製作
1980年イギリスアメリカ映画
え?意図して変な映画
作ったの?
監督
スタンリー・キューブリック
・2001年宇宙の旅
・時計じかけのオレンジ
・バリー・リンドン
・アイズ ワイド シャット
キャスト
ジャック・ニコルソン
・チャイナタウン
・カッコーの巣の上で
・恋愛小説家
・ディパーテッド
シェリー・デュヴァル
・ポパイ
・三人の女
・アニー・ホール
あらすじ
1980年アメリカ。
アメリカの中部のコロラド州にあるロッキー山の山上にあるオーバールックホテルは冬の期間雪が多いため閉鎖される。
教師から小説家に転職しようと考えるジャック(ジャック・ニコルソン)はそこの閉鎖されている時期に管理人になるため面接を受ける。
ジャックはそこで冬の間に小説を書き上げようと考えていた。
面接の際に面接官から以前の管理人だったものが、精神異常をきたして、家族を殺害してしまったことを告げる。
ジャックは気にせず、仕事を請けて、家族と一緒に冬の間移住することを決めた。
ジャックの息子のダニーは、イマジナリーフレンドのトニーとよくおしゃべりをする子供だった。
それはアルコール依存症だった父の暴力が原因とも考えられていたが、
ダニーは、オーバールックホテルで悲劇が起こることを予知するようになってしまい、そのせいで発狂してしまう。
そして冬が来た。
ジャックと妻のウエンディ(シェリー・デュヴァル)はホテルにて、支配人よりここの地の歴史を聞く。
1909年からあるこのホテルは先住民たちの墓場の上に建っていて、とても広い。
そんな中ダニーは、料理長のディックと出会う。
ジャックとウエンディはディックに食糧庫の案内をされるが、
その最中にジャックにダニーはテレパシーを使って話しかける。
気づいたダニーはディックにより、超能力があることを告げられる。
その力はシャイニングと呼ばれている。
ディックはダニーにこのホテルには何かがあることを告げて、フロリダに帰っていく。
そしてホテルは閉鎖された。
雪が降り積もる中、ジャックホテルの呪いにより徐々に精神を病んでいく。
楽しく過ごすウエンディとダニー。
だがダニーはホテル内で度々悪夢のビジョンを見る。
そして以前の管理人により殺された双子の幽霊を見るようにもなる。
ジャックはホテルの悪霊により家族を殺すように誘導されていく。
2019年12月7日UHD鑑賞 2019年96本目
お客様だよぉ
2019年スピルバーグとキューブリックのアシスタントだった人による
35mmフィルムをスキャンし4K版を作成しカンヌ国際映画祭での上映。
それと合わせてUltra HD Blu-ray を発売。
これまで日本ではコンチネンタル版という119分版のヨーロッパ公開版の国際版がソフト化の標準品として出回っていた。
一部特別版として北米公開版143分版が出回っているが、これがDVD版しかなかった。
今回は143分の北米公開版が35mmのフィルムをスキャンしたデータとしてUHDブルーレイ化という映画ファンとしては嬉しい展開。
2018年は『2001年宇宙の旅』がクリストファー・ノーランにより4Kリマスター化され、
2019年はスピルバーグにより『レディ・プレイヤー1』にて『シャイニング』を再現したステージを盛り込んだのが、何かの伏線だったのか、4Kリマスターを主導。
とてもありがたいUHDをアメリカからスチールブックを輸入し、続編となる『ドクター・スリープ』の公開に合わせて、
自宅にて再鑑賞。
ちなみに初劇場公開版の146分版もアメリカには存在し、エピローグとして支配人が黄色いボールをダニーに渡すという、
支配人も悪霊とグルだったという超能力対決への伏線みたいな難解な要素があるらしくて、のちにカットされた。
見ていて終始「こんな映画だったけ?」
鑑賞するのは自分がブログを初めた当初から2度目だから10年以上前。
UHD化と続編公開がなければ見直さなかったかなぁ?と思うが、
一応IMDbではTOP250に選出されている作品なので、3年以内には鑑賞していたかなとは思うが。
