『ミッション:8ミニッツ』(以下『ソースコード』)があまりにも筆者のツボにはまったので、ネタ的な記事を書いてみようと思う。
『ソースコード』VS『デジャヴ』
『ソースコード』と『デジャヴ』は似ている。
予告編が似ている。仮想世界に入ってしまうアクション映画としては両作は、ほとんど同じ映画だ。
だがしかし、厳密に言うと大部違うので、それを検証してみよう。
なんつったて『デジャヴ』は、仮想世界に入るまでもったいぶっている。
『ソースコード』は冒頭から仮想世界にぶっ飛んでいて、困惑する主人公と唐突に起きる爆破により、見ている側の気持ちを鷲掴み。
その後は、密閉された真っ暗な空間と混乱する主人公!!いわゆるミステリー要素もあり「リミット」なんかにも似てる極度の密閉空間に観客は、更に心を鷲掴みされて、挙げ句になぞの登場人物たちと謎のキーワードの数々。結果的に主人公は再度爆破事件の世界に飛ばされて、再度死を体験するというなんともソリッドでハードに突き詰めたオープニングだ!!
対して『デジャヴ』の方は、のうのうと過ごすおっさん(デンゼル・ワシントン)が火気系の事件を担当す警察官の為に、今朝方起きたフェリー爆破事故を捜査するという、何ともスローな展開。
敏腕なおっさんは、いつしか政府の特殊捜査に立ち会うことになり、まさかの過去の時間の映像を見るシステムに遭遇!!
んまぁーここまで30分ぐらい。
その間「ソースコード」は、自分の置かれた立場や、事件の背景などを知りながら、困惑する。
重要なキーワード「父親に電話させてくれ!!」が発動!!
『デジャヴ』の方では、事件の被害者の綺麗なねーちゃんが、犯人と関わっているために監視しているという。
まぁー大作にありがちなスローなテンポというわけですか。
ここで予算の違いとか顕著に出てるし、むしろSF映画なのかアクション映画なのかいまいちはっきりしない映画になってるわけです。
ようやく中盤で過去の時間に干渉するという展開や、マイケル・ベイが大好きそうな路上をその装置をつけながら爆走して他の車に激突しまくるという何ともバカ展開があったり。
その間同じ時間を繰り返す『ソースコード』の方では、まるでアクションゲームを何度も繰り返すように答えを見つけるべく、何事も素早く行動。ミスっても再度やり直しという、ゲーム好きにはたまらない展開。また電車にいる人全員に「てめぇーが犯人だろ!!」と当たり散らしたり、殺してみたり。(勿論次の8分では復活。)まるでRPGを切り取ったような面白さ。
さてさて終盤になるとおっさんが無茶をして現実世界から過去にとりっぷ。
デジャヴマシーンは全く以てデジャブじゃなくてタイムマシーンだった。(笑)
終盤ようやく過去の世界に行って、事件を解決の為に奔走するわけです。
いや。こうなったら完全に別物だ!!(笑)
終盤には、アクションゲームをタイムアタックするかのように素早い行動をする「ソースコード」
もうどちらかと言えば「恋はデジャヴ」のアクション映画版。
さてさてもうこんなんで「デジャヴ」は置いておいて、ソースコードのお話。
主人公は、脳以外は死んでいた!!という驚愕の展開。
ある意味尊厳死を臨むであろう状況。ソースコードを作った奴らは完全に主人公を道具と考えているという驚愕の悪役っぷり。見ている側は、主人公が人間として歩き回ったりしているのを見ていられるが、登場人物の上官にあたる女性などは、パソコン上に出る文字だけが彼との交信となる。
しかも試作型の装置なので、かなりトラブルが相次いでいた。
不思議なことにそのトラブルを主人公が解決するシーンまであって、観客をなかなか上手く騙している。良く出来ている。
ラストシーンへの伏線も上手いわけだ。
「コーヒーを誘うのを待っていた。」
ラストシーンでクリスティーナが言うわけだが、意外にも劇中で違う意味合いで主人公は彼女をコーヒーに誘う。
捜査の途中「携帯貸してくれたらコーヒーおごるよ。」
(笑)
これがラストに関わってくるとは思わなかった。
真相を紐解くのに電車内の人物全員を用いる。
何度も繰り返す時間の中で、主人公は自分の置かれた身を知る為に、仮想世界であるソースコードの中で、知恵を巡らせて、真相を知る。
作られたプログラムでしかなかったはずのソースコードだが、あの世界は別次元の入り口だったとは思わなかった。
実際、本作は何度も同じ時間を繰り返しているように見えるのだが、別次元に行きまくるお話が非常に正確な解説になる。
だがそうなると元々のショーンはどうなったのだろうか?
やっぱりプログラムという設定にして、最後は脳内とソースコードが合体したスティーブンスの天国ってことにしない?(笑)
オレは見終わった直後はそう思ってた。
結局皆死ぬ運命。
そういうプログラムにしても事件が解決する直前の爆弾犯(これが一番最初に思った人)との対峙でクリスティーナが無駄に関わって死亡、結果的にその8分は真相にたどり着くが皆死んでしまう。
クリスティーナだけは救ったと思ってたスティーブンスはクリスティーナの死を見届け、この輪廻を非常に苦しく思う。
設定でも、プログラムでも非現実でも良い。
最後はハッピーエンドで終わりたい。
映画とはハッピーエンドが望ましい。どんな自己犠牲でも悪い奴が死んでも、後味が良い方が良い。
現実世界では、事件解決ヤッホー!!とか言ってるけど、自分の意思では死ぬ事ができない主人公は、最後の8分は本当の死を幸せに過ごしたいと懇願する。
その最後の8分こそが、感動的なタイムアタックというわけだ。
電車内の人間も最後の8分を過ごすわけだが、それを主人公は率先して楽しい時間を過ごせるように努力。
何度も迷惑を掛けたクリスティーナは超良い女なので、この人と一緒にいたいなぁーと思ったので、とりあえずデートの約束!!気がかりだった父親にも電話して、主人公がずっと抱えていた問題を解決。(いやこの映画の優れているのは細部まで設定が行き届いていて水準以上の映画になっているということですよね。)、ついでに上官にも意味が無いけどメールをしてみるのだが、これがまた超SFな展開に発展。
終わってしまう世界を笑顔で過ごす乗客たち、最高の幸せを感じた主人公は、生命維持装置を切られてしまう。
全ては死という無に帰すかと思いきや、静止した時間が動き始める。
混乱する主人公は、神様の贈り物に感謝しショーンとしての余生をクリスティーナと過ごすのだった。
ただ現実世界での上官は非常に厄介な出来事に遭遇しているわけですが、ここでは人権問題が関わってきていて、現実には死んだことになった人間を人体実験のようにしているわけでして、彼女の判断は正しかったと思うんだよね。
この後のソースコードはどうなるのか?映画の内容同様。ひたすら繰り返されるのだろうか?
それは考えると面白くなくなってしまいそうなので、辞めておこう。
なんせ映画はハッピーエンドを迎えて終わったのだから。
この映画は非常に楽しい映画だった。
最後に一つ言えるのは、
『デジャブ』って映画は全然デジャヴュじゃないよね。
そういうことだ。
ネタバレ禁止の映画だと思うので、別途ネタバレしまくった感想を書いてみた。
また好きな映画が出来たらこういうことを書いてみようとおもう。
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