現在も中世も生きづらい女性の姿
★この記事をまとめるとこんな感じ★
製作
2021年アメリカ・イギリス映画
成人したら男性は皆くそ
監督
リドリー・スコット
・オデッセイ
・ブレードランナー
・グラディエーター
・テルマ&ルイーズ
キャスト
ネタバレ あらすじ
2021年10月24日劇場鑑賞
2021年60本目
エマ中尉分かってよ。男達は戦いばかりで、女を道具に使うことしか思いつかない…!
もしくは、女を辱めることしか、知らないのよ!
私は、次の時代を支配するのは女だと思っている。
と『機動戦士Zガンダム』のレコアと
シロッコの台詞をあげてみる。
リドリー・スコット監督の作品。
83歳なのにまだまだ現役の
リドリー・スコット監督。
しかも時代を意識し
そもそも男尊女卑は過去も現在も変わらないぞ
とめちゃめちゃ鋭い牙で
時代に警鐘を鳴らしてきて
流石過ぎる
てか映画業界高齢でも現役多くね?
アンソニー・ホプキンスも
80代で普通に上質な演技して
アカデミー賞受賞したし、
イーストウッドは91歳だぞ!
それなのにまた新作映画監督してる
映画業界にはゾンビor吸血鬼おる?
リドリー・スコットは
今後も
『ハウス・オブ・グッチ』なる
創業者グッチ家の経営権争いを映画化し
若手俳優のアダム・ドライバーと
歌手でありながら演技もパワフルな
レディ・ガガが出てくるという
またも女性に対して熱く鋭い
シナリオの映画監督してるし
マジで化け物だし
本作も2時間30分あるのにあっという間だったし、
普通に面白くてやばい。
丁寧で格式が高く映画見た感やば
2014年『エクソダス:神と王』以来の
中世を舞台にした時代劇映画。
しかし絶妙に予算を削減しながらも
2時間半以上の大作にしている。
しっかりと屋外ロケもあれば
おそらくCG合成で作った
フランスの街並みもありながら
広角で奥行きを感じさせ
世界の広さを感じさせる。
屋内での会話シーンでも
照明を巧みに利用し
蝋燭などの照明も見事で
マスターショットを心がけ
近年のタブレット端末向けの
定額配信向け映画とは違う
キャラクターの動き全体が
見渡せ
流石リドリー・スコット映画が上手い!
ととても感動しました。
低予算でも尺が長くて派手にする裏技
その手法は
まさかの『羅生門』手法。
登場人物の
粗暴なカルージュ
聡明でレイプ魔のル・グリ
時代に翻弄されるマルグリット
3者の視点で映画は繰り返される。
最初にカルージュ
次にル・グリ
最後にマルグリット。
基本ベースはカルージュ。
でもル・グリパートでも
同様のシーンがあるのだが
その時のカルージュが
ちょっと馬鹿でくそ。
カルージュ視点での物語が
美化されていて面白い。
またル・グリパートでは、
ピエールとの日常も描かれるが
レイプシーンは
どっちにしろくそでやばい。
そんなわけで最後には
マルグリットが描かれる。
マルグリット視点で
おっさん2人が
これまで美化した要素を
辛辣な視点で描く。
マルグリットなりに
処世術で社交辞令を駆使して
辛い社会を乗り切り
友人関係も楽しむのだが、
ル・グリによるレイプ展開は、
ル・グリ視点よりさらに醜悪。
そして物語の顛末まで
一気に描かれるが、
そこで明かされる
カルージュの身勝手な選択。
子供もしっかり産まれたのに
決闘裁判で敗北したら
マルグリットも死刑という
さらなるクソ展開が彼女に降りかかる。
ショット自体は1ショットで
シーンを複数にわけられる
視点の切り替えのテクニックにより
尺を大掛かりでゴージャスなショットで
満たすことができるテクニックが
うまく機能している。
社会問題に警報
男は女をトロフィーか
何かのようにしか考えていないし
都合が悪ければ
自分よりも弱いものとして扱う
この時代だからそうではなく
結局それは現代も変わらないという
なんとも皮肉めいた映画だ。
キャバクラとかの需要って
結局そこを歪めさせて
お酒つがせたりとか
そういうところにもあるし
大手企業の接待では
美人女性は必須だろうし
顔採用とか普通にあると思うし
能力よりも道具的な側面で
重宝する文化は現代社会でも
全然あると思う。
それに女性の給料が
男性よりも低い=男性に頼らないと
生きることができないルールが
絶対的に存在しているし。
ガラパゴス諸島となった
日本の文化及び経済においては
本作の主張は
不都合な真実だなぁと思う。
リドリー・スコットのポリコレの向き合い方秀逸
社会派だけど終盤の決闘シーンも無茶苦茶面白くてやば
とポリコレ社会派映画側面強いが
映画のタイトルになっている
『最後の決闘裁判』の決闘要素も
秀逸なのやばいです。
演技上手いマット・デイモンVS
個性派のアダム・ドライバー。
2人が甲冑着て馬乗って
めちゃくちゃ殺し合う。
馬も死ぬし
めちゃくちゃ負傷するし
見苦しさもある血みどろで
それでいてトドメもえぐい。
マルグリットの命も
かかってるし
最終的に負けた方の死体の
扱いもなんとも惨たらしく
リドリー・スコットの鬼才っぷりを堪能
と2時間半があっという間で
社会派的な面で問題提議も受け取って
映画でしか味わえないアクションに感動し
これぞ映画という喜びを味わえました。
コロナ禍で見逃さなくてよかった。
これを80代のおっさんが監督してて
やばいなぁと思う。
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』以来
アカデミー賞脚本賞受賞作品
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
脚本を務めたのは
マット・デイモンとベン・アフレック。
2人は共演したわけです。
今作でも
なんと脚本を2人が執筆。
今作では不仲な関係ながらも共演と
映画ファンとしては嬉しい展開でした。
あと金髪のベン・アフレックが
2018年に実際にアル中だったこと
苦しんでたし、
『ザ・ウェイバック』にて
アル中役演じててマジで怖かったのに
今作でも相変わらず酒ばっか飲んで
目が死んでて気持ち悪くて
最終的には自分が楽できる要素が
破綻してなかなか辛い展開で笑う。
どんだけ映画内で自虐及び
戒めているんだろうか。
hisSCORE
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 9/10
・映像のアプローチ 8.8/10
・映画の美術面 8/10
・キャラクターの魅力 8/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 8.5/10
85点
邦題は『最後は決闘裁判』が
正しいのではないか?
と思いました。
結局暴力で全て解決しようとする
野蛮な中世の人に対して
現代の人は
話し合いにて
しっかりと女性の地位向上に
向き合えますか?
と言っているような
言っていないような。
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12月初旬に
Disney+で配信開始なのでおすすめ。