「こんな異世界久しぶり」
監督
リチャード・アイオアディ
(『サブマリン』)
監督:リチャード・アイオアディ
アークティック・モンキーズなどのイギリスで人気と実力のあるバンドの印象的なプロモーションビデオを手がけ、また監督自身も俳優としてコメディ映画やテレビドラマに出演しており、そのマルチな才能のある彼の2作目の長編映画監督作品が本作『嗤う分身』だ。
主演:ジェシー・アイゼンバーグ
ヒロイン:ミア・ワシコウスカ
原作:ドフトエフスキー
と『サブマリン』というリスペクト80年代な淡くセンシティブで独特な青春映画を生み出した監督の最新作の出演とヒロインにこの二人という時点で、何か運命めいたものを感じる。
どちらも一筋縄ではイケメンと美人とはめることはできない、個性のある俳優だと思うし、魅力もたっぷりだと思う。
そこにさらに、原作として『罪と罰』とかのロシア小説の大御所の作品となると、もはや一筋縄で感想もかけないとしか言いようがない。
作品が面白い面白くないの前に、絶対みたい作品であることはいうまでもない。
感想
奇妙な映画の旅
主人公のジェームズは影が薄く、気弱。
会社でもいるかいないのか怪しい存在。
そんな彼が、こんなのおれじゃない!!
といった翌朝から、自分と瓜二つの名前と苗字が入れ替わった自分と正反対の性格の人間が新人として現れる。
正反対の彼は正反対の成功を手にして、挙句に自分に協力をするふりをして自分から全てを奪っていく。
そのままジェームズはとことん辛い目にあっていくんだけども、最後の最後でもう一人の自分から全てを奪い取り、彼になりかわることで映画は終わる。
ふむ。奇妙だった。
作品の世界は、現代とも過去とも言えない、奇妙な世界で、主人公が務める会社もまた何をしているのか理解できない。全く見たことがないパソコンを打ち、全く見たことがないコピー機が作動する。
独特な色合いの世界と独特なテレビ番組。
まるで『未来世紀ブラジル』のような異世界が描かれる。
しかし原作はドフトエフスキーというわけで、話はシンプル。
全く正反対の自分のせいで、全てが奪われる。
あまりにも不条理。
ただ最後はまぁ普通にカタルシスもあり、主人公は理想の自分を超えた存在へとなる。
実際賛否両論だと思うし、自分は否定派だと思う。
監督が思えば、テリー・ギリアムよりなんだなぁと感想を書いていて思った。
そっちが好きならこの不条理な異世界も堪能できるのだろうな。
キャストも前作の『サブマリン』から出てきている人も多いし。ジェシー・アイゼンバーグとミア・ワシコウシカにぴったりな物語と世界観だと思う。
特にジェシー・アイゼンバーグの二役は、一人は『アドベンチャーランドへようこそ』でもう一人は『ソーシャル・ネットワーク』という感じで、これがまたツボにはまる。
音楽も日本の歌謡曲を使う、イギリスのPVを撮るだけあってマニアック。エンディングは韓国だし。
やはり今後の監督作品が注目で、未来ではウェス・アンダーソン監督のような魅力のある映画を作っているとも思える。
次回作も是非みたい。
得点
物語と上映時間 6/10
映画の奥深さと世界観 8/10
キャラクターの魅力 7/10
監督の映像演出と印象的なシーン、映像を使った話の描き方 7/10
音楽 8/10
俺の趣味 5/10
序盤結構眠くなった。意外と分身が出てくるまで長いのね。序盤の展開も変だし。
64点
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