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◎【映画感想】エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に(ネタバレ注意)【83点】◎


アメリカ2016年アメリカ映画作品アメリカ
監督
リチャード・リンクレイター
(『6才のボクが、大人になるまで。』『ビフォア・ミッドナイト』『ビフォア・サンセット』『バッド・チューニング』)
大学入学直前の3日間を描く色褪せることのない希望の切り取り映画!!
やれることはなんでもやる!!
そんなブリリアントな映画!!
舞台はアメリカの中央部にあるテキサス。結構田舎。
野球のスポーツ奨学金で大学に入学するジェイクは、同様に野球で奨学金で学校に入学した先輩たちと州が用意した家で暮らすことになった。
入学3日前に転入することになる。
そこで先輩たちと大学が始まる前の楽しい日々を送る!!!!
という話があるのかないのかかなりあれな映画。
『6才のボクが、大人になるまで。』で現実の12年間という長期間撮影を行ったスーパー映画監督のリチャード・リンクレイター監督の新作は、監督の初期作の『スラッカー』や『バッドチューニング』に連なるとも言える大学生活作品の最新作。
今作では、大学生活が始まる前の高校生から大学生になる青春の大きな1ページ、不安と大きすぎる期待に心踊りまくっているあの瞬間、あの最高のブリリアントな期間と瞬間を劇映画で描き出したのだ!!
出演者たちは、ほぼ無名の若手俳優たち。
むしろ俳優ではない人も新人としてデビューさせている節もある。
それは『6才のボクが、大人になるまで。』でも同様だと思うし、そのスピリット含めてリンクレイター先生なんだよね!!
唯一有名なのは、海外ドラマ『glee』のシーズン4で仲間入りした主人公役の人か?
むしろ無名だからこそ若さを感じる。さすがリンクレイター先生だ。
今作のすごいところは、映画としての葛藤がないところ。
いや厳密にはあるが、それは人物の背景というか設定から微かに滲み出てくる恐れの募りにすぎない。
大学生を終えて社会に出ることへの恐怖と野球での奨学金で進学したが、その後の社会では無意味であるということも薄々感じる彼らのストレスが、より彼らをこの大学開始直前の休暇で爆発させる。
その人物背景以外は、何もない、葛藤も成長もない。
そんな全てから解放された残された期間なのだ。
やれることはなんでもやる精神。
本作はすごい。
そのすごいのが、あり得るだろう飲み会イベントを全て描こうとする姿勢。
70年代の終わり80年代の始まり、そんな時期を舞台にしたご機嫌すぎる映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』。
本作はただ大学生がウェイウェイして酒を飲み歩く、ケヴィン・スミスの映画のような映画だ。
最初は70年代で大ブームを起こしたディスコから始まり、カントリーに移り、ライブハウスで大暴れ、最後には野球部と縁のないサブカル系のアートなパーティーにも参加。
やれることはなんでもやる精神が半端ない。
そんなアゲアゲな映画かと思うなかれ、終盤はちゃんと野球の練習も行なっている。笑
そしてそんな野球部のキャラ一人一人がすごく魅力的で個性的で、全く飽きさせない。
会話とシークエンスに意味こそないが、それら一つ一つが面白くて、笑ったりしているうちにどんどんハマっていく。
この映画永遠に続くのじゃないか?と中盤ちょっと不安になったが、むしろ彼らの卒業まで見守れるぐらい愛してしまったわけで、そういうキャラを生み出すリンクレイター先生すごいよ。
またやはりリンクレイター先生。
終盤では、まさかのサブカル系女子とほっこりするラブストーリーを展開し、あんだけウェイウェイセックスとお酒でキャッキャさせたのに、リンクレイター先生の人世論を披露し、魅力的なロケーションとロマンチックなデートで魅了させてくるんだからいやらしい。
そこで流れるアンニュイな雰囲気がまた『6歳の僕』を彷彿させるんだよな。
監督オリジナル作品はどこか紡がれているようで、今作は6歳の僕の精神的なその後でもあるらしくて、また『バッド・チューニング』設定から4年後でもあるわけ、そういった精神の先に『ビフォア・サンライズ』に連なっていくのではないかと思う。
今はジャド・アパトーを勉強したいと思うけど、いつかリンクレイター先生の映画も自分の中で特集したい。
メモ得点メモ
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど  7/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 9/10
・音楽 9/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10
83点
過去作と同じく音楽も最高。
まさかエンドロールで各キャラのラップを披露するとは!!
キャラの作り込みが素晴らしくて、本当に楽しい映画だった!
批評家にも相変わらず好かれているリンクレイター監督。
次回作も楽しみだ。

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