「エクセレーントにto dieする生徒たちにテンション上がりました。」
$『A Little his REDEMPTION.』映画オタクの映画批評~season Ⅶ~-悪の教典
日本2012年日本映画日本
監督
三池崇史
(『殺し屋1』『忍たま乱太郎』『逆転裁判』十三人の刺客『ヤッターマン』)
出演
伊藤英明
(『海猿』シリーズ)
予告編
ネタバレ有りのあらすじ
舞台は日本の東京都町田にある私立高校。
英語教師の蓮実(伊藤英明)は、イケメンでがたいも良く、頭脳明晰。そして人当たりもよく責任感も強い。しかし彼は少年時代、家族を失っていた…。
朝一の職員会議で中間テストでの携帯電話を使ったカンニングが議題に上がっていた。
それに対策の案として、アマチュア無線部の顧問で物理教師である釣井(吹越満)と協力し、妨害電波を校内で流すことを提案するが、それが法律に触れることなので、却下されることになる。
生徒にもハスミンと慕われる蓮実。そんな蓮実を釣井は琴線に触れ、独自に彼の経歴を調べていた。
そして中間テストの時だった。カンニングは携帯電話が圏外になったことにより、不可能。
その中心人物だった早見(染谷将太)は、失敗したことにより暴行を受けてしまう。
早見は釣井を疑うが、釣井も早見に蓮実が何かしたと諭す。
そして娘がいじめにあっていると学校に毎日来る父がいたが、その家が火事にあう事件が異常な事件が起きる。また体育教師(山田孝之)にセクハラを受けた生徒は蓮実に相談をしたのだが、いつしか二人は肉体関係を持ってしまい、それをクラスの生徒に目撃されてしまう。
このことが公になるのを防ぐために蓮実は、校舎内の至る所に、盗聴器を設置した。
そして蓮実は、ある生徒と教師の秘密の関係を知りそれを利用し、また自身の秘密に触れたものを一人一人と…。
2012年11月10日映画館で鑑賞
レポート
つうわけで三池崇史監督と伊藤英明に久しぶりのタッグ映画、『悪の教典』を公開ソッコー鑑賞してきた。土曜日の深夜だけども、タイトルと伊藤英明に惹かれてか、たくさんの人が劇場にはいた。結構若い人が多かったね。
伊藤英明と三池崇史で思えば『スキヤキウェスタンジャンゴ』でもコラボしていた。
あれはまぁーごった煮西部劇としてスキヤキと名付ける程、むちゃくちゃな荒唐無稽の西部劇で、それはそれで楽しかったが、今回のは現在の『海猿』でドル箱スターに成り詰めた男が、今まで命を尊ぶことを多くの人に訴え体を張ったにも関わらず、今作では、自分の障害に成りうるもの全てを惨殺するという恐ろしいヴィランに変身。
爽やかな笑顔や、意味深な「グレイトォオオオ!!」からは想像もつかない程、生活感の無い自宅では全裸で過ごすというまさしく異常者を楽しみながら、演じているように思える。(笑)
今作の脚本も三池崇史で、一応本作の前日譚として、他の学校でも同様に人を殺したようだが、そちらは筆者は未鑑賞。
また原作もあるが、そちらも未読。
どうやら原作はかなり分厚い本のようで、それを2時間程の尺に収めるのは、かなり無理。
しかし三池崇史は、その重厚な教典をこれでもか!!とB級スプラッター映画へと書き換えた。
ありがとう三池崇史。
土曜の深夜1時に見るには、最高過ぎるB級エンターテインメント。
中盤までは、学園を舞台にしたある種の探偵と犯罪者の追いかけっこが繰り広げられるが、犯罪者のスマイルにかかりエクセレントに皆土の中に葬られる。
しかし後半になると映画は一転。
文化祭という最高に青春を謳歌する高校の前日の準備の為に学校に泊まる生徒たちを全員抹殺しようと伊藤英明が猟銃を手に取り、妨害電波を発しながらエクセレントに1人ずつ惨殺してくれる。
そう一人残らず、丁寧に。
ゲームのように死んでいく青春を謳歌する高校生たち。
その死に様は、自分のような鬱屈した高校生活を送った人間には、ご褒美としか言えない。
悪の巣窟とも言える高校が惨劇の舞台。反社会的ではあるが、とても喜ばしいこと。
だが絶対真似はしてはいけない。
B級映画という、低予算映画のパワーの発散として本作は最高である。
むしろ昔大量に作られたであろうB級映画、タランティーノやロバート・ロドリゲスが愛したであろう突拍子もないB級映画のパワーが後半では大爆発する!!最高だ!!
