映画『スーパーガール』の入場者プレゼントでもらった第1話がかなり良かったので、邦訳版の上巻を購入。
美しい宇宙を旅するロード・ムービーかと思って4歳の娘に読み聞かせてみたら、途中からさすがに無理でした。
絵はめちゃめちゃ綺麗。でも、死体と欠損と復讐が普通に出てくる。そんな容赦のなさも含めて、映画版とは違う骨太さがやばい作品です。
※本記事は『完全版(上)』収録の第1~4話について、ネタバレを含みます。
2021年8月〜2021年11月![]()
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概要:実写映画『スーパーガール』公開に合わせ、原作コミックが上下巻で邦訳
2026年6月26日に日本で劇場公開された、DCユニバース(DCU)の映画第2作『スーパーガール』。
同日に、映画の原作にあたる『スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版(上)』も発売されました。当初はスルーしてましたが、映画『スーパーガール』の入場者プレゼントとして配布された本作の第1話がとても良かったので、購入して娘に読み聞かせてみました。
本作は、2021年6月から2022年2月にかけて刊行された全8話のリミテッドシリーズ。既存シリーズを深追いしなくても読みやすい、独立性の高い物語です。
ライターは、元CIAの対テロ担当官という異色の経歴を持つトム・キング。アートはビルキス・エヴェリー、カラーはマテウス・ロペスが担当しています。
トム・キングは『バットマン』『ミスター・ミラクル』などで、2018年と2019年のアイズナー賞最優秀ライター賞を2年連続受賞した実力派。2026年8月配信予定のグリーンランタン実写ドラマ『ランタンズ』では、パイロット版の共同脚本と製作総指揮を務めています。
感想:追跡系スペース西部劇の骨太の物語がやばい
『トゥルー・グリット』として映画化された小説『勇気ある追跡』から着想を得た作品。父の復讐を誓うティーンのルーシーと、誕生日記念にお酒を飲む旅に出てたスーパーガールことカーラが出会う。
さらに、カーラの愛犬クリプトがルーシーの仇から毒矢を受けて倒れたことをきっかけに、2人の宇宙を舞台にしたロード・ムービーの幕が開ける。
作品はルーシーのモノローグで進み、たどり着いた星々の情景や問題、そこに対するカーラの対応と、それを見たルーシーの思いが描かれる。
第3話で明かされるが、この物語は旅から数十年経ったルーシーの回想である。彼女がいかに子どもだったか。そして、カーラという女性が、強く逞しい存在でありながら、どこまでも気丈に振る舞う人格者だったかが窺える。この奥ゆかしさがやばい。
「私が叫んだのは恐怖からではなかった。私たちの死を謀りつつ命を護る宇宙の気まぐれを理解したゆえに叫んでいたのだ。」
――『スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版(上)』より
映画『トゥルー・グリット』を見たことがあればわかるかもしれないが、映画のマティとコグバーンの関係そのまま。生意気とも言えるルーシーは、話が進むごとに年相応の少女に戻っていく。一方のカーラは、立ちはだかる悪意を前に、英雄ではなく正義の執行者へと変貌していく。そんな骨太のスペース西部劇が描かれる素晴らしい作品です。
結構きつい:読むのも辛くなるようなえぐさあり
映画『スーパーガール』の原作にあたる本作だが、一概に原作をそのまま映画化すれば良かったというわけでもなかった。
原作者のトム・キングの容赦ない物語展開は、映像化するにはあまりにもハード過ぎる。
ルーシーの父を殺したクレムは、極悪人ではあるものの、チャラチャラした色男という感じ。凄まじい大悪党というより、実力以上に悪運が強い存在という印象です。そんな彼が出会ったバーボンド宙賊団がまじでやばい。
人を残忍に殺すことを楽しむクソヤバい奴らと、クレムが意気投合するという最悪の展開。
結果的に、ルーシーとカーラが訪れる星はどこも死体だらけの壊滅状態。トム・キングのシナリオがエグ過ぎる。
コマの下部には大量の死体が転がり、人体欠損した宇宙人が悲しい思いを吐露し、何もかも失った赤ん坊が泣き叫ぶ。見るに耐えない展開が続き、4歳の娘に読み聞かせるのをやめてしまった部分もある。
また、宇宙人同士の復讐パートもあり、捕らえた賊の1人に大量の石を投げつけて処刑する場面まである。宇宙独自の倫理観で物事が進むコミックとしての素晴らしさはあるものの、読んでて終始しんどかった。
どこかヒーロー活動とは一線を引こうとしていたカーラだったが、本質的な悪と、弱者が犠牲になる現実を目にすることで、話が進むたびに表情も険しくなっていく。力を持つ者がすべきことへの悟りを丁寧に描いていて素晴らしい。
また、絵のタッチは宇宙の美しさや、荒唐無稽でワンダフルな感じを上手く描いている。
むしろ映画版よりも、宇宙や宇宙人の描写がめちゃめちゃ魅力的に感じる。
そこに惨たらしさも同時に存在し、このコミックがいかに凄いものかを実感できる。
さすがにこれはそのまま映画にするのはきついなぁと思いました。
取り急ぎ、上巻は第4話までを収録。
下巻は10月に発売予定ということで、とりあえずコミック屋さんでボックス付きを予約しました。
頑張れフェーズシックス
MCUが始まった頃、日本ではヴィレッジブックスと小学館集英社プロダクションが、アメコミの邦訳を多数出してくれてました。
その後、ヴィレッジブックスは出版事業を終了。小学館集英社プロダクションもマーベル・コミックスとの出版契約を終了し、対象作品の順次販売終了を発表しました。ShoPro Booksから今後のアメコミ新刊予定が出ていない中、『ゴジラ』『タートルズ』『プレデター』などの邦訳を手がけてきたフェーズシックスが、DC作品も頑張って出版してくれている。
北米での話題作『アブソリュート・バットマン ザ・ズー』もフェーズシックスさんから発売されるようで、予約しましたし、今後お世話になりそうです。
利益が出ているのか勝手に心配になりますが、頑張って欲しいなぁって思います。
マーベルについては、KADOKAWAとの新たな取り組みも発表されたようで、こちらも今後が気になる。
また、アシェット・コレクションズ・ジャパンの『マーベル グラフィックノベル・コレクション』も、200号までの予定で隔週刊行中。少なくとも来年も2週間に1回、邦訳本が発売されることになるので、マーベルの邦訳が完全に途切れたわけではない。
フェーズシックスからも、DCの『バットマン』や『ジャスティス・リーグ』がさらに邦訳されたら嬉しいなぁと思います。

まとめ:美しい宇宙とえぐい現実が同居する、骨太なスペース西部劇
『スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版(上)』は、美しい宇宙と宇宙人を描きながら、その下で死体や復讐や弱者の犠牲を容赦なく見せてくる骨太なスペース西部劇でした。
絵はめちゃめちゃ綺麗。でも、4歳の娘への読み聞かせは途中で断念するくらいえぐい。少なくとも小さな子ども向けではありません。
それでも、ルーシーの目を通してカーラの強さと気高さが浮かび上がってくる構成は素晴らしい。上巻だけでも十分やばかったので、下巻でこの旅がどう決着するのか楽しみです。
『スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版』を通販で購入
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