★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
1988年日本映画
『となりのトトロ』と同時上映とか
地獄過ぎだろ!
監督
高畑勲
・かぐや姫の物語
・おもひでぽろぽろ
・平成狸合戦ぽんぽこ
あらすじ
1945年9月21日。
日本の関西地方の兵庫県の神戸市の三ノ宮駅、
ここで1人の少年が亡くなった。
彼の名前は清太。
彼は錆びたドロップ缶を持っていたが、
その中身はドロップでなく骨の欠片だった。
それを見つけた駅員は不気味がり、
外に投げ捨てた。
その遺骨は清太の妹の節子の骨だった。
物語は遡る。
1945年6月5日。
この日神戸市は米軍の大規模な爆撃攻撃により
一面焼け野原になってしまう。
神戸市に住んでいたそこそこ裕福だった
14歳の清太と4歳の節子、そして心臓が悪い母は、
空襲から避難をするが、途中で逸れてしまい、
避難先の学校で清太は母親が火事により
目も当てられないほどの重傷を負い、
その後亡くなってしまう。
そのことは節子には告げず、
以前から疎開を行う予定だった
未亡人の義理の叔母のもとへ向かう。
しかしそこで、
無作為に生活する怠惰な清太と
うなされる節子に愛想が尽きた叔母は、
2人を邪険に扱い始め、
不愉快に思った清太は節子を連れて、
母親の貯金を下ろして、
使われていない池の近くの防空壕で
2人だけで暮らし始めるのだが。。。。
2020年8月5日自宅Blu-ray鑑賞
2020年40本目
リアリズムの高畑勲の最高傑作??
個人企画IMDbTOP250の映画を見る。
今回は2020年8月15日現在48位の
『火垂るの墓』を見ました。
不思議にも終戦間際の反戦映画で
全く関連していないが、
8月5日に鑑賞して8月15日に感想を書くという
なかなかタイムリーな事象。
また8月14日には公開当初同時上映した
『となりのトトロ』がテレビ放送されており、
話題性が非常に高い今日この頃。
早めに描き終えてアップすればPV稼げるかな?
という邪推。
そんなことしてたら叔母に追い出されてしまうよと。
例年日本テレビのお盆時期にはお見かけする本作。
原作のある作品で、
1967年の短編小説。
作者自身の体験記なので、実話に近いだろうな。
終戦間際に空襲により家と母親を亡くし、
結果的には父親も亡くし、
妹と2人で生きようと無計画で行動をした結果、
終戦直前に妹を自身の身勝手さにより衰弱死
させてしまい、
また自身も終戦後に衰弱死してしまうという
悲惨過ぎる物語
しかも
これが1988年に『となりのトトロ』と同時上映で2本立てだったとは。
なかなかの地獄の3時間だよな。いや俺なら帰るわ。
本当にトトロが暗喩鬱ファンタジーで、
こっちはガチ鬱地獄の戦時中映画じゃねぇか。
しかも冒頭から母親の死様が蛆虫だらけという
極みゴア表現。
リアル過ぎる描写と
悲惨過ぎる生々しい鬱展開。
それを非常に高い技術で
アニメーション化していて、
娯楽とは違う作家性としての大人向けの
アニメーションとしての真骨頂のようなもを
拝めるわけだが。
それなりに見る覚悟が必要。
しかし流してみるとあっという間に
終わってしまってびっくりだったりする。
これがアニメーションのいや
ジブリの力か!!
