「ちぐはぐさを交えながら独自の解釈を披露します。」
2010年アメリカ制作
監督
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
(善き人のためのソナタ)
出演
アンジェリーナ・ジョリー
(ソルト、ウォンテッド、チェンジリング)
ジョニー・デップ
(パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉、PLATOON、スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師、シザーハンズ)
予告編
とりあえず見てみようitunesレンタル500円。
あらすじ
イギリスの警察はエリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)を数年に渡り監視している。エリーズは多額の脱税をした悪党のピアーズの恋人なのだ。今日も不審な所がないか監視する警察たち。
そしていつもと違う動きがあった。手紙を受け取ったのだ。
その手紙を調べた警察は、ピアースの指示を知る。
エリーズは指示通りにベニス行きの列車に乗りそこで、ピアースと背の高さが近い男を探した。
エリーズはフランク(ジョニー・デップ)を見つけた。
仲良く会話をする二人、警察はフランクをピアースだと断定する。
しかしフランクは妻を無くしたアメリカの数学教師で、ベニスに傷心旅行に来たのだった。
それを知った警察はとりあえず、捜査を打ち切りし監視のみに変更。
エリーズは指示通り彼を利用し、豪華なホテルを彼に手配するのだった。
同じ頃、ロシアンマフィアがベニスに向かっていた。ピアースは彼らのお金を盗んだ為、雲隠れしたのだ。その決着をつけるべく、マフィアもまたフランクを狙うのだった。
2011年10月26日鑑賞
感想
豪華スター共演の古典的コメディ映画の誕生に筆者はとても嬉しかった。
え?サスペンス映画?いやいやこれは違いますよ誰がどう見てもコメディ映画ですよ。しかも『ホーム・アロン』ばりの子供向けで滑稽な素晴らしく楽しいコメディ映画ですよ。
え?監督はサスペンスとして演出した?もしや第2のエド・ウッドとでも言いたいのですか!!?
本作は、元々は2005年に制作されたフランス映画『アントニー・ジマー』のハリウッドリメイク版でして、そもそも何故リメイクしたのか謎多い映画です。imdbでは『アントニー・ジマー』事態、あまり面白くない映画という評価に比重しているのです。(笑)しかも映画化されたのが5年前ですし、そもそもヒットしたのかさえちょっと謎過ぎる。
監督には、『善き人のソナタ』を監督して世界的に好評を得てアカデミー賞の外国語賞を受賞したドイツ出身の方でして、これがハリウッドデビュー作になるわけです。年齢的にも30代でかなり若い方ですよね。
また『善き人のソナタ』を筆者は見てないわけで、そこについては論じられませんが、この映画見たらその好評も疑いたくなるよ。
そもそも傾向的にはかなり差のある映画二つだと思うわけですが、何故彼を監督にしたのかも謎だらけです。
知ってると思いますが、本作はサスペンスとして制作されたのにゴールデン・グローブ賞のコメディ部門にノミネートした謎多き映画です。
コミカルさが本作に意図的に存在していたかといえば、勿論NO。ダメ過ぎた先に生まれるという、神的なコメディ要素の内包する映画としては正確だと思います。
結果的にこの珍事からゴールデン・グローブ賞さえ正当性が無い。ということになってしまい、他に注目すべき映画がこの時期に公開されていた為、賞自体の価値が崩壊してしまったとも読み取れます。
しかしこれ以前からそういった広告としての賞レースの利用はあったようですが、『ツーリスト』程似つかわしくない映画もまれでしょう。
ダメ過ぎて愛したくなる。
正直言えば、本作は結構筆者は楽しめました。
厳密に言えば2回真剣に見た結果楽しめたわけでして、一回目は謎が多過ぎて、驚いたわけです。
いかにして本作が面白いか、出来るだけ簡潔に書いていこうと思います。
警察の無能さが凄い!!
そう聞いて韓国映画『チェイサー』を思い出した方は、かなりの映画好きだと思いますが、こっちはコメディ的に警察が無能なんです。もうそれがマジで面白くて。
特に冒頭が顕著でして、尾行してるのに楽しそうに写真取ったり、待ち伏せしてるのに全員出てきてしまったりと、こんなに優れたコメディ映画あるのか?という程。
こんな状況は白黒映画のチャップリン以来体感したことがない演出ですよ。
これで真面目にサスペンス撮ってるわけだから鬼才だ。
(この時点で音楽も陽気)
また真面目な捜査自体もかなり緩くて、書類出てきたからあいつ本人!!
もっと事実調査するだろ普通、こいつらだからピアース何年も逃げられてるんじゃね?
とツッコミ所満載です。
意外と入り組んだ勢力図
巻き来れた主人公というのがジョニデ演じるフランク。
巻き込んだヒロインがアンジ演じるエリーズ。
そしてそれを追う、警察。
更にフランクを勘違いして追いかけるロシアンマフィア。
というなかなか入り組んだ構図。
しかしそんなことはさておき、ふらふらするフランクや誘惑するエリーズなど、安っぽいアクションも盛り込んだりと、結局は最後『エネミー・オブ・アメリカ』的にはなりますが…。
恋に落ちるフランクとエリーズ
ピアースの陰謀によりエリーズにキスされたフランクは、彼女を愛してしまう。
さてさて傷心旅行中のフランクだったのですが、もう恋に落ちてしまったわけですが…。
悪役の設定が古過ぎる。
ロシアンマフィアのお茶目っぷりには脱帽。
ミスった部下をださいスーツ着て絞殺するというコメディぶり。
「わしは怒ったぞ。」という悪役は、良い。
終盤の警察が扱う船のギミックが昭和。
船の中の計器がピコピコ光ってるよ!!すげーーー。
こんなのウルトラマン以来久しぶりに見たよー。こんな船あるんだね。
ってか終盤なのに通訳がすっとぼけるのおかしくね?
