◎【81点】1917 命をかけた伝令【解説 考察 :TVゲーム演出底上げ】◎

1917 命をかけた伝令

製作

2019年アメリカ映画

監督

サム・メンデス
007 スカイフォール
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
ロード・トゥ・パーディション
アメリカン・ビューティー

キャスト

ジョージ・マッケイ
・はじまりへの旅
・ピーター・パン
・パレードへようこそ

ディーン=チャールズ・チャップマン
ゲーム・オブ・スローンズ

※チェックポイントに到達するとイギリスの名優が現れる仕様なので、
 ここでは紹介しないでおく。笑

あらすじ

1917年4月6日第一次世界大戦中のフランス。
イギリス軍は航空偵察にて、
ドイツ帝国軍がフランス北部の西部戦線を後退をしたが、その後退地には大量の大砲を確認。
この撤退は戦略的撤退であり、
撤退を追撃した兵士を大砲にて撃退する作戦であることを掌握。
しかしこの情報を最前線にいる1600人の兵士たちに伝えるにも、
電話線を断線しており、8時間後の明朝にまさに兵たちはその罠に突き進もうとしている。

将軍は、若きイギリス兵のトム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)と
ウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)を呼び出した。
トムの兄は、最前線にいるため、彼を救う意味も含めて、
地図を読めるトムに追撃作戦の中止の命令を託した。
そしてトムは相棒としてウィリアムを同行することにする。
ウィリアムは過去にソンムの戦いで功績を得た若者だが、
戦争から離れることもできたにも関わらず戦地に止まることを選択していた。

2人はドイツ軍が撤退した塹壕地帯や基地を抜けて、
民家で休憩を取ろうとした矢先、空軍によるドイツ軍の撃破した戦闘機の墜落にあう。
心優しいトムはパイロットを救おうとするが、
逆に彼に攻撃をされてしまい絶命。
ウィリアムはトムの思い出と指令の書類を回収し最前線に向かう。

2020年2月15日IMAX®レーザー/GTテクノロジー鑑賞 2020年9本目



ワンショット戦争映画という挑戦

第一次世界大戦中のフランスの戦場を舞台に、
1600人以上の兵士を救うため戦場を駆け抜けることになった若い兵士2人。
道中の2人をワンカットの映画のように、
延々とカメラを回し続け、まるでワンショット映画にした作品。

via GIPHY

もちろん映画はどこかでカットをして編集して、
正味110分程度の映画にしているわけだが、
いったいどこで合間にカットしているのかは、
見ていて簡単にわかるようなものではない。
あからさまに人の背中や人混みにカメラが回るのは多分カットの切り替わりでわかるが、

だがあからさまにシーンの変わりで、
ここはカットしたなぁ。

というのはわかるようになっているのだが、

その表現の仕方がまさにテレビゲーム

なのには映画とテレビゲームの優劣でいえば、
やはり映画の方が芸術性が高いという点で、
映画がテレビゲームの手法を逆輸入してしまうのか?
と少し落胆した。

TVゲームのような映画

一つのイベントや難所を乗り越えるとチェックポイントがある。
そんな映画である本作。

そこにたどり着くと、
イベントでイギリスの名優が登場し、
主人公と小話。

その俳優さんが、
冒頭の『英国王のスピーチ』のコリン・ファース。
それぞれ『シャーロック』のアンドリュー・スコット。
『キングスマン』などのマーク・ストロング。
『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチがいいとこでてきて、
最後には『ゲーム・オブ・スローンズ』のロブ役のリチャード・マッデンが登場。

一息つけるときは、豪華俳優が映画を盛り上げて、
それを知らなかった観客を盛り上げる手法も、
どこかテレビゲーム的。

特に印象的なのが、場面転換。
ステージをクリアしたかのように、木の幹をうつしたり、
空を写したりすると、
情景が一気に変わったりする。

似ているゲームとしては、
同様にシームレスでロード時間をなくし、
カメラを動かして、
メニュー画面以外は、
ずっとステージ画面にした作品であるPS4の『ゴッド・オブ・ウォー』。

こちらはファンタジーのアクションゲーム。
ゲームには戦争で第一次世界大戦や第二次世界大戦もあるので、

今作はテレビゲームの戦争ゲームのお手本として、戦争ゲームの底上げに
つながるのではないか?

