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◎007 スカイフォール 2012年度109本目「シリーズとしては異質な文科系映画」◎

「ファスベンダーにはボンド役は渡さねぇよ!!オレだけがジェームズ・ボンドだ!!」

$『A Little his REDEMPTION.』映画オタクの映画批評~season Ⅶ~-007 スカイフォール
アメリカ2012年アメリカイギリス共同制作映画イギリス

監督
サム・メンデス
(『ロード・トゥ・パーディション』『レボリューショナリー・ロード』『アメリカン・ビューティー』)
出演
ダニエル・クレイグ
(カウボーイ&エイリアン』『ドラゴン・タトゥーの女』)
ジュディ・デンチ
(『マリリン7日間の恋』『J・エドガー』)
ハビエル・バルデム
(『ノー・カントリー』『BIUTIFUL ビューティフル』『海を飛ぶ夢』)
レイフ・ファインズ
(『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』『ヒットマンズ・レクイエム』『シンドラーのリスト』『愛を読む人』)

あらすじ
前作までのお話は完全無視し、イギリスの諜報部MI6の諜報員007ことジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は数多の任務をこなしちょっと老いぼれな古株エージェントになりました!!
イスタンブールでのこと。部屋に入ると何者かに襲われた人々がおりノートパソコンからハードディスクが奪われていた。そのハードディスクの中にはテロ組織に潜入中のNATO工作員の顔写真などの情報が入っていたのだった。007はパートナーのイヴと共にそれを奪った犯人を追いかける。
だが功を焦った指揮官のM(ジュディ・デンチ)は、イヴに電車の上でもみ合いになる犯人とボンドに狙撃命令を出す。撃ったイヴだったが命中したのは犯人ではなくボンドだった。非常に高い鉄橋の上から下の川に落ちるボンド。
そのままボンドは行方不明になり生死は不明になるのだった。
数ヶ月後、指揮官のMは、今回の事件により政府の査問会に呼び出されることになった。そして政府によって配属された男マロリー(レイフ・ファインズ)によって引退を勧告される。
Mは、事態の収拾をせずに身を引くことはできないと虚勢を張る。
しかしMに対して何もかからサイバー攻撃を受け、その直後MI6本部は爆破されるのだった。
そのニュースを聞いたボンドは、海岸での休息を終えすぐさまMの元に向かうのだった。
再度のMI6の諜報員としてのテストを受けるボンドだったが、思うように体が動かず成績も出なかった。しかしMの指示により現場復帰したボンドは自身の体に残ってたハードディスク泥棒から受けた銃弾を取り出し分析を頼み、その犯人が上海で仕事をしていることを知り、上海に向かうのだった。
2012年12月2日IMAXで鑑賞
2012年12月6日日本語吹き替えで劇場で再鑑賞
感想
ちょっとした解説。
というわけで007のシリーズ23作目が完成し、日本公開。
前2作同様ジェームズ・ボンド役はダニエル・クレイグが担当し、後2作も彼の出演は決まっているようだ。
劇場版007シリーズ生誕から50年の節目に当たる本作。
監督はこれまでアクション映画とは無縁な地味で渋く高評な人間ドラマを監督してきたケイト・ウィンスレットの元旦那のサム・メンデス。
監督作品数は意外にもとても少なく、1999年のデビュー作の『アメリカン・ビューティー』が初監督の映画なのにアカデミー賞を受賞してしまうという快挙を成し遂げる。
元々は舞台の演出家であり、イギリス人ではあるが、アメリカのニューヨークの舞台界では素晴らしいポジションだったようだ。
