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◯【75点】エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE【解説 考察 :若さと未来】○

エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE

製作

2019年アメリカ映画

ピンクマン。
お前は俺たちにとっては英雄だ。

制作

ヴィンス・ギリガン
・Xファイル
ブレイキング・バッド
・ベター・コール・ソウル

キャスト

ジェシー・プレモンス
ゲーム・ナイト
ブラック・スキャンダル
ザ・マスター
バトルシップ

あらすじ

『ブレイキング・バッド』シーズン5のラスト直後の物語。
ウォルター・H・ホワイト(ブライアン・クランストン)の決死の襲撃のおかげで、
ギャングのアジトからエルカミーノを奪い、敷地から去ったジェシー・ピンクマン。
彼はギャングにより監禁・拷問を受けメタンフェタミンの製造を強要されていた。

逃げたジェシーの向かった先は悪友のスキニー・ピートとバッジャーの元だった。
過酷な日々からの脱走と衝撃の顛末に一時的なPTSDを患うジェシーだったが、
車を処分しようとオールド・ジョーに依頼。
しかし車には追跡システムが内蔵されており、ちょうど起動するのだった。
ジェシーはスキニーとパッジャーの協力により車を手にする。

ジェシーには考えがあった。

監禁の日々の中、ある日かつて一緒に仕事をしていたギャングの組織の若手のトッド(ジェシー・プレモンス)がジェシーに手伝いを求めて一緒に外出する日があった。
トッドの目的がわからないジェシーは怯えながらも彼の手伝いを進めていく。

その最中にトッドの自宅に莫大な財産をへそくりしていることを知る。

ジェシーはそれを取りに彼の部屋にいくが、
そこに警官の変装をした謎のギャング2人と出会う。
彼らと交渉し金を分けたジェシーだったが、
彼らの正体がギャングではなく、一般人で、かつて監禁生活の中で、自分の鎖を溶接した溶接会社でのオーナーであることを思い出す。

ジェシーは金を持って、かつて利用し損ねた逃し屋の元へ行き、強引に依頼するが、
金が足りずに断られてしまうのであった。

2019年10月13日自宅Netflix鑑賞 2019年82本目



ブレイキング・バッドのエピローグ2時間スペシャル

シーズンファイナルにて、エルカミーノで脱出したウォルター・ホワイトの相棒ピンクマンのその後を描いた作品。

via GIPHY

手堅くもその後のエピローグで、
流石にドラマ本編からは回想で直前のキャスト群。
本編であの人とあの人と友達という構成。

これまで描かれてこなかったピンクマンの過酷な拷問の日々とその後に焦点を当てた内容になっている。

ブレイキング・バッドとしてどうか?よりは1本の映画としての挑戦

『ブレイキング・バッド』出身者として、『スター・ウォーズ』を台無しにしてくれたライアン・ジョンソンが代表だが、
もとはヴィンス・ギリガンさんの所有物。
この人知らなかったが、『Xファイル』に携わっていた方。
今では本作の成功により、そのスピンオフたる『ベター・コール・ソウル』にて現在も高い評価を得ているが、
今作では監督と脚本を担当したわけで、ヴィンス・ギリガンの集大成であり、本当のブレイキング・バッドの極地が描かれているのかもしれない。
監督としての野心として、

ドラマというよりも映画としてのあり方にこだわったものなのではないか?と個人的には感じた。

ドラマのシナリオの絶妙な変化と絶妙ないびつさ、化学変化のような突発的な心理の変化による事象。
その果ての葛藤、一般人だったものが、化学変化によって大悪人へとなっていく。
そのバランスがすごく、

21世紀のアメリカンドリームの極地のような内容だったブレイキング・バッド。

本作はシナリオに対しての追及は極力避けているように思えた。
ウォルターと対比しての若さと未来。

via GIPHY

ウォルターの末期癌という終焉の物語に対しての自由をついに手にした男の果ての物語。
そこにたどり着くためのピースとしての回想。
そしてそこに到達するための男としての乗り越えるべき山。

ジェシーという男が、ブレイキングを通して経験した悪夢が、実を結ぶ、男の物語としてのシンプルな展開。

シンプルでいて力強い、それでいて決闘は避けることができない。

まるで西部劇

荒野と化したジェシーの心にあるのは、隠された秘宝と、そしてそれを狙う敵との決闘。

物語に対しての映像こそが本作のキモ

4K解像度と映画を意識した、
広角な荒野の背景の数々。
野心的な密室での宝探し、
ちょっとした駆け引きの心理戦を巧みに描いた表情の絵。

サイコパスすぎるトッドとの対峙の構図。
空撮の俯瞰。

その全てが極力無駄を廃止したシンプルな構図の数々がどれも力強く、
エピローグを映画というか体に落とし込み、
映画としての面白さを内包した。
スペシャルな一作だった。

ちょっとシンプルすぎて物足りなさもあるが、
広角の映像や盛り上がりもあってスリリングで面白かったが、
納得いかない人もいるのかなと思った。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 7.6/10
・キャラクターの魅力 7.4/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 7.7/10

75点

ジェシー・プレモンスがマット・デイモンに似てるんだけど、
マット・デイモンよりも常にサイコパスな役ばっかやってて、今作でもそのサイコパス演技っぷりが冴え渡っていて、
マット・デイモンみたいな役柄なのにもっと笑える味があって怪演すぎて、今後も楽しみ。

ちなみに自分は吹き替え版にて鑑賞。ドラマも吹き替えで見てて、石田彰のジェシーが超ハマり役だし、
ウォルターの言い回しも最高でした。

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