「手堅いけどいつでも楽しめるとは思えない映画。」
2010年アメリカ制作
監督
ポール・ハギス
(クラッシュ)
出演
ラッセル・クロウ
(3時10分、決断のとき、L.A.コンフィデンシャル、アメリカン・ギャングスタ)
オリヴィア・ワイルド
(トロン:レガシー)
リーアム・ニーソン
(特攻野郎AチームTHE MOVIE、96時間、バットマン ビギンズ)
予告編
あらすじ
大学教授のジョン・ブレナン(ラッセル・クロウ)とララ・ブレナンは息子と三人で暮らす平坦で仲が良い夫婦だった。
しかしある日、警察が家にやってきてララが上司の殺害容疑で逮捕されてしまう。
無罪を主張するララやジョンだが、殺される前日にララは上司と口論をしていたり、ララの服に上司の血痕がついていたり、死体発見現場がララの車の隣だったと状況はかなり不利だった。
結果的にララは有罪になり刑務所に投獄されてしまう。
ララを愛するジョンは毎日刑務所にたずねまた無罪を勝ち取る為に上告の手続きをしたり自身で証拠を見直す日々がつづいていた。
数年後彼女の有罪は覆すことができず、ジョンの人生も破綻の兆しが見え始めていた。息子も大きくなり、母不在の状況に苦しみを覚えていた。
そしてジョンはある決意をする。それは彼女を脱獄させることだった。
その為に脱獄を7回もした男(リーアム・ニーソン)に助言を求め、それをもとに脱獄計画を行う。
2011年10月13日鑑賞
感想
2008年のフランス映画『すべて彼女のために』のアメリカのリメイク版。
日本では無名の映画だったが、公開されたのが2010年の2月だけあってかなりお蔵入りされていた作品だったので、それも仕方ないかもしれない。
製作、監督、脚本をポール・ハギスが担当。ポール・ハギスといえば、アカデミー賞を消去法でとったと言える『クラッシュ』が代表作だが、もともとは脚本家で、有名作品と言えば、『007』シリーズのダニエル・クレイグ版は彼が担当している。あとは近年のイーストウッド映画の脚本であまり愛されていない奴は彼が担当している。
まぁー文章を読んでわかるように筆者は別にポール・ハギスのことは好きではない。
主演にラッセル・クロウ。脇はそこまで堅くないがちょい役でリーアム・ニーソンが出てくるが本当にちょい役で、ある種のネタキャラ。
とりあえず一番最初に言うべきは、
映画の上映時間を調べるときは、上映している映画館のサイトを直接見なくてはいけない。ということ。
何故なら筆者は、2回連続でムービー・ウォーカーというサイトのせいで本作を見逃したからだ。(どちらも彼女が調べた。)
しかも本作の鑑賞に際してはその2回目のミスのまま早めに映画館に行く事にしたので、ぎりぎり1分程見逃したぐらいで済んだ…。
まぁーそのせいでまたも映画をちゃんと見れてるとは言えないのだが。
本作はIMDbでも7点とそれなりに好評なので、せっかくなので見る事にしたわけだ。
まぁーまぁまぁだったかな。
主演がラッセル・クロウというわけで、近年見た『消されたヘッドライン』的な映画なんだろうなぁーって思いながら見たけど登場人物が限定的だったからそこまで入り組んでも無く、典型的な脱獄映画とそれの準備が見所というところかな。
また準備に対しての緻密さなどが、やっぱり有能な脚本家の映画らしく濃厚で、ラッセル・クロウの手腕的にも重々しい空気が続く映画になっている。
ただインパクトに欠ける印象も強く、途中に出てくるジョンの友人になるシングルマザーなどいまいちキャラが立っていない。確かに綺麗ではあるけれど。
地味なのはまぁー仕方ないけどねー。
中盤の展開などは最近やったTVゲーム『ヘビー・レイン』に酷似していたと思うのだが…。
本作の良い所は、ジョンの狂った程の一途な愛なんだと思う。
彼が事件の正当性を全て無視し自身にある純真さを信じひたすら妻の無罪を主張し、彼女為だけに脱獄を起こすという件は、なかなか大胆な内容だと思う。
しかし問題はやはりそれに絡んでくるジョンの子供や、出会うシングルマザーや、決行に伴いジョンも犯罪に手を染めてしまうというジョンの狂人ぶり。
一応結果的にはジョンの主張が完全に正しいというのがラストに発覚するのだが、見ている側は最後までララへの疑いを持ち続ける、はたまたジョンのしていることは正しいのか?という疑問を持ち続けるためなんとも言えない心境で見続けてる。
これはポール・ハギスの腕なのか?それはいまいち言及できない。
これも含めて『ヘビー・レイン』に似ていると思えるのだが…。
映像的に派手なシーンは、終盤の高速道路のシーンだけで、あのシーンは少し感動したが2時間20分も上映時間があって、緊迫感もいまいちなく緻密さや濃厚さ重厚さなどが前面に来るためあまり良いものではない。
まぁー脱獄計画が決行される様は面白いし、たった一人で警察と戦う姿は面白い。
しかもそれがなかなかリアルなのも良い所だ。ただの大学教授が脱獄の為に、全てを考え行動を起こし、ちょっとしたミスをしたりと面白いことは面白い。
しかし忘れないで欲しい本作はリメイクなのだ。
もしこの映画にオリジナリティが溢れていれば手放しで喜べるがある意味フィルムの焼き直しであることを忘れてはいけない。
また面白いが、脱獄ものとしては普通の脱獄もの。俳優が良いと言っても、シチュエーションが違うだけの良作とも言える。
まぁ面白いことは変わりないので、別に気にしないで見ても良いと思う。
得点
7点
そこそこな映画。たまたま見た分には良いと思う。
そこまでオススメはしない。
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