されるに至りました。
今作は2026年に開催したアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、編集賞、衣装賞などにノミネートしましたが、全敗に終わりました。
直前のゴールデングローブ賞にて、作品賞にノミネートし、主演男優賞を受賞していたので、今作は大本命と思われていましたが、受賞を逃してしまいました。
正直見ていてその理由もわかるなぁと思う点があったので、記録しておきたいなぁって思う。
あらまし:1952年を舞台に卓球と悪知恵で成り上がろうとする青年の物語
1950年代のニューヨーク出身の卓球がめちゃめちゃ強い20代の青年、彼は卓球で世界一になり、富と名声を手に入れて、自分の人生を掴もうと画策。しかし参加するにも金がない彼は、関わる人をたぶらかし、金を集め、また私利私欲で女性を口説き自分の欲求を満たす、驚くほどクズだった。
そんな彼の成功への道程を一緒に楽しむわけですが。
全然彼を応援できねぇ!!
映画を支える音楽は、彼の成功を祝うように鳴らされるわけですが、全然ノレなかった。
しかも絶妙な塩梅でシナリオが練られており、うまくいきそう!でもうまくいかなかった。の繰り返し。それを見てると「ほら見たことか!」とうまくいかなくて当然と思ったりもするが、それでも諦めない彼のバイタリティに感嘆した。
しかしこの映画不思議なことに映画の舞台は1950年代なのに音楽はもっと未来のエレクトロミュージック調なわけですが、この映画自体、主人公の過去回想という裏設定が製作初期構想としてあったようで、成功した彼が孫と一緒に自分の映画を見るというわけわからん設定があってそうなってるとか。謎すぎる。
ここが微妙:ほぼほぼ前作の焼き直し
見ていてまず思ったのは、監督の前作『アンカット・ダイヤモンド』とかなり近いことをやっている、という点でした。
悪知恵の働く主人公が、人の金まで巻き込みながら一世一代の大勝負に出る。
何度も失敗しそうになりながら、ギリギリで成功しそうに見える。
骨格の面白さはやはりかなり似ています。
『アンカット・ダイヤモンド』ではコメディ映画主流のアダム・サンドラーがキャリア最高の演技、ハマり役をやっていて、多くの人に勧めたい素晴らしい映画でしたが、まぁ今作はそれのスケールアップ版という印象、ストーリーの骨幹や精神性は一緒だった。わざわざもう一回やる必要があるのか?と疑問に思ったし、今作は人物モデルがいるがどう考えてもエンタメとインディーズのダークサイドな演出で拡張されており、ほぼほぼオリジナルで、そこにおんなじ精神性の物語をやっており、いまいち斬新さが物足りないなぁという印象。
ここが惜しい:技術力が高過ぎるのにそれを魅せない旨さ
批評家評価の平均がわかるメタスコアが100点中89点という本作。映画としては高い技術力を終始感じさせる素晴らしい作品だったと思います。こだわりを感じさせる映像に役に入り込んだティモシー・シャラメの演技。素晴らしい音楽、また独創的な脚本。いずれも高品質で組み合わされている。劇中でもハッとするような映像の構図もありました。何気なく映り込む卓球の試合のハイライト。体育館での無数に行われる試合が決勝で一つになった時のシーン。卓球のボールがマンションの上から落下した時の見事な映像。後半の何気ないタクシーをクリープ現象させて踊り歩くシーンとか良かったんだけど、それぞれがカット切り替えが早すぎて撮影的にも見事なショットが多数あるのに印象が残りづらいの本当に惜しい。
賞レースに強い作りにできてない。。。
無欲に自分達が思う面白いを突き詰めてる素晴らしい作品だと思うんです。賞レースに強い対策をむしろ放棄している。終盤の日本戦に関してはかなり美術面が頑張ってて、間違った日本より妙に正しい日本が作られてる素晴らしさは、美術賞ノミネート納得なんです。
そういう凝りに凝ったところをしっかり読み込めば、どの映画よりもずば抜けてることに実感できる、異常な旨みを内包した干物のような作品。
20年代最高のラッパーの1人、タイラー・ザ・クリエイターが参戦してるのも納得。
納得:ティモシー・シャラメがアカデミー賞獲れない理由
ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞したティモシー・シャラメですが、アカデミー賞では受賞できませんでした。本人も受賞を狙ってたんじゃないかな?と思う。むしろ昨年、ボブ・ディランで受賞できなかったのが意外ってほど俳優としていろんなことを頑張ってると思うから、そろそろ受賞してもおかしくないと思う。しかしディカプリオのようにアカデミー賞からは嫌われている印象が感じられ可哀想だと思う部分もある。
でも映画を見てみるとわかる。
映画が主人公に感情移入できない作りになってしまっている
ティモシー・シャラメは精一杯キャラクターを演じ造形している。アドレナリン中毒のように落ち着きがなく空っぽで、自分自身が何を求めて何になりたいのか、空っぽな目標で他人を踏み躙りながらのしあがろうとする様、終始自分勝手な彼に、流石に観客は感情移入はできない。見ている側も人間で、確かに素晴らしい演技力を実感できる、映画全体を牽引するリーダー性は実感できたのだが、あまりにも嫌なやつすぎる。くだらないコメディ映画でもあるがベン・スティラーが監督した映画撮影中に本当のゲリラ組織に巻き込まれていく映画『トロピックサンダー』にてアカデミー賞受賞経験のあるキャラクターが演技にのめり込んで評価されなかった俳優に対し厳しいアドバイスをする、アカデミー賞を受賞するには観客を感動させないといけない、技術よりもエモさが大事なのだ。
ティモシー・シャラメの演技は的確で素晴らしく、見ている側を見事に置いてけぼりにした。まさに悪夢のような夢を駆け抜けるような作品を牽引していたが、最後の最後まで観客を置いてけぼりにしてしまった。むしろ『アンカット・ダイヤモンド』では見事に最後にエモを与えてくれていて、本当に残念だった。俳優としてあまりに的確だったが感動を与えるのを忘れていた。
感想:悪夢の小旅行を駆け抜けた気分
冒頭から幼馴染の人妻とハーハーしてNTRというクソ野郎展開。ずっと好きなら最初からものにすればいいのにそれもしないでももっと高みを狙っていたのか?
劇中世界卓球選手権の舞台のイギリスにて、傍若無人な発言と行動で、運営から出禁の扱いを受けたり、たまたま出会った20歳も上の元女優とハーハーするために行動した挙句、その夫から資金を奪おうと画策したりと、近年稀に見るクズ。なのにお母さんのことはしっかり愛してるという本当にやばいやつ。人のことは騙して金を儲けて、一体何がしたかったのか?
しかも恐ろしいほどに因果応報を受けて、それでも行動を続ける困ったさん。悪夢を駆け抜けた気分。
しかし映画としては、やや詰め込みすぎでは??と思ったり、どこまでも低予算で進めてくかと思いきや、ガソリンスタンドの爆発という急なエンタメよりな盛り込みや、
騙したおっさんがガチのヤバいやつで、謎のやばい農家と対立させる、スリリングな銃のやりとりもあったりと
急なコーエン兄弟的な死闘が始まり面白かったけども???
と感じもしたが、洗練されておらず詰め込みすぎな感じもした。もっと映像、音楽、などどこかに着目して落ち着くことで洗練された作品になるように感じた。
監督が精神やられたりいざこざ起こしたりしないことを祈る。
どうなってんだ?:卓球描写
今作のすごいところ、なんだかんだ卓球の描写すごかった。本当に試合しているように見える。しかし自分はパンフ買ってないのでこのシーンの真相を全く知らない。
本当に彼が試合していたのか?それとも合成した映像なのか。しっかり7年間練習しているようだし、一部は本当にやっていると思う。劇中の最大の敵として登場するエンドウを演じた人は実際の卓球の選手でろう者でもあるので、試合自体はしているのではないか?しかし流石にプロとの試合は演技でも追いつけないだろう。それがしているように見える絶妙なバランスが上記のようにあまりにも高すぎる技術力で映画ができていることを実感させてくれる。
そもそもこの映画なんなんだ??:実在の人物なようでそうじゃない!
この映画実在のアメリカの卓球選手のマーティ・リーズマンをモデルにしているが、全然話関係なさそう。


映画は冒頭にそれっぽい、これまでの卓球の球は白で見づらくて、それをオレンジにしてウェアも視認性の問題を解決させてオシャレにできるとかいう商業性を高めるという切り口があるので、そういう流れかと思いきやそんなことはさておき彼はクズなんです!というわけ。冒頭から謎の受精描写とかもわけわからんし!日本の卓球参戦とかどう考えても第二次世界大戦の影響により歴史の転換点のような描写かと思いきや、それについても別に言及はないし。この試合や卓球の世界大会でのアメリカの位置とかそういう歴史考証の部分がどう正式なのか?終盤の世界大会が日本になるという描写も何が事実なのかフィクションなのか?その部分もわからない。彼がガチで問題行動を起こして、日本での世界大会に出場できないけど、日本に渡って試合をしたのか?この時の日本選手が初めてペンホルダーを導入した???のも事実なのか?それとも当初は中国を舞台にする物語だったけど、国際問題で変更したのか??卓球を扱うにしてもなんだかそこに焦点を与えず、女関係やかけ試合に終始していて、見ていて彼の半生を味わう作品で、それは重要じゃないと思うのは理解しているが、それでも何か中途半端な映画だなって感じてしまった。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.7/10
・映像のアプローチ 8.6/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 6/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 7/10
76点
すごい映画だってわかるんですが、上映時間も個人的には長く感じて詰め込みすぎだけど焦点がなんかぼやけててそこまでツボにハマりませんでした。
ネタバレ あらすじ(途中まで)
最後に:ご訪問ありがとうございます
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