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◎プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 2013年63本目「ネタバレ注意。」74点◎

「長くて大胆な映画だ!」

『A Little his REDEMPTION.』自称映画オタクの映画感想部~season 7~-ブレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
アメリカ2012年アメリカ映画アメリカ

あらすじはこちらから。
感想
『ブルー・バレンタイン』の監督と同主演俳優のライアン・ゴズリングの再タッグで作られた映画。
しかし、本作は、3部構成だったのだ!!
途中で主役交代劇があり、映画は3部作のように各々主役が代わって行く。
また映画は、それぞれの幕で違う物語を描く、まるで3部作のそれぞれ違った味わいを持った映画を一つにまとめたような映画なのだ!!
あーー。ネタバレ気持ちいい。
はい。ごめんなさい。
というわけで、ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、デイン・デハーンの三人が主役の本作。
何も知らないで鑑賞したらとてもビックリしました。
この手の映画らしく、ライアン・ゴズリングとブラッドリー・クーパーが何かの事件を機に殺し合うような映画を想定していたけども全然違った…。(笑)
たった2時間30分程で三つの視点で違う映画を紡いだことで、賛否が別れがちな本作。
ただ、映画は、タイトルの「松林を超えて」に習いそれぞれの物語で松林が舞台になり、また邦題の「宿命」とあるように、物語は確実に結びつく、最後にはその因果が描かれる…。
その結果こそが、とても私的には、とても偉大なことで、ラストがとても良かった映画だった。
というわけで一部ずつ見て行こう。
一部ずつの内容や描写を考えるべきなのか…。映画一本の統合性や描写のバランス、音楽を考えるのが正しいと思うが、あまりにも主人公のキャラクターが違うので、それぞれに分けて感想を書きたい。
ルーク編
正直言えば、ほとんど『ドライヴ』だった。
『ドライヴ』は、ドラマ的ではなく、映画的なコミカルなキャラクター性を秘めた最高のモンスターであった。だがこちらのライアン・ゴズリングは、そうではなく、ほとんど『ドライヴ』なのだが、人間らしい感情がある。
メタリカのTシャツを着て全身に不思議なタトゥーがある。だが、学が無い…。
それが致命的で、理知さが足りず、物語は衝撃の展開を迎える。
そういう意味では非常に驚いた。まさか主役途中退場で交代とは…大胆過ぎる。
監督もすごいことをする。
『ドライヴ』の車愛をバイク愛しかもオフロードバイクをチョイスしている。
『ドライヴ』よりも疾走感のある逃走劇などもあったり、している点は非常に良いのだが、主人公がアウトロー過ぎて、あまり感情移入が出来ない致命的な部分があると思う。
それが結果的に悲劇に結びつく…。
ライアン・ゴズリングは、『ドライヴ』の印象が非常に強く…乗り物を乗るスタントマンという設定が酷似しているので、服装や体型は違えど、印象が似てしまっており、真新しさが無い…。
強盗劇こそ面白いのだが…。また『ブルー・バレンタイン』ほど演技に対して準備期間を感じさせなかった。『ブルー・バレンタイン』のライアン・ゴズリングのクソっぷりで、監督一緒となると自ずとハードルが上がるが、それを超えることは出来なかった…。
エイヴリー編
まず、凄いと思ったのが、ブラッドリー・クーパーの鮮やかな初登場シーン。
これには驚いた。監督のセンスの高さが伺える。やっぱ夫婦の独立記念日の映画を緻密に生み出しただけわある。
それを見た時、あまりにびっくりしたから、映画を覗き込んでしまったよ。(笑)二度見する感じね。
正直もっと中盤の宿命を感じさせる対立構造で出てくると思ったから…。
そこから衝撃的な主役交代。
その後は、序盤とは打って変わっての警察汚職映画に変貌する。
あれだよぷち『L.A.コンフィデンシャル』みたいなやつ。
さっきまで、犯罪に手を染めてしまう系の強盗英映画だったんだけど、いきなり警察汚職映画に代わるんだよ…。流石に困惑こそしてしまうのだが、ライアン・ゴズリングからブラッドリー・クーパーというまた違った気質のイケメン俳優に結構ニヤニヤはしてしまう。
またさっきまではアメリカの下流家庭の物語になっているのだが、ここからはやや上流に変わる。
共通点は無いのがあれだが、レイ・リオッタのせいでルーク編が終わってはいるものの密接に絡み合ってくる。やっぱりレイ・リオッタはテンプレートでクソ野郎でした…。(笑)
結果的に、ブラッドリー・クーパーは『リミットレス』同様に野心的で、自身の正義に従いながらも出世をする。
ブラッドリー・クーパーは本当にそういうちょっとした中流階級の出世欲丸出しな役が似合う。
アメリカ人の理想像と典型のように思えるよ…。
ジェイソン編
結果的にブラッドリー・クーパーがテンプレートな役に落ち着き、次なる主役は、ルークの息子ジェイソンになる。
このジェイソンを演じるのが、デイン・デハーンなんだが、こいつがマジやべぇー。
表情が暗過ぎて、普通なのに薬物利用してるように見える。
元々『クロニクル』で注目俳優になった彼だが、ジェシー・アイゼンバーグのように、ナイーブな童貞役とは、片付けられない程、顔色が悪い。それこそ性格俳優、またはメソッド俳優の如く、薄暗い表情と不健康な髪型。パワーが感じられず、全力でダウナー。
むしろこの俳優をここで持ってくることが凄い。
決してイケメンではないのだが、彼はジェームズ・ディーンのような魅力を秘めている。
ここは非常に因果的で映画らしくまとまる。むしろ上手い具合に二つが繋がる。
まさかのルークの息子とエイヴリーの息子が学校で友人になるという展開。
ふとしたエイヴリーの冗談でルークは本当の父親を探すことになる。
そこから徐々に感じてくる宿命。真の主人公こそこのデイン・デハーンとも思える。
ジェイソンは、自転車を愛用しており、ルークはバイクを愛用している。
この対比が道路を上手く使い非常に効果的に描かれており、壮大で温もりのある宿命を描く。
また勿論、映画はジェイソンとエイヴリーの対決に進む。
なんせエイヴリーは、無抵抗のルークを殺していたのだから。
映画は、ルーク編やエイヴリー編のように黒黒しい宿命を超え、許しと壮大な旅が始まる。
ネタバレを薄めにしたいので、ざっくりと言うが、映画は、緩やかにそれぞれの心の傷を癒し終わりを迎える。
このラストは私的には凄く良かった。うまいまとめ方だったと思うし、ルークの人生を追うジェイソンの姿には、ルークとは違うが似て行く姿に他の映画ではなかなか味わえない希望と安らぎを見た。
その後のエンドロールの楽曲が最高で、ボン・イヴァーの楽曲をこんなとこで聴くとは。最高だった。映画史上に残る最高の後味でした。(笑)