驚愕のラストに皆困惑。
思った通り、フランクはピアースだった。と解釈出来ている人がとても多いのですが、この映画を真面目に見るとそれ自体が非常に難解だということをご存知だったでしょうか?
脚本家が『ユージュアル・サスペクツ』と一緒だったらしいですが、まさか同様のラストが来るとは思わなかったでしょう。
とりあえず言えるのは、フランクがピアースだとこの映画色々とおかしなことが起きるのです。
ここからはちぐはぐさを交えながら独自の解釈を披露します。
フランクはエリーズと恋に落ちたような描写があったけどおかしくない?
本作の中核をなすのが、豪華スター共演=美男美女の恋愛。という構図なのですが。
映画内では「フランクはエリーズと恋に落ちてしまう」という描写があるわけですが、それってなんか変じゃない?ということ。その恋に落ちる描写はあくまでも妻を失ったフランクがエリーズのことを考えてしまう。という描写により描かれるのだが、そもそもフランクがピアースならそれ事態が非常に狂っている。ピアーとエリーズは最初から両思いであるからだ…。
逃げ惑うフランクのコミカルさ。
もしピアースがフランクなら映画内であんなにも戸惑ったように逃げ惑うものなのだろうか?
逃げ惑うフランクを演じるジョニー・デップはあたかも『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパローのようだ。
ここでは、ジョニー・デップのカメレオン俳優ぶりが前面に出てしまっていて、非常にコミカルで滑稽に思えるのだが、ここでも色々矛盾していると思う。
この映画のおかしな所は、ジョニー・デップのやり過ぎ感も原因でもある。
ジョニー・デップの演技はやり過ぎたものであって、それも伴ってピアースとフランクのイコール関係が成り立たなくなっており、ここではジョニー・デップの演技力への疑問が投げかけられると思う。
ジャック・スパロウ?
よく考えてみてほしい。ピアースという男は、もともとロシアンマフィアの忠実な部下だったらしいが、昔から無茶をして自分を試すのが大好きだったという描写があるのだ。
彼が何故ロシアンマフィアから横領したかというと、面白そうだったからだ。
んんん?
よく考えてみよう。
本作はもともとピアースであるフランクが画策した事件なのだが、指示を出して自らを探すように言ったのもピアースであり、エリーズを惑わしたのもピアースなわけで。
この映画自体がピアースの悪ふざけだったのだ。
ピアースとジャック・スパロウは非常に似ている。
何を考えてるかよく分からない狂乱者だからだ。スパロウは酒が飲めればそれで良い。
ピアースは楽しければそれで良いのだ…。
つまり本作は、警察とエリーズを手玉に取った悪ふざけというのが、本当の意味の映画の主題であると筆者は思う。
ピアースはエリーズと楽しくもう一度恋に落ちて、何も知らないエリーズは翻弄されてしまう。
「僕みたいな男、好きになったことある?」
はかなり本作の皮肉ぶりを要約した重要な台詞だったと思う。
そういう意味ではよくできてる。
しかしそこに予定外のロシアンマフィアがやってきてしまって、最終的にジャック・スパロウのように上手く惨事をくり抜け、楽しい日々を終える。
ちゃんと税金も払った為にお尋ねものから外されて(ここでも警察がかなり滑稽)
とピアースの計画通りに全てが運んだわけだ。
というのが筆者の解釈です。
そう考えると色々と面白い面倒くさい映画だったわけですね。
超絶な茶番映画で、クソですが。
2回見てようやく意味の分かる映画。
そもそも本作を二回も見る人なんているのだろうか?自分は本作があまりにも謎過ぎて映画好きとしてこれはまずいと思って腰を据えて2週目に突入したのだが、それはそれは楽しく見れたわけだが、全てはこの映画の不出来ぶりやオチを知った上で見て、笑えたりして楽しめたわけだが、本来なら意味不明過ぎてつまらなかったものなので2回も見るのだろうか?
むしろ見る前に筆者の感想を読んでネタバレして見るべきだと筆者は思う。
そうそうエリーズは実は警察の人間なんだよ。(笑)
得点
40点
エンディングのMUSEが筆者的には一番面白かったシーンです。
馬鹿映画としてかなりの傑作だと筆者は思うわけですが、普通の映画としては出来の悪い映画です。
恋愛?サスペンス?コメディ?どのジャンルの映画?と聞かれたら胸を張って「コメディ」と言えるクソ映画です。
総合的に見ても生ぬるい映画ですし、ベニスの景色もよくないし、アクション面も面白くない、ちぐはぐさと不出来さが面白い『トロル2』のような映画です。
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吹き替え版での流し見で良し。字幕だと何語使ってるのかよくわからない。
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