14歳清太のエゴによる犠牲
30代になって真剣に本作を眺めてみると
過去に感じなかった更なる悲惨さを垣間見た。
物語展開として、
叔母と清太が仲違いをして、防空壕で
暮らすことになるのだが、
(この叔母が未亡人でしかも
ほぼ父親の兄弟の妻でほぼ他人
だったのは今日知った。)
この清太の判断は、
節子を失うロジックとしての明確な理由でしか
ないなぁと。
ずっと叔母が悪役でもあると思ってきたが、
30代になってみると叔母の気持ちもわかる。
血のつながりが全くない少年を
家に置いてあげて、
挙句に家のお手伝いも何もせずに、
家でだらだらとされたら、
正直嫌な気持ちでいっぱいにもなるだろう。
挙句に下宿人と娘はちゃんとこの辛い中でも
何かを為そうとしているのに。
それでも親を亡くした子供たちということで、
辛く当たり過ぎることもできない。
そこに思春期で母親の死を目撃し、
喪失感による多くのストレスに支配された
清太は暴走。
14歳じゃ生き残るなんて無理に決まっている。
束の間の幸せを節子と楽しむが、
そこに待ち受けるのは常識の通用しない、
戦時下のサバイバル。
あっさりと節子はうんこびちびちで
おはじきなめはじめてしまうわけで、
これは清太の失態だなぁとまじまじと思った。
しかし14歳だ。
戦時下と2020年のコロナ禍
彼は導かれなければいけなかったが、
戦時下というアンバランスな日常。
しかもいつ終わるかわからない戦争。
現在もコロナが終わる気配もなく、
新たなる日常を政府は強要し、
戦時下の日本と変わらない。
この蓄積していくストレスの中、
どのようにして活動をしていけばいいのか、
30代の自分でもわからなないのだから、
清太なんてもっとわからなかっただろう。
まして父親は海軍の艦長と思える人だ。
相当生活の落差も大きかっただろう。
耐え忍ぶのが日本人の美学だったのか?
そもそもの戦争というものの
大きな犠牲者であり、
本作が反戦映画であることは明白だが、
ホタルはすぐに死んでしまうが、
弱い立場の人間は、
緊急事態においては、
ホタルのようにすぐ死んでしまう。
生き残るための全体主義か?
私たちも生きるために
常に自分の置かれている状況を理解し、
偉いものにくっつく必要性がある。
それがサバイバルなのだろうか。
あの全体主義の国の雰囲気に
個人として生きようと試みた清太は
何も間違っていなかったが、
悪に染まりボロボロになりながら、
大切な肉親を全て失い、
そして自身も死に絶えてしまった。
彼には未来は訪れずに
現代の神戸の姿も見ることができなかったが、
その神戸もいつか新たなる戦争で、
焼け野原と化す可能性も2020年なら
あるのかもしれない。。。
そして物語は延々と繰り返される。
個で生きることは辛いから、
全体の一部になる方が楽なんだなと
どっかのエヴァンゲリオンのような
オチも結びつけられる。
終始陰鬱で胸が締め付けられる映画だったが
色々と思想を考えさせられる
秀逸な映画だったな。
海外版スチールブックは強制英語字幕表示
今回は、
海外版のスチールブックを購入し鑑賞。
ただ強制英語字幕付きのハズレだったので、
注意してほしい。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 8.8/10
・映像のアプローチ 9/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 9/10
87点
大人向けな映画であることは確かですが、
こんな絶望的な映画はそうそうお見受けしない。
そしてこの絶望感は現代の今に確かにあり、
こんな時代に生きる弱いものたちは、
いつか節子や清太のようになるのでは?
と思うと、
多くの低収入に陥ってしまった
学のある若者たちは、
子供など未来のために作ろうとは
思わないのではないか???
未来はまだ果てしないと昔思ったが、
こんなにも天井が近く、
閉塞的なものだったのかと
絶望してしまうが、
大好きなガンダムの
『ガンダムUC』の主人公のように
「それでも」と言い続けて、
何かを得ようと生きてる限り
前に進むしかないなと思うのでした。
そんなわけで元気がない人は
自宅待機中に『ガンダムUC』を見てください。
僕たちは可能性の獣です。
子供はみんなニュータイプ!!
(ガンオタおじさんもな!!)
レンタル
通販
可能性に殺されるぞ!!
ポスターの画像蛍やない!
B29の爆撃や!!
知らんかった!!
というかあのポスター見たことないわ。
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