そんなわけで再鑑賞。
UHD化に伴い、フィルムをスキャンという超高画質確定のUHDなのですが、
冒頭の空撮から発色の良さと高解像度ぶりに驚愕。
そもそもこの空撮。
音楽とキューブリック印のタイトルバックまでの文字のセンス含めて、すごい。
とりあえず空撮の湖畔、
そしてロッキー山までの道のりのショットとだいぶ車に寄ったショットの迫力がめちゃめちゃすごい。
そういえば『遊星からの物体X』も冒頭の空撮がすごかったなぁ。
そこから一気に狭い部屋でおでこが結構キテいるジャック・ニコルソンが出てくるが、
この表情がやばい。
いやいつも表情のやばいジャック・ニコルソンですが、
本作の表情の死んだ目や疲労困憊の表情は凄まじい。
それもそのはず、本作は全体的に1シーンに対してのテイク数が凄まじく、120回に及んだテイクもあって、
それがギネスになったようで。
また本当かどうかわからないが、キューブリックは結局演技の良し悪しがわからなくて、何度も何度もやらせて、
俳優の演技の疲れた状況などを収めて、編集に選ばせているらしい。
そもそものビジョンは確かにキューブリックが持っているが、
どれが最高かはある意味、客観が必要でもあるから、
自分の映画を客観視できる編集に選ばせるのも間違いではないと思うが、
そこに対して俳優の余地もあるが、その疲労困憊の表情はある意味この映画の本質的な空虚な人間が、
呪いの果てに殺人に及ぶという大いなる意志に支配されている登場人物としてはとても的を得た表情をしている。
それがもしかしたらキューブリックの目指す、サイコロジースリラーの頂点だったのかもしれない。
現代でいえば、
この完璧主義すぎる姿勢はデビッド・フィンチャーなどの踏襲されているのかもしれない。
また本作は繰り返し見たり、解説をつけたり、読んだりすることで面白くなる。
むしろあまりにも説明がなく唐突で不可解な演出の数々、
そして度肝を抜く映像構図と映像演出が凄くて、
話がよくわからない。
自分もいまいちわかっておらず、
終始こんな映画だったっけ?
となってしまった。
原作レイプもの
原作者のスティーブン・キングは本作を超能力ものとして、
超能力を持った少年が、インディアンの呪いにて超能力を持ったホテルにより、
善良だった父が心を蝕まれて凶行に走るが、超能力によって父を止めようとする物語を描いたようだが、
キューブリックにより、かなり違った映画に改変させられてしまった。
※逆に続編の『ドクター・スリープ』は超能力バトルものになっているし、本作さえもそっち系に感じさせる作風になっている。
またスティーブン・キング自身、そのことが気に入らず、1997年にテレビドラマ版3話を作成してしまったようだ。
輪廻転生と呪いのホテル映画へ
映画は超能力がある少年の物語という側面をかなり削減している。
実はダニーのトニーはシャイニングだったわけだが、
そのトニーをストレスによる幼児退行のように変更し、
映画ではそのダニーが時折、悪い未来を予知したり、悪夢を見てしまうような映画の不穏な未来のメタファーとして、
具体的に何だったかはぼかして描いている。
またジャックが心を蝕まれるのは呪いではなく、
閉ざされたホテルによる閉所に伴う精神疾患と書けない作家としてのストレスという過度な精神負担による異常であるとも思えるが、
その原因が後半になって、ホテルの悪霊であるというのが徐々に徐々に描かれ、
ジャック・ニコルソンの狂った演技により、明確に精神疾患以上の超常現象により幽霊に取り憑かれたことによる凶行だというのが、
明確化していく。
超能力云々関係なく、ジャックを迷路での凍死で映画は完結し、シャイニングという超能力要素はほんのちょっと出てくるだけ、
結局のところ書けない作家が悪霊により暴走しただけのサイコロジカルスリラーというわけだが、
もっと掘り下げていくと、
悪魔の象徴であるバーテンダーが、ジャックを違う人物としてお酒を振る舞う。
彼が凶行に走るのは、泥酔していることも原因で、その伏線として最序盤にダニーが酔ったジャックにより頭を殴られていた過去が描かれる。
