2013年96本目 8月7日劇場鑑賞
気がつけば、宮崎駿の最後の劇場映画になってしまった本作。
その内容は駿御大将が、敬愛する堀越次郎と堀辰雄を足した物語。
一応の原作は堀辰雄の亡き妻へのレクイエムとも捉えられそうな『風立ちぬ』という恋愛小説。
関東大震災や病弱な妻を結核で亡くすなどはここから来ている。
逆に零戦技師の堀越次郎は、『紅の豚』でも引用したのだが、本作でもそれを引用されている。
相対的に見て、二人のキャラクターを一つにしたことにより調和の取れなさはあるものの、映画全体に駿御大将の思いやら気持ちなどの作家性が出ており、近年の『崖の上のポニョ』以降のジブリ映画の平坦さと比べれば、魂の通った歯ごたえのある映画に仕上がっている。
ただ監督の尊敬の念が強過ぎて、オナニー映画であることは変わりなく、エンタメ性は少ない。
一般人が感じられる面白さは乏しいようで、その中の例としては「仕事頑張ろう」と思えるようになるようだ。
自分としては、駿大将にしかできない、ものがこの映画にはいっぱいあって、冒頭のちょっとEVAっぽい爆弾の擬人化とか、印象的で好きだった。
やや長くて疲れたが、近年では一番好きな感じだった。
また効果音がほとんど人間の声というなんだかわからない挑戦をしているのも特徴的。
映画全体の話がどっちらかっていて、あれだが、飛行機の描写のこだわり方とかは、面白いし、零戦が妙に人間のようで面白いし、駿が本物のクリエイターで、昨今のアニメ業界のどこか商業主義前提で魂が無い感じが浮き彫りになる。超マニアックな一本だった。
エンディングのユーミンの歌がはまりすぎてやばい。
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