「『サイドウェイ』に向かう男はアメリカを救うのかもしれない。」
製作
アレクサンダー・ペイン
(『ファミリー・ツリー』)
ジム・テイラー
(『サイドウェイ』)
出演
エド・ヘルムス
(『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 』)
ジョン・C・ライリー
(『ウォーク・ハード ロックへの階段』『おとなのけんか』『ブギーナイツ』『僕の大切な人と、そのクソガキ』『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』)
予告編
あらすじ
現代のアメリカの中西部で北よりのウィスコンシン州の架空の田舎町ブラウン・バレーで物語は始まる。
純真で夢見がちな保険仲立人というか保険のセールスマンのティム(エド・ヘルムス)は平穏な日々を送りたかった。
ティムには恋人がいて、それは小学校の先生だった現在は初老のメイシー(シガニー・ウィーバー)だ。ティムはついに彼女に結婚を申し込むのだが、受け流されてしまうのだった…。
会社では、今年も保険会社最高の栄誉トゥー・ダイヤモンド賞を受賞すべく、一番のやり手のロジャーがアイオワのシダーラピッズで勝つべくパーティーが行われている。ティムもロジャーに頑張ってもらいたい気分だ。
しかしティムは翌日衝撃的な事態に陥る。それはロジャーが変態オナニーをしてうっかり死んでしまい、ティムが代わりにアイオワのシダーラピッズに参加して賞を受賞すべくプレゼンテーションをしなくてはならない。不安なティム。彼は初めてこの町から旅立つ。社長は娘の結婚式で同席が不可能だ。
会場のホテルにつくと見慣れない状況に終始困惑。初めて見る黒人のルームメイトに震えるティム。社長が気をつけろと言ったディーン(ジョン・C・ライリー)にそそのかされないように用心。だが皆が気さくに接してくるのでティムも徐々に柔らかい表情を露にするのだが、ティムは味わったことのない大人の思惑がここでは終始巡っていたのだった。
2012年9月9日鑑賞
感想
全米では評価が高く、公開館数が少ないながらもTOP10には入らなかったが公開館数15館から拡大公開されて最高順位16位まで登り詰めた作品。
また日本では映画評論家町山智浩さんが2011年の作品群の中で年間ベスト8位に選択された為、コメディ映画好きとしてはとても気になる作品になったが、この度見事にDVDスルーされてDVD化されて、速攻レンタルしてきました。
パッケージからは、『ハングオーバー』のような奇想天外の暴走コメディものを彷彿させるのだが、蓋を開けると映画的には、かなり落ち着いた空気感が描かれた作品になっていて驚いた。
製作総指揮は、主演のエド・ヘルムス。
彼は『ハングオーバー』で歯医者役で自分の歯を抜いたり、顔にタトゥーを入れたりと真面目なのに酔った勢いで暴走してしまう体の中に強大な獣を隠した役柄が個人的にはお気に入り。
そのエド・ヘルムスが製作として選んだのは、まさかの『ファミリー・ツリー』でゴールデン・グローブ賞を受賞したアレクサンダー・ペイン。と同監督とタッグを組んで映画を製作した『サイドウェイ』で脚本を担当した人だ。
その製作背景を知ったのは映画が始まってまもなく、この映画がコメディ映画のジャンルにしては、生真面目過ぎるに主人公に落ち着いた映像の質感。もっと大衆向けのバリバリとして映像やら音楽は一切排除し丁寧に映画として成立させようとしている。
キャラクターのコミカルさで笑いを持って行くよりは、生真面目に脚本があるような。
配給のフォックスサーチライトらしい作風が強いので、てっきりジャド・アパトー関係かと思ったら、まさかの『サイドウェイ』路線の大人の哀愁漂う作品になっている。
舞台は田舎町。主人公は真面目に保険こそ正義だと実直に考え、全ての人を救える、まさしく自身を神様の使いの天使と錯覚しているような男で、町の外には一切出たことがなく、恋人もまさかの小学生の時の恩師なのだ。
しかも歳の差20はくだらないのに、彼女に結婚を申し込むという愚直さ。
そんな男が、都会に出るというなんだか聞いたことがあるような展開。
しかしその都会で待っていることも露骨なコメディとしてではなく、あくまでも大人目線でこういう染みったれた大人いるが集い。そこで主人公は、本当の世界の常識を垣間見て、本当の大人の仲間入りをするという一概にコメディ一辺倒というよりは、ちょっと捻りの利いた変な奴が主人公のちょっとしたドラマなのだ。
あまりにもしっとりした映像感と物語の辛辣性のおかげで爆笑もできないし、話しとしてもなかなか予想こそは出来るものの、しっぽりとしていて、面白い。
一番の注目ポイントは配役か?
主人公を演じたエド・ヘルムスの純粋無垢な世間知らずの主人公のキャラクターも良いが、その愛人がまさかのシガニー・ウィーバーというのは、なんとも禁じ手。
挙げ句中盤で大人な対応をしちゃうシガニーのマルチな役所もすごい。
そしてベテラン喜劇役者とも言えるジョン・C・ライリーの役どころも手堅い。
一見、ペテン師のようにも見えるが影も潜み、それでも他の凡作のコメディ映画から出てきたような軽快なトークは彼だからこそ見せられる演技だろうか。ポジション的には現代のコメディとしてはセス・ローゲンが得意としているような役柄だよな。
実際映画としては、アメリカの保険問題に切り込んだとも言える題材なのだが、日本との文化の違いによりその深刻性は希薄になっている。
物語の落ちとしては、アメリカに住む人ならば、拍手を送りたくなるような美談なのかもしれないし、勇気を貰えるのかもしれない。
なんせアメリカの悪に立ち向かおう立ち上がり主人公たちは、自らの愛を守り仲間を得たわけだから、新たなアメリカンドリームはこの彼方にあるのかもしれない。
得点
8点
なんか感想としてうまくまとめられたかもしれないな。(笑)
上質な大人のコメディ映画としてオススメしよう。
アレクサンダー・ペインがらみが好きなら是非とも勧めたい一本だ。
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邦題もジャケットも全然的を得てないから怖い。それのせいで映画の評価が落ちるのだけは避けてほしい。
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