その裏側としてもしかしたらジャック・ニコルソンは悪霊に洗脳されるのを立ち向かっている演技をあの疲労困憊の結果、抜け殻になったような表情の時に描いているかもしれない。
ちょっと逸れたが、その違う人物こそ、1909年頃にホテルにいたジャック。
映画の最後でジャックがオーバールックホテルのパーティーの写真で真ん中に写っている。
初めて見たときは、悪霊たちに魂を奪われて永遠に終わらないパーティーの住人になってしまった!と思ったが、
この作品、インディアンの呪いがパーティー客にかけられて、輪廻転生してホテルに帰ってくるという考察もありまして、
あのパーティー写真そのものは実際にあったもので、
ジャックが輪廻転生してまたホテルに戻ってきて、凶行に走るという輪廻転生系の映画というわけです。
以前の管理人が…というのも彼の前世もまたこのホテルのパーティーの参加者で、
パーティーに参加した前世の人が生まれ変わってもここにきてしまうという、
スティーブン・キングの原作にはなかった解釈をキューブリックが行い、
全く違った作品にしてしまったというわけ。
論点が全く違うので、キングも流石に激おこだったようです。
ちなみにジャックはホテルに踏み込んで閉鎖された直後から精神をホテルの悪霊に支配されていたんだよな。
小説書いてるように見えてずっとおかしなことタイプしていた。
※音声解説で見たり、ネットでぐぐったりして調べました。
映像すご
1980年の映画ですが、
映像の構図へのこだわりは凄まじすぎる。
冒頭の空撮もすごい(監督はヘリに載ってなかったようです。)が、
ホテルの紹介のシーンの車椅子を発明して撮影したドリーショットが凄まじい。
UHDで見るとHDRの効果も相まって、凄まじい発色で堪能できます。
またオーバールックホテルの内部にてだだっぴろいとこに真ん中にジャックを置く構図の線対称の素晴らしさ。
広角撮影の見事さ。
ダニーのホテルを巡るシーンの視点の高さや長回しの見事さ。
対照的にホテルに向かうディックの車内から見た外の吹雪の表現のクライムサスペンス的な映像描写。
そして何よりも迷路の模型とダニーとウエンディを合成させて徐々にアップしていくシーンのアイデアは最高。
終盤の迷路も見事だし、
塩を使った雪の表現もすごくて、
序盤に素朴で安っぽい素っ頓狂なジャックの表情やダニーの表情、
受動っぷりがやばいウエンディのキャラクターエスタブリッシュが終わってのオーバールックホテルでの映像の数々が凄まじい。
ただ映像的に優れている分、それを見せようとして、話を描かなすぎているところがあるし、
話が単調なのだけど、映像のせいで難解になってしまっている印象もあり、
そのせいで上映時間が2時間を超える大長編になってしまっている。
あらすじはとても短いのに描写が壮大過ぎる。
キューブリック監督のイメージそのまま映像化されていてすごいんだが、
問題もあるのかな?
双子のことも2回目見たときなんだかわからなくて、幽霊?程度しか思ってなかったけど、
以前の管理人に殺された子供が双子だったんだね。
その幽霊がダニーに警告を出している描写だったのね。
てっきりホテルの悪霊としての仮初の姿が双子だと思っていた。笑
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 10/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 9/10
・上映時間と個人的趣味 8/10
84点
仮面ライダーゼロワンのシャイニングアサルトホッパーはめっちゃかっこいい。
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スチールブックについては、DVDFantasiumを利用して購入しました。
以下そのページ
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