またその辺の山田孝之のポジションがマジで笑える。完全にネタ用に三池が気に入ってるから起用したようなもの。高校生のパンツの臭いを嗅いで名前を当てた直後のゲームオーバーは大爆笑だ。(もちろん会場中は誰一人笑ってなどいない)
ゲームオーバー、もしくはエクセレントをふんだんにぶっぱなす海外B級映画への謝辞のような展開に最高潮に笑えたし、序盤では、身の毛もよだつカラスの死に様やら、中盤では、現実か幻想か定かではない蓮実のアメリカでの修練もある。(ここはもうあたまおかしい。)
久しぶりに三池崇史キレキレだったんじゃねぇだろうか!?
結果的にジェイソンの如きサイコ野郎の伊藤英明は、To dieしそこなったエクセレントなやつに負けてしまい、御用になってしまう。しかしそれでも楽しそうに笑う伊藤英明は、確かに『時計じかけのオレンジ』の主人公のような純粋悪を描ききったと思う。
やはり三池崇史やりたいことやれてるし、映画愛も少なからず自分は感じ取れた。
最初から軽トラックを伊藤英明の愛車にさせたりして違和感をあえて写したり、染谷くんもガチで窒息死させられそうになったりしておりエクセレーント。
しかしこの映画本当にR15程度で良かったのだろうか?
自分はシネコンで見たけれど、シネコンがこんなに普及されなければ伊藤英明が出たとしてもこんなのアングラな映画館で俺たちのようなどうしようもない人間達が鬱憤を晴らす程度に大いに楽しめるタランティーノ的な映画だったと思う。
しかし本作は東宝が配給なので、近所にあるシネコンならどこでもやっているだろう。
そしてゲームのように命を軽んじる伊藤英明に15歳から18歳のような鬱屈した人々は感謝よりも憧れを抱いてしまうような事態には陥らないだろうか?
本来なら自分はこの映画18禁でも良いと思う。
なんせ人の痛みなどを切り取ったような描写はなく、むしろ人殺しが楽しく見える。またゲイシーンもあったりと全体的にショッキングで『告白』なんかより画的に刺激的だ。
言ってしまえば園子温の映画をポップでマイルドにしたような惨忍な映画なのだ。
それを「伊藤英明が出てるから見たーい」程度見てしまうことで、映画本来のオバカさを感じ取れず、不謹慎な映画!!程度で終わることも映画好きとしては哀しいし、倫理観の発達していない高校1年生が見て感化されてしまうこともあるかもしれない。
むしろ映画好きとして18禁になって高校生とのベッドシーンやらホモシーンさらにはもっと惨い頭木っ端微塵などの演出があった方が自分としては濃厚な体験が出来て嬉しかった。
だからこそ言いたいが、やはり東宝のような大手の映画会社はやはりエグい。これが原因で三池崇史に不満がいかないことを願いたい。東宝が悪いんだ。
あと原作との相違点や主人公がサイコパスではないという原作よりも劣っている点もあると思うが、青春を謳歌する高校生が惨殺されるB級映画であるということで、原作の映画化とは別物であると割り切って考えてほしい。
とりあえずありがとう三池崇史。
メモ得点メモ
7点
総評としては事態が極端に急転してしまう展開が、映画としては性急過ぎてしまい、そこからひたすら惨殺シーンの連続というアクション一辺倒が映画としては、見世物に走り過ぎたか?
ただとても印象的な映画なので、文化祭の出し物の中で死んで行く生徒たちはエネルギーとファンタジーからの死はテンションが上がる!!やはり一見の価値があるので、映画好きとしてはチェックした方が良いと思う。
ただ悪の教典としてはいまいち納得がいかないかもしれない。
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