ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞
★この記事をまとめるとこんな感じ★
はじめに
製作
2021年
ニュージーランド・イギリス・アメリカ
オーストラリア映画
1920年代の田舎という文明開花が遅れた悪夢の地
監督
ジェーン・カンピオン
・ピアノ・レッスン
・ブライト・スター いちばん美しい恋の詩
・トップ・オブ・ザ・レイク ~消えた少女~ Top of the Lake
キャスト
ネタバレ あらすじ
2022年2月20日自宅Netflix鑑賞
2022年7本目
ゴールデン・グローブ賞受賞作品
ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門
作品賞と助演男優賞
そして監督賞を受賞した
アカデミー賞本命映画。

批評家評価も高いのだが
IMDbを見た限りでは観客評価が微妙。
本作には原作小説があり
1967年に発行された同名小説の映画化。
ちなみに作者は1915年生まれららしいので
ピーターの視点がリアルなのかもと思ったり。
原作小説はフィルの視点の作品のようで
フィルの心の葛藤や大自然の凄さ的なのが
垣間見られると思われる。
そんなわけで感想。
1925年のモンタナ州という未知の世界
始まって疑問に感じたのが
1920年代でこの映像って
なんかおかしくね?ってとこでした。
映画としてはもうチャップリンの映画が
公開されている時代。
もちろん車も走ってるし
建物も木ではなくてコンクリとか
ある時代だと思う。
ただ場所がアメリカの北西部の
ほぼカナダのモンタナ州で
大自然に囲まれているからか
文明発展の姿が全く見受けられない。
強いていうなら
未だに西部開拓時代の名残さえ感じる。
ゲーム『レッド・デッド・リデンプション」を
彷彿させる世界観。
いや大学もあるし
普通ならラジオもあるんだろうな?
って思うんだけども
汽車の駅がわずかにあるだけでほぼ荒野という
今まで見たことない時代感の映画。

フィルの設定と似つかわしくない舞台
主人公のフィルは
イエール大学出身という
アメリカ北東部で
アメリカで最上位の学力のあり
裕福な家庭で育ちながらも
何故かド田舎に帰郷して
牧場経営をしているという
謎の人
そして男っぽくないものを
全否定するマッチョイズムの
家父調なわけなのだが
経歴からして
ニューヨーク近郊で
10代後半から20代前半を
過ごしたのでカルチャーにも
詳しい絶対ここにいちゃ病んじゃう人。
そんな彼の弟が未亡人と結婚して
中性的な息子とで関わったことで
人生の最高と最悪を味わう映画と思えた。
余白与えすぎてメタファー要素多めで逆にわかりづらい
今作。
設定から紐解けば
大体前半で映画が読めてくる
わけですが
胸糞映画ですよね
ただそこのあたりを
セリフのない遠方からの映像で
見事にぼやけさして
見る側に余白を持たせてるのです。
だから多分自分と同じ感想を
持っている人がいたり
全く違う解釈の人がいたりと
結構困った映画なのかな?
