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◎ウィンターズ・ボーン 2011年度92本目◎

「セカンド・バージン」

$A Little his REDEMPTION.~season Ⅵ~-ウィンターズ・ボーン

アメリカ2010年アメリカ制作アメリカ
出演
ジェニファー・ローレンス
(X-MEN: ファースト・ジェネレーション)
予告編

骨あらすじ骨
現代のアメリカ北部の山岳方面でのお話。
17歳のリー・ドリー(ジェニファー・ローレンス)は、精神病の母親を抱え、12歳の弟と6歳の妹の面倒を見ていた。彼らに狩りの仕方や、料理の仕方を教えながら、ほとんどお金を使わずぎりぎりの生活をしていた。
だがある日、リーのもとに警官がやってくる。それは捕まっていた父親が仮釈放中に行方不明になったという情報だった。家族を捨てた父親をリーは嫌っていたのだが、その父親は手続きの為に、自宅や森を担保にしたというのだ。もし父親が出頭して来なければ、リーたちの住まいは没収され、彼女の家庭は崩壊してしまうのだ。
仕方なくリーは父親の行方を知る為に、近隣の人々を伺い、父親が捕まった事件の関係者などに会う内に、この問題に対応出来る人物である、この周辺の有力者を知るのだが、相手にされない現状にリーは怒りを抱えていた。
そしてリーの父の兄であるティアドロ(ジョン・ホークス)は事件の真相の糸口を知っていたが、これに関わる事は、自身に危機が迫ることと同じだった。
しかし奮闘し危機に直面しそうなリーをほっとけないティアドロは…。
そして家族を救う為にリーは、許されない行動を起こす…。
2011年11月11日鑑賞



骨感想骨
「冬の骨」とはいったいどういうことだろうか?
昨年のアメリカの若手の映画監督の登竜門であるサンダンス映画祭でグランプリと脚本賞を受賞した優れた映画作品で、後のアメリカ映画界の最高位のアカデミー賞でも、まさかの作品賞と主演女優、助演男優、脚色と映画の根幹にもなる部分の賞にノミネートした作品だ。
もともとは同名小説があり、それの映画化といういまいちサンダンスとは結びつかない気もするのだが、一応無名のキャストや監督が作った映画としては、やっぱり良いものだろう。
またサンダンス映画祭のみを注目するとこの映画の前年には『フローズンリバー』が功績を残している。
本作同様北部の白人系アメリカ人で、同じく貧乏な挙隅を持った作品である。
現在アメリカではそういった自国の現状に目を向けているのだろうか(ブッシュが壊したアメリカ、世界の中心は過去になった。アメリカは大きな問題を抱えた国だ。etc)
また本作の功績により、主演のジェニファー・ローレンスは、大作であり傑作の『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』に抜擢され、役柄や演技面はあまり目立たなかったが、スターの仲間入りしたわけだ。日本では完全に順序が逆になってしまったが、彼女の活躍は目を見張るものがある。
さて気になる映画のタイトルである「冬の骨」とはなんなんだろうか?
正直「冬に生まれた?」と誤訳して映画館に着た感もある筆者だったわけで、蓋を開けてみると、なかなか違う映画だったことに驚いた。
アメリカとは、まだまだ知られていないものだ。『宇宙人ポール』において、脚本を作ったイギリス人俳優のサイモン・ペグとニック・フロストは実際にアメリカを横断することを作る前にしたそうだ。
そこで彼らは、自分らの思っていたアメリカは別物で、外からのものを拒絶するまたは馬鹿にする姿に衝撃を覚え。また二人で旅をしていたら本当にゲイと間違われたという経験を基に映画内に反映させたそうだが、本作の『ウィンターズ・ボーン』はまさにその凝り固まった生粋のアメリカ人を描いた映画なのではないだろうか?
場所はいまいちわからないが、多分『フローズン・リバー』同様のカナダよりのアメリカだと思う。
そこにはアフリカ系アメリカ人など一切おらず、いるのは白人だけなのだが、この映画の主人公は17歳で一家の中心として存在し、病気の母親を介護し、妹と弟を一人前にするべく日夜奮闘する中、更に悲劇とも思える、忘れたかった父親の問題が家族の癌のように降り掛かってくる。
また貧乏も甚だしく、狩りで食料を調達したり、隣家の人に分けてもらったりと。
到底90年代や00年代に映されてこなかったある種のアメリカの真実を如実に抑えているのだ。
その現状に衝撃を受ける人も少なからずはいると思う。
またその父親という問題に直面してからが、なかなか珍しい展開になる。
正直言えば、退屈な描写なのだが、近隣に住む関係者や友人、親族を頼るのだ。
このたらい回しにも見える描写が中盤に結びつくとは流石に思わず。
また淡々として、それでいて荒涼とした寒空の下と大地の映像に退屈さを感じここからの期待は一切抱けな状態に筆者は少しの「間違いだったかな?」と疑念さえ感じた。
地方というコミニティーそれは…。
先ほどまでのたらい回しが一つの結論に着地した時、本作の映画のジャンルが理解できる。
本作はギャング映画だったのだ。
僕は東京生まれの東京育ちで、引きこもりの映画好きで、あまり友達がいないわけだが。
この映画の扱っている現状は一概に空想とも言えないと思えるのだが?
この隔離とも言える、発展から遠ざけられた世界に大事なことは、他人との密接な結びつき。
助け合いだと思う。都市部ならツィッターやSNSなどで密接だと言えるだろう。
しかし地方で一番大事なのは訪ねることなのだ。
自らの足を使って、面と向かいに行く。
またその独特な状況に生まれたものこそ、ある種のコミニティーであり。それも度が越えてしまえば「犯罪組織」と言っても過言ではないなのだ。
そして中盤で明白になった主人公の立ち位置と映画の方向性。
ここからはこの映画はあるべき場所へと観客を連れて行ってくれる。
『ウィンターズ・ボーン』とは?
しつこいと思うが、この映画のタイトルである『冬の骨』とは、まさしく本作のハイライトであり主人公がセカンドバージンすることなのだ。
その瞬間、彼女は彼女の住む世界で本当の意味で大人になるのだ。17歳で家族の中心だとしても、その先にはまだ本当の大人への儀式が待っている。
あのシーンには怯えた。
あとはもう本作の内容を語る必要などないと思われるが…。
ジョン・ホークスの佇まいに胸が熱くなった。
本作には、その特異な世界観以上に、大人の役割?を体現する映画でもあるわけだ。いやぁー渋い映画だ。
まぁーまさに地方に置き換えたギャング映画だなぁーとつくづく思うが。
扉が開いた時のジョン・ホークスの佇まいは、凄かった。17歳の少女におかれた状況とそれへの返答という責任だろうか。あのシーン以降彼から目が離せなくなる。
そこが評価されてか、彼は見事にアカデミー賞にノミネートされることになった。俳優業は長いようだが、いまいち芽が出ていないと思われ、近年の活躍は『アメリカン・ギャングスター』で好評だったようだが、それ以降は大作をさけているようにも見える。
この先『フローズン・リバー』のメリッサ・レオの様に賞レースに絡んでくるスターに変貌するか期待したいと思う。
メモ得点メモ
8
本作は面白い映画だった。しかしそれを映画に対して興味が無い人が見て面白いと実感できるかは、難しいとこだと思う。それなりに玄人向けの映画ではあるが、女の子が頑張る映画が好きなら絶対好きだと思うので、そういう人にはオススメしたい胸が熱くなる渋い映画だ。

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