むしろお手本と呼ぶにふさわしいイベントの数々があり、
今後開発される戦争ゲーム『バトル・フィールド』『コール・オブ・デューティー』
もしかしたら『メタルギアソリッド』などのゲーム作品が、
今作の演出手法を用いて、よりイベントシーンの底上げや、
ゲーム全体のシームレスとしての演出手法のお手本になるかもしれない。

娯楽産業を一つ上に押し上げる凄まじい作品だったと思う

アカデミー賞撮影賞受賞

今作で撮影監督をしたロジャー・ディーキンスは第92回アカデミー賞を受賞。

そりゃこの長回しを手持ちカメラではなく、
大掛かりな装置を使って色々撮影し、ゲーム的な多彩な映像、
例えば塹壕にある多数の死体や崩れる塹壕、
さらには空から堕ちてくる飛行機、
後半の燃える教会含めた街並みなどなど、
ゲーム的でイベント的で象徴的なシーンを巧みに撮影し、
それをワンカットの映画のようにまとめた天才的な作風。
シーンが始まれば息つく暇を与えない演出の数々。
どんなトラブルやミスも疾走感が強くて止めらない舞台のようなワンカット。
この映画が誰の映画なのかはあんまりよくわからない。
サム・メンデスの映画なのか?
それともロジャー・ディンキンスの映画なのか???

これは撮影の映画だったような気もするが、
そこにたどり着いたプロセスはサム・メンデスの映画なのかもしれない。

正直そんなに楽しくなかったが、映像特典の撮影裏はかなり見てみたい。

ある部分を切り取った映画にカタルシスを与えると、
どうしても『ゼロ・グラビティ』みたいになってしまう問題

今作の所感なんですが、
テレビゲーム、テレビゲーム言っておりますけど、
映画的な映画を通したキャラクターの変化や成長もちゃんと描かれているので、
ここまで高い評価を得ている点もあるのです。

主人公であるウィリアム・スコフィールドは、
妻がいるにも関わらず、彼女に宛てて手紙を書かない。
彼は戦場に心を奪われたPTSDであり、
妻のもとに帰る勇気がないのだが、
今作はそんな彼の心情変化を描いている。

その手法が、
まさかの現地の隠れ住むフランス人の女性と孤児の赤ちゃんとの
交流によって描かれる。
むしろそれが、彼の頭部の怪我直後のため、
彼の妄想である可能性もあるわけで、
彼の心の暗喩が戦場の状況とリンクし、具現化されたとも言える。
その中で、置いてきた妻のメタファーと戦場に帰ろうとする彼の闇が描かれるが、
任務を果たすという姿勢と、彼が諦めなかった理由は、
塹壕崩落で命を救ってもらった亡きトムの最後の言葉を彼の兄に伝える一心で、
任務そのもの1600人の命は、ついでだったように思える。
その思いと極限状態の中、
ようやく彼は自分自身の人生である妻と向かい合える覚悟を得た。

そういう意味では、
今作は、地獄のイベントを通した彼自身の再生物語であり、
『ゼロ・グラビティ』と同様のカタルシスに帰結する。

こういうイベント系の体感に近いカタルシスを観客にあたえる映画は、
やはり人間ドラマを登場人物で描けない代わりに、
自己の弱さとどうしても向き合わないといけないシナリオの行き止まりがあるようで、
今作はそこの部分をうまく越えたけども、
結局似たようなライド系映画の『ゼロ・グラビティ』に近寄ってしまうのね。

あと映像的なアプローチは
過去にアカデミー賞撮影賞を撮った『レヴェナント』にも似ていたような。

hisSCORE

・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 9.5/10
・映画の美術面 10/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 8/10
・上映時間と個人的趣味 8/10

81点

帰り道に人混みを避けるスキルが自然と高まったので、
この映画は傑作。

via GIPHY

すごい!!

あと本作からサム・メンデスらしさというものが感じられなかった。
特徴的なライティングはなりを潜めていた気がした。
そりゃあ舞台がほぼ屋外だからね。。。
その分イギリス的な切り口のネタ映画のような側面は高く感じられたが。
そこはなんか物足りなかったが、
サム・メンデスはすごい映画をまたもや作った!!
という点だけは忘れないでおく。

あとIMAX®レーザー/GTテクノロジーで見たけど画面サイズは対応しておらず。
普通の映画よりも大きくなっている模様だが、『ダンケルク』のようにはならなかった。。
もともとIMAXカメラを使った作品ではないからね。残念。
あと曇りの時しか撮影できなかったようだ。
曇りはだいたい一緒だからね。

created by Rinker
エレクトロニック・アーツ
¥1,282 (2020/04/05 12:09:07時点 Amazon調べ-詳細)
created by Rinker
ユービーアイ ソフト
¥3,168 (2020/04/06 12:04:08時点 Amazon調べ-詳細)

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA