「ん?特に捻りも無く、普通の内容の映画でしたが…。」
2010年デンマーク、スウェーデン制作
監督
スサンネ・ビア
(悲しみが乾くまで、アフター・ウェディング、ある愛の風景)
予告編
あらすじ
現代。
アントンはスウェーデン国籍の医者だ。彼はアフリカ大陸にあるスーダンの難民キャンプとスウェーデンにある自宅を行き来しており、仕事のときはスーダンにいる。
スーダンで彼は、酷く悩んでいた。それは付近で起こる暴力により人を支配しているグループの一段が妊娠した女性を斬りつける行為をしており、それを止めることも出来ず、患者を救うことしかできないことだ。
アントンは結婚しているのだが、アントンが浮気をしたことがあるので妻とは別居状態にある。
そして息子が二人おり、兄の方は12歳のエリアスだ。
クリスチャンはロンドンからスウェーデンに引っ越してきたばかりで母親を癌で亡くし、悲しみに暮れていた。父親は仕事で忙しく全くかまってもらえず、クリスチャンは孤独だった。
彼はエリアスの学校に転入することになるのだが、登校初日にエリアスがいじめられていることを知る。エリアスで学校で関わることになったクリスチャンは彼がまたいじめに遭遇している状況に居合せ、いじめを止めようとするが、逆にいじめに巻き込まれてしまう。
翌日、またもエリアスがいじめられている状況に遭遇したクリスチャンは、いじめっ子を鈍器でボコボコにしナイフを取り出し、脅すのだった。この件に警察も関与するが、クリスチャンとエリアスは嘘を付き、ナイフの件をやり過ごし、見事にいじめられることは無くなった。
エリアスとクリスチャンは仲良くなり、休暇のアントンもまたクリスチャンと共に過ごすことになる。
ある時、アントンの息子の一人が露骨におっさんに絡まれ、アントンまでもが暴行されることになってしまう。アントンは殴られたにも関わらず手出しはしなかった。
クリスチャンはその光景を酷くおかしいと思い、復讐をすべきだとアントンに助言をするが…。
2012年3月21日鑑賞
感想
2011年に開催された第83回アカデミー賞また同年のゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞作品賞を受賞した作品。
監督は、デンマーク出身の女性監督で、『ある愛の風景』はハリウッドで『マイ・ブラザー』としてリメイクされた。
監督自身が語るようにスウェーデンという国は平和的なイメージが強く社会福祉が非常に整った国であり、この映画が生み出される以前はさほど大きな事件もなかった。
だがそのイメージを打ち破るべく、スウェーデンにもいじめやらなんやらはちゃんと存在し、暴力を斡旋する人もいる。
映画はそこで、憎しみの連鎖を止めるという行いに焦点を当て、主人公をスウェーデンとアフリカの治安が非常に悪い場所と行き来するという立場を与え、そこで武力と静かに戦い、本当の平和を手にするにはどうすればいいのか?を体現することにした。
いわゆる社会派という映画で、映画内ではいじめ、暴力、離婚、犯罪、治安などなど色々な問題を映画内に放り込み、それを上手く線で結んでいる。
まぁーかなり典型的な内容になっている。
イギリスから転校してきた少年は痛みを抱えており、非常に暴力的でありトラブルメーカーだったりと、その設定そのものが何だか異端じみていて、必然的過ぎるんだよね。それ関わってきたら終盤もそこが暴走するじゃないか。最初から映画が読めてきてしまうのだ。
個人的に楽しめた点とすれば、子供達の友情と無垢な暴走が健全に描かれているように感じ『リトル・ランボー』で感じたやるせなさが、ここでは満足に行く程描かれており、普通に楽しめた。
しかしメッセージ性は高いのはよくわかる、主人公が殴られても殴られても痛みを感じないごとく、ひるまない姿勢は、頑張っているのはよくわかる。
しかし映画として、別に面白くもない。
数々の設定から巻き起こる展開はだいたいあり、あくまでも映画の邦題が表すようにあかるい未来を示した内容でしかない。
そういった傾向を観客がどう受け取るかだ。
自分は、やはり普通の映画としか受け止めることができず、「この映画なら違う映画見た方が楽しい時間が過ごせそうだ。」と感じられた。
ここで描いていることが、もう既に誰かが言ったような言葉を言い換えているに過ぎないように感じられてしまったのだ。
むしろメッセージ性を強くしたいような作品であるならば、もっとエグくても良かった。
もっと辛辣なラストにして、見ている側に深い傷を与えてくれても良い。
子役の演技で安心感を頂けるような映画では、そこは物足りない。
そういえば終盤が『ミュンヘン』ぽかった。(笑)
あとエリアスくんの歯が大きくて本当にいじめられていそうだった。
外国語映画賞としては『灼熱の魂』の方が筆者はエグかったし、この前の年に選ばれた『瞳の奥の秘密』の方が衝撃を受けた。
至って普通の映画だったので、オススメはしない。
得点
6点
ワールドワイドな視野で言えば、この映画の主張はやはりパワフルだろう。
ましてやどちらかと言えば平和で豊かな国の日本では、そのパワーは低くなってしまう。
そしてこの映画が見れるだろうに人間はどっちにしろ余裕のある趣味の映画であることも忘れては行けない。
所詮は、金持ちの主張程度で実戦するのも遠い、そんな文化系映画でしかない。
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これにて2011年度は終了です。ここからまとめに入ります!!
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