グザヴィエ・ドラン監督の最新作が日本公開。
てかグザヴィエ・ドラン監督って誰だ?って感じですが、2015年時点では26歳なのに長編映画を5本も監督していて、その内一つは、カンヌで審査員特別賞を受賞しているという、なかなかの天才映画監督。
出身はカナダなのですが、ケベック。
ここカナダなのにフランス語圏とかいう不思議池な地域で、別監督作品ですが、『灼熱の魂』の舞台にもなった複雑な地域だと思います。
英語もフランス語もできんじゃねえか。というかすげぇなこの監督っていうのがグザヴィエ・ドラン監督ってことです。
ただハリウッド大作の映画よりもフランス語圏を中心としたシネフィル派。
低予算系の映画を監督していて、主に複雑な人間ドラマを映画化している印象。
自分は本作以外には『マイ・マザー』をDVD鑑賞したことがあるけど、かなり異色な人間ドラマで心に残った。母親とぶつかりあうゲイの息子。
ちなみに監督もゲイ。
ちなみに本作も、息子と母親の物語。
なんかグザヴィエ・ドラン監督の中で永遠のテーマがあるんですかね?
今作では息子が多動性障害を持っている。
難病系の映画かな?
って思ったけども、基本は普通の人だけど、基本的に情緒不安定で、急に暴力的になったり、感情的になったり。年齢はだいたい17歳ぐらいか。
そして母親は夫に先立たれ、仕事も微妙な感じで、かなりギリギリの生活をしていた。
そんな彼女のもとに、施設に入っていた息子が事件を起こして、強制退去。
二人の新たな共同生活が始まるのだが、障害を持つ息子と仕事が怪しい若作りなお母さん。
社会での居場所のない二人に、お隣さんの奥さん(心の病気でうまくしゃべれない。)が出会い、少しだけ光が差す。
社会で居場所のない二人。光のあたらない状況。
それを表すように、映画のスクリーンサイズは1対1の正方形で描かれる。
違和感あるかな?と思いきや、そんなに違和感もない。
結局映画は動画なんだなと。
物語を映像で紡げれば、違和感なんてない。
ちなみに1対1がある時、急に普通のシネスコサイズに変わる。
これ結構ネタバレですね。
その時に流れるオアシスのワンダーウォールが、なかなか素敵。
でもカナダ映画で、フランス語映画なのに、イギリスのオアシスを使うなんてかぶれてんな!って思いました。
でも前に見た『マイ・マザー』の時もそうだったけど、映像のアプローチの仕方とか色彩感覚が素晴らしいなと。
ワンダーウォールが終わって、しばらくするとサイズがまたもとに戻るのは、このサイズに意味があるってことだなって思いました。
ちなみにもう一度だけラストにサイズが大きくなりますが、そのシーンの内容は言わない。
見ててちょと驚く。
出口のない状況の中、映画は閉塞していくが、母だけは、ただ一人光を信じている。
いつかまたスクリーンサイズがシネスコに戻ることを願い、厳しい判断をする。
それを見た隣さんの奥さんは軽蔑する。
この奥さんのバックボーンがあまり描かれない。
もしかしたら息子がいて、事故で失ったのかもしれない。
隣の息子と触れることで、少し心が回復していったが…。
映画としての後味はやや悪いが、この前見た『ショートターム』のような少年の駆け出すとこで終わるのが、象徴的で良かった。
またお母さん役が『マイ・マザー』のお母さんと一緒。
全く違う母親像で、びっくりした。
あまりこの手の映画をうまく文章に納められないが、この監督の映画って面白いなぁーって思った。
『トム・アット・ザ・ファーム』もゲイ映画っぽいけど、神経過敏に映像表現しててきっと面白いんだろな。
得点
物語の面白さと上映時間 7.5/10
映画の奥深さと世界観とオリジナリティ 8/10
キャラクターの魅力 7.5/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 8.3/10
音楽 8/10
俺の趣味 7.7/10
78点
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