悪いとこまとめ
正直言えば、2本立ての映画を見ているような困惑もあったのだが、ラストのまとめ方が非常に私好みだから良かったが、問題点は数多くある。
特に「強引」というのがこの映画の悪い点を表すと思う。
最初こそは、良いと思うのだが、エイヴリーのパートは、まさしく強引でそれでいて駆け足だったと思う。
実際に3部作として一本一本の映画としてくれた方が良かったという意見もあるし。
(ジョニー・トー三部作みたいにね。(笑))
エイヴリーと汚職刑事の関係がどう繋がっていたのかもいまいち納得出来なかった。
また最後のパートでもジェイソンとエイヴリーの息子の対話の数が少な過ぎたとも思う。
エイヴリーと息子もラストで対話したかも明確ではないし。
二人の確執も描きが足りなかったと思う。
想像こそは容易にできるもののね。
あとあらすじを文章化すると気になる点が浮かんでくる。
時代設定が明確に出てなかったのは痛い。エヴァ・メンデスのインタビューで冒頭の服装は92年の時の実際の服装らしい。それを考慮すると映画の時間軸は、94年ぐらいから2009年ぐらいの物語なのかもしれない…。そうすれば、警察に汚職刑事がはびこっているのも説得力があるものだが…。
私的には、ルークが死ぬのは仕方ないことだと思う。なんせ重罪を何度も重ねたんだからね…。
あと『4400』の黒人がダース・ベイダーの真似をして「おれが父親だ。」というシーンは最高でした。
やっぱ俳優の活躍が最高でした。
音楽も印象的で、重低音の効いた音を印象的に使って、妙に古い映画らしさを醸し出すのも面白かった。
メモ得点メモ
74
ラストのまとめ方が最高でした。
ただ脚本が荒い感じかな、それをカバーする程の映像化ではあったものの。
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