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◎永遠の僕たち 2011年度86本目◎at東京国際映画祭2011

「死に取り憑かれた青春。」

$A Little his REDEMPTION.~season Ⅵ~-永遠の僕たち

アメリカ2011年アメリカ制作アメリカ
監督
ガス・ヴァンサント
(ミルク、エレファント、グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)
出演
ミア・ワシコウスカ
(アリス・イン・ワンダーランド、キッズ・オールライト)
加瀬亮
(硫黄島からの手紙、重力ピエロ)
予告編

ZEROあらすじZERO
ある所に一人の少年イーノックがいた。彼の日課は知らない誰かの葬式に行く事だった。
だがある日、イーノックは自分同様に頻繁に葬式にいる少女に顔を覚えられてしまう。
イーノックには友達がいたそれは第2次世界大戦中に神風特攻隊に所属し死亡した高橋ヒロシ(加瀬亮)だ。二人は日夜語り合い楽しく過ごしていた。
そしてまた誰かの葬式に行くイーノックだが、葬儀会社の人間にばれてしまうのだがそれを彼を知る少女が助けてくれた。
彼女の名前はアナベル(ミア・ワシコウスカ)、彼女もまた葬式に頻繁にいる人だった。
話をする内に打ち解け合い意気投合した二人は、自身の中の共通の死に対する考え方を共有することにより恋愛関係にまで行くのだった。
そしてまたアナベルも死に取り付かれた存在であったことを知るのだが、イーノックはそれに理解を示していた。ただヒロシだけが、不安に思うのだった…。
2011年10月24日鑑賞
ZERO感想ZERO
ガス・ヴァンサント監督の最新作が東京国際映画祭でいち早く見れるとあって、チケット買ってみてきましたよー。意外とチケットも高くなくて正規の値段で早く見れるのでお得だったと思う。
撮影から公開までは大幅な期間がかかったようですが、全米では大コケしていますね。
評価も月並み悪いですし。
それでも筆者はなかなか良かったと思いますよ。
まず『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』が日本で普及していないので、その映画に酷似していることは引き合いに出される事無く、むしろ本作に触れてそれを見る事でより映画の世界に飛び込めるという意味では良い映画だと思う。
正直言えば本作は『ハロルドとモード~』のまがい物であることは評価を下げる一番の要因だと思う。
その『ハロルドとモード』と何処かが似ているかと言えば、そりゃあー冒頭の自分の死を意識している展開。ハロルド自身は趣味は自分の死を演じることつまり「自殺ごっこ」だったのだが、それに対してのイーノックは遊び半分の自分が死んだらどんな気分だろう程度のもの。
しかしお互いの映画で冒頭が「死」に対しての議題のように始まる事は酷似しているだろう。
またそこから両方の主人公が「葬式好き」という点もやはり似ているし、そこで出会う「死」を背負ったヒロインとの出会いも全く一緒。
そしてそのヒロインとの出会いで人生観が変わり始めるという件も全く一緒なのだ。
だが両者には決定的な違いがある。
それはイーノックは実際に「死」の直面し囚われているのだ。
その結果幽霊が見えることになったイーノック。
純粋な斜め思考のハロルドとは背負っているものが違う。
またヒロインをモードのような老婆にしていないのも決定的な違いでもある。
そういった「永遠の僕たち」の設定により本作は綺麗過ぎるほどの純愛ものの典型になっている点はやはり酷評に繋がるものはあると思う。
また結果的に全てが『ハロルドとモード』への讃歌に変わってしまう現実。
本作はガス・ヴァンサントらしい優れた音楽を使ったり優れた映像を見せてくれたり甘く切ない青春群像撃を見せてくれたりするが、全てが『ハロルドとモード』以下だ。
あの映画の音楽はキャメロン・クロウが支持する程素晴らしい。
映像よりもアメリカンニューシネマらしいぶっ飛び感も絶大で、老婆とのピュアな恋愛も見所の一つだが行動一つ一つが奇想天外な恋愛だが、最後には涙が流れてくる素晴らしい映画だった。
それに酷似したことが本当に痛手だ。
今作では日本兵が出てくるわけだが、日本人ならなんか嬉しい感もあるだろう…しかし諸外国の方にこれを見た所で…なぞのクールジャパンになっているだけだと思われるが…。
ただ話もわりとえぐい。やや難病ものの要素もあるが、異常なまでの「死」への無頓着さ、人がいつかたどり着くであろうその場所を不安がるのではなく、いつか自分もそこに行くそう思いながら「死」を笑う主人公の姿には不安と希望が入り交じっている。
アウトロー路線の強い映画だとは思うが、そのアウトローの純情ボーイを演じたのは、亡きデニス・ホッパーの息子のようだ。
そんなアウトローも自身の信念よりもいつしか彼女を愛する気持ちが強くなり暴走するシーンは、ありきたりだが、良いものだ。
どんなに題材が微妙だろうと優れた監督の撮る映画は見るべきだ。
最近つまんない映画多いなぁーと思ったが本作を見て非常に興奮した。ガス・ヴァンサントはやっぱり良い監督だ。
また上映終了後に加瀬亮が登場。最終的に何故本作が監督らしくない個性の無い恋愛映画を叙情的に描くことにこだわったかと言うと、監督自身が同性愛者だからで、同性愛者には恋愛に対して願いというものが投影されているのではないか?と彼自身思ったらしい。
なるほど、そう考えると本作の異世界にトリップしながらも純情と青春に揺れる甘酸っぱさは嬉しい半分恥ずかしい映画のように思えたが、この感性は正直凡人では到達できないロマンスがあったと思う。
そこに監督の感性が組み込まれればあそこまで到達できるのか。
異色の恋愛映画として筆者はありだと思うのだが、なにぶん『ハロルドとモード』と設定が似過ぎてるのが痛い。
しかし『ハロルドとモード』が現代に蘇ったと錯覚すれば見る価値のある参考文献になり得ると思う。
メモ得点メモ
8
加瀬亮の背負った悲しみも分かる、恋愛が楽しいのも分かる、少年は「死」を乗り越えたとは思うのだが彼が独りであることは変わらない。
海外では気取り過ぎていて中身のないベニヤ板のような映画とも言っていたが、ガス・ヴァンサントの新作として見やすいと思うしミア・ワシコウスカやデニス・ホッパーの息子のイケメンぶりを見てみる価値は絶対ある。まぁーちょっと腹立たしい甘酸っぱさがあるのだけど。
映像は良いと思います!!

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