「染み垂れた人間達に既存の映画製作に囚われないメタルな野郎がぶち込む、ほっこり映画。」
2010年アメリカ製作
出演
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
(インセプション、(500)日のサマー)
ナタリー・ポートマン
(ブラック・スワン)
あらすじ
現代のアメリカ、ロサンゼルス郊外での物語。
13歳の少年がレッカー車を自転車で追いかけていた。彼の片腕はギブスで覆われていた。
彼の名はTJ、レッカー車が止まり、レッカーされた壊れた車にTJは乗り込んだ。
TJは、その壊れた車を中古車店から返してもらうつもりでいたが、金も無い彼には到底無理な話だった。
苛立ったTJは建設工事現場に行き、怒りを発散する様に、工事中の家の窓に向かって石を投げ込んだ。
割れる窓。
だがそこから、上半身裸の男が現れ、TJの首を鷲掴みし、部屋に入れたのだった。
絶体絶命のTJだが、物音を聞きつけた警察がそこにやってきた。その男はダイナマイトを鞄から取り出し、警察に放り投げたのだった。
その間にTJは逃げ延びたのだった。
そして翌日、学校に行くとTJをいじめっ子が待っていた。悲惨ないじめにあうTJだった。
そしてあの男はそれを見ていた。授業中には、その男がTJにマジックを放り投げた。
帰宅時間になるとなんとその男は、いじめっ子の車に落書きをしていて、追われることになる。
逃げ切れず捕まるTJを付近のスーパーで働くニコール(ナタリー・ポートマン)が身を呈して助けてくれたのだった。
ニコールに送られ家に帰るTJ、だが家にはひたすらTVの前で寝ている父親とおばあちゃんしかいなかった。
だがそこにあの男がやってきて、勝手に洗濯機を使い始めるのだった。
彼の名前はヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)、彼は家族にTJの友人と名乗り、この家にしばらく居座るのだった。だが家族はそんなことも気にしていなかった。
2011年6月30日鑑賞
感想
ジョセフ・ゴードン=レヴィトの新作がさりげなく公開されていると聞き、テレビ東京で放送中のシネ通で紹介されているのを見て、メタルな主人公の暴走に期待して鑑賞してきました。
シアターN渋谷は初めて行ったけど、すげぇー小さい映画館だった!!(笑)
次は「モンスターズ地球外生命体」を見るために行くことになりそう。あと「スーパー!」も。(笑)
本作は監督のデビュー作で、製作も脚本も彼が行っていて、また共同製作にナタリー・ポートマンも参加。
そして物語の主人公は少年だが、それに対しての重要キャラ、ヘッシャーを演じるのは、「(500)日のサマー」で映画ファンに鮮烈な印象を残し、「インセプション」で無重力アクションをスマートにこなしたジョセフ・ゴードン=レヴィット!!
しかも彼の演じる役所である、ヘッシャーのキャラクターが逸脱で、一応邦題の「メタルヘッド」同様、メタルのファンという意味合いだけど、通常の映画の脚本とは規格外な独創的なキャラクター!!
自分の快楽のまま行動し、破壊衝動を全快で暴走する、ロックを超越したメタルなキャラクターを見事に体現していた!!
んでその彼が人生どん底なキャラクター達の人生を更にめちゃめちゃにするという物語。(笑)
てか登場人物たちのどん底ぶりもなかなかで、主人公のTJが受けているいじめのレベルも悪質で、「エリ200歳の少女」の主人公とは違うアメリカンな壮絶ないじめだ。
そんなどん底な人間達の、人間ドラマという普通の映画を随分と異色に描いた本作。
根本にあるのは普通の人間ドラマで、ある家族の中に変なキャラクターがやってきて、皆を変えて行くというありがちなドラマですが、その変なキャラクターが映画二本分ぐらいの変な奴で、長髪に基本的に上半身裸、しかも落書きのようなタトゥだとか、言動も好き放題で、一人だけ笑い続けたり、子供を容赦なくはねたり、とりあえず火をつけたりとね。もう規格外。
それを上手いこと落ちぶれた人間達とぶつけることによって、普通の人間ドラマにしているところが、逆に凄いというかね。
まぁー展開的にはどうもありがちでして、やっぱり段々とヘッシャーが皆と打ち解けたりするんだけど、ある事が起きてより一層メタルな暴走をしてTJも暴走するんだけど。
ナタリー・ポートマンについては、本作ではブラック・スワンとは違い、脇役での出演で、絶妙にださく、それでいて染み垂れた役をしているのだけど、これが「終わりで始まりの4日間」の彼女を見ていて思い出した。あの役はヒロインだけど、人とのコミュニケーションが苦手で、いつも嘘を付いてしまうというちょっと変な女の子を好演しているんだけど、ラストシーンのキスシーンがすっごい良くてね。
そういった等身大感があった役だった。
痛々しいファイティングポーズを登場時に見せてくれる、必見。(笑)
ありがちなんだけどラストのヘッシャーの贈り物が、映像的にインパクトがあってね。
素晴らしい。
あれは個人的に、最高だと思う。おれでも嬉しいわ。(笑)
概念的な映画の話をすれば、TJは母の存在として壊れた車を求めていたのだけど、それが奪われてしまうんだけど、ラストのあの物体は見事だと思います。
まぁーその前の「おさんぽ」も彼ららしい「あり方」だと思います。
その彼ららしい物語で、彼ららしい「あり方」が実に見事だったと思います。
でも結構スリラー要素もあって、まぁーそれがメタルに内包している要素だとは思いますが、笑えるし終盤はちゃんと王道の感動もあったりと、異色な映画が見たいなら是非ともオススメしたい映画です。
また往年のメタルバンド、メタリカのファンだとより一層楽しめる要素が山ほどあるみたいです。
自分は知りませんでしたが…。(笑)
またエンドロールが「スーパーバッド/童貞ウォーズ」のような一風変わったもので、またメタリカが流れるというものすっごい感じ。(笑)
ちなみに監督はまだ34歳というかなりの若手、しかも長編デビュー作でオリジナルの脚本で、制御不能のキャラクターを良く作り出したと思います。次回作は不明ですが、かなりの注目監督になりそうですね。
アメリカの興行は正直わかりませんが、ヒットチャートに入ってなかったはず。IMdでは割と好評でしたが。
得点
8点
DVDでたまたま借りた映画が結構面白かった感動を映画館で味わったようなそんな感じです。
妙に苦い感じとか結構好きです。
見てよかった。
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