と思うのでした。
急展開に置いてけぼりにされそうに
上記の余白が全くもって
悪く機能しているのがあって
映画が全然その状況を描いてなくて
レディオ・ヘッドのメンバー
ジョニ・グリーンウッドの
陰鬱ながら奥深い音楽に
耳を傾けて
キャラクターの情景を見ていると
急にキャラクターが
謎台詞をぶっ込んでくる。
俺結婚したわ。
とか
息子が医学部で夏休みで帰ってくる
とか
もうね前半20分ぐらいは
40分ぐらいかけそうなところを
ぶった斬り。
しかも季節感とか
経過時間が全くわからなくて。
そもそもピーターが
いつの間に大学に入ってたのかも
よくわかんない。
ちょっと前までは冬だったし
気がついたら
ローズさんいじめられてたり。
描かれてない長い年月が
結構あって
かなり混乱するなぁと思った。
結局LGBT映画かよ
最序盤からフラグこそ
立ってたんですが
まぁそうでしたね。
でもバッチさん
『イミテーション・ゲーム』でも全く同じキャラだったやん
体臭をつけるために
泥沼で水浴びとか
キモいことあったり
去勢シーンを見せたり
動物虐待したりと
男根主義のメタファーと
それを搾取しようとする側だけど
元々それを持たなかったもの
として描かれるフィルさん
その秘密が
実はより狂った存在の
ピーターにバレてしまて
フィルさんの人生が狂うのだが
逆にフィルさんは
ピーターが自分と同じ側の人間と
思い込み妙に心を許してしまう。
そんな彼の内情についての言及は一切なし
最初からピーターの印象を
よくしておけば。
何故かそっちだとこの地域で生きるの
辛いから矯正しようとした
フィルさんの謎態度。
※予想
結果的に恨みを買って
その辺りを利用されるわけだが。
ピーターはLGBTなのか?
これが映画だと判別不能。
再登場時に
あだ名で呼び合う
親しい友人がいると言うが
ちょっとゲイっぽさがある。
また難しいのが
ピーターは最初から
母ローズを愛する狂人として
父を殺した可能性も想像できるし
フィルに対して好意を抱いた
可能性もあるが
最終的には運良く
フィルの傷に炭疽菌を付着させ
殺害に成功する。
運が良かったから
たどり着いたが
どうにかこうにかして
殺害しようと考えていたのか?
だから彼の弱みである
心のクローゼットの扉を開いて
ゲイである雰囲気を
装ったのか?
そうなると
ピーターくんが相当
狂気孕んだマザコンで
サイコパスだったと言うわけだが。
その辺りもものすっごく
淡白に描いているから
憶測ベースなんだよなぁ。
フィルは救われたのか?
タイトルの
パワー・オブ・ザ・ドックは
旧約聖書からの引用らしい。
いまいち理解が及ばない。
犬を短慮な存在として
多様性を排除した
マッチョイズムを崇拝する
田舎独特の
マジョリティとして象徴し
その犠牲になったと思えるフィル。
彼は一生自身の歪んでしまった
アイデンティティと向き合い
ひとり悲しく生きていくしか
なかったと思うと
ピーターに殺されることは
ある種解放されたのかなぁと
思ったりもするが。
フィルがやったことは
最低だとも思うので
裁かれてしまうのは
仕方ないことなのかもしれない。
まぁ登場する男みんなくそ
だよなぁと思ったり。
あと賞レースがLGBT要素ある映画ポリコレ配慮してるせいか好き過ぎ
ポリコレはもう飽きた。
『ブローク・バック・マウンテン』
を越えるまで選ばんといてください。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 5/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 6/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 6/10
61点
個人的にはフィルが
牧場に戻ってきた理由とか
もう少し描かれてたら
もっとエモかったなぁと。
そういうとこ全て遠ざけた
ドライな群像劇として
仕立てたのが
個人的にはツボにはまれず。
実際弟のジョージもクソで
田舎のボンボン無能おっさんで
妻をトロフィーにしたかったけど
うまくいかなくて放置という
最高にくそを
相変わらず
ジェシー・プレモンスが好演。
地味に注目若手の
トーマシン・マッケンジーが出てるが
めちゃめちゃ端役のちょい役で
存在感薄めでやばい。
美し過ぎる彼女に興味さえ示さない
ピーターくんやっぱりそっちなのか?
音楽で誤魔化してた気もするし
逆に音楽良いけどうるさかったり。
バッチ先生また同じような役立ったり
脚本雑で話最早なかった気も。
他の映画なら2時間20分くらいにして
もっと重くしそうだけど
こっちは空っぽで
シーンが長めの映像主義みたいな。
これが作品賞なの
2021年の洋画不作過ぎだろ。
レンタル
通販
まぁ田舎ホラーってことにしよ
