「有るべき所に人は帰って行くのかもしれない。」
2009年アメリカ制作
出演
ニコラス・ケイジ
(キック・アス)
予告
STORY
2005年のアメリカ南部のニューオリンズ。水没した警察署内で取り残された犯罪者を助けたテレンス(ニコラス・ケイジ)は、その所為で腰を痛めてしまう。そのおかげで昇進した彼だが、彼の生活は段々と荒れ始めてしまう。
ある日、彼の管轄で殺人事件が起き、セネガルギャングが一枚噛んでいるのだった。
被害者の姿に心打たれた彼は、矛盾しながらも事件の捜査に奮闘するのだが、腰の痛みと自身の退廃さに彼の人生は転落を始める。
2010年9月28日鑑賞
感想
一応リメイクらしいけど、もとの作品とかなり違うと思うな。
もとの作品にはドラッグの他に宗教的な要素が組み込まれてるけど、本作には、宗教的要素は無い。
とりあえず見たこと無いからそれ以上は言えないのですがね。
本作は原題とおり、悪い警官のお話。
薬物酒に溺れギャンブルで借金そして恋人は、娼婦。
挙げ句暴力的で、若者を脅して、強引に薬物キメテセックスしたりと、とことん酷い野郎だ。
そんな最低な野郎を熱演するのは、ハゲことニコラス・ケイジ。私生活で本当に薬でもキメているようなトチ狂った演技を見事に見せてくれる。
むしろ、演技なのか素でこういう人だったりするんじゃないのかな?とさえ思う程、異様というより普通なニコラス・ケイジだったと自分は思う。
でもむしろこんなニコラス・ケイジが演じたからこそ、この映画面白くなったんじゃないだろうか?
ヒロインは、ゴーストライダーで共演したエヴァ・メンデス。
これは多分ニコジの趣味だと思いますが、その娼婦でありながら愛人という絶妙な歪んだキャラに妙に説得力がある。(笑)それでいて二人に愛があったりとそのちぐはぐした状況がまたなんともフィルムノワール的であるというか、その狂った様な状態をひたすら維持したようなキャラクターの設定具合やニコジの暴走具合。
そこからどう物語を終わらせるかが問題ですが、正直驚きでした。
とことん落ちた主人公は、愛に殉じるというか、自分の中のイノセンスというか。
人間誰しもいるべき場所とかがあると思うんです。
どんなに腐って堕落しようと磁石のように引き寄せられてしまうのだと思います。
そこからは驚きの展開。
そして警官の仲間は言うわけです。
「あいつは腐っても最高の警官だ。」
あららら。仲間はお見通しというわけですな。
そういうわけで、ニコジはまたも栄光を手にするのですが、こっからはエピローグ的な展開。
自身の堕落の理由である、最初の行いとの対話。
そこでニコジが何を思ったかはさだかでは無いけど。
まぁ自分的には、その背景が水族館だったりした所が、妙に難しいなぁ。と思うな。
でもやっぱりある種の贖罪というか和解というか。
まぁーそれでも自身の堕落具合は変わらず、若者を脅して一発やっちゃう辺り、ロックな映画だなと思ったり。
堅苦しい感じではあるけど、気違いと元来の生真面目さの調和がなんとも真新しく、わかり易くて面白かったな。
結局この映画は「悪い」「警官」ではあるものの。警官であることは変わらず、悪くなった警官でも、要するに警官であって、魂までは腐ることのない男は男でしかないという映画を描いた所が哲学的に面白いです。
得点
8点
ニコジのキメっぷりが素っぽいけど怪演が面白い映画です。それなりにオススメ。
バッド・ルーテナント [DVD]3000円
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