そのせいか映画監督作品は少なく、近年の『お家をさがそう』以外は話題作が多く。本作『スカイフォール』は3年ぶりの映画監督作品であり、大抜擢とも言えるメジャーハリウッド大作だ。ある意味では畑違いなわけです。
映画に切り込んでみる。
そのこれまでのシリーズに比べると実力派監督持ってきた!!という感じの本作。
しかし前作の『慰めの報酬』で若手なボンドが死んだ最愛の人のことを拭いクォンタムという組織に復讐を近い、新たなスタートを切ってどのような激しいマッチョイズム満ちあふれるスパイ映画になるか楽しみにしていた。そして海外での評価もとても高くシリーズ最高の評価だったので、とても気になる所だ。
だが!!
映画が始まると、前作までの流れは全て捨て去り、ボンドは普通のちょっと年取ったベテランエージェント。
え?
そんなボンドだったが、味方の誤射により痛手を負い、行方不明になってしまうのだった。
そしてMI6の指揮官であるMに対し個人的な恨みを持つ敵がMI6を窮地に陥れてしまい、ボンドは帰還するのだった。
あれーーーー。前作までの流れどこー?原作小説と同名の『カジノロワイヤル』で新たにダニエル・クレイグを選抜して、1からリメイクするんじゃなかったのー。
あれーーーーーー?復讐要素とかないの?恋人の未練はー?期待していたマッチョイズムはーーー?
あれーーーしかも今作のボンドとMの関係って上司と部下ならぬ、育ての親と息子って感じ?
あれーーーー。
一応IMAXで字幕版で見たものの念頭にある既存のマッチョイズム的なスパイ映画の思想と比べてしまうと全体的に物足りなく、またこれまでとの流れとは完全に違う異質とも言える非スパイ映画的な地味さが違和感を感じ、そこそこ面白かったが、いまいち自分の中のツボにはまらなかった。
しかしツィッターなどを見ても一同「傑作」と謳っており、海外の評価とも自分の感じ方を考えるとやはり食い違いがある。
うーーむ。『カジノロワイヤル』のちんこへの拷問を超えるインパクトもなかったしなぁー。ダニエル・クレイグしょぼいしなぁー。
ううううううむ。これはもう一度再確認しなくてはいけないなぁー。(『トランスフォーマー ダークサイドムーン』の時も納得いかなくて再鑑賞した)
サム・メンデスはかなり好きな映画監督でもあるので…。
頭を切り替えて日本語吹き替え版で再鑑賞。
IMAXで鑑賞した際は、中段というよりは前方の後方だった。
本作はIMAXカメラで撮影されたシーンは無いのだが、せっかくなのでIMAXで鑑賞した。
しかしもしかしたらちょっと前過ぎて、サム・メンデスの映像美学を部分的にしか見ることが出来てなかったのかもしれない。
二回目は画重視の鑑賞でちょっと後方から俯瞰しようではないか!!
再鑑賞の感想
シリーズ通して見ると映画として最高傑作
全シリーズを見ても映画の画的に見ても素晴らしい。
サム・メンデスらしい、屋内の照明をとても上手く使った画が山ほど設けられており、非常にバランスの良い画が山ほどある。
むしろ屋内のシーン、または夜のシーン、薄暗いシーンがほとんどであり、冒頭のイスタンブールでの一悶着以外は広い場所でのアクションが無い。
逆に言えば、スペクタクル巨編と考えるととてもスケールが小さい。
全体的に見ても冒頭以上のチェイスシーンは無く、ラストも小規模な攻防が繰り広げられる程度に収まっている。
やはりそれはそれで、少し物足りない。
逆にむしろサム・メンデスらしいとも言えるのが、シリーズで一番人間ドラマを重要視した映画だ。
シリーズ一番の中身のある映画だ。
本作は、シリーズを俯瞰しても随一の骨太ドラマが披露されると自分は思う。
そもそも007シリーズはピアースから入って、それ以前は『ゴールドフィンガー』ぐらいしか見たことないんだけどもね。
一応『カジノロワイヤル』で恋愛と新米と言う要素をフューチャーしたが、今作にいたっては、ボンドの出生の秘密やボスであるMとの信頼関係とも言えるお互いの絆。
さらには悪役としてはボンドの正反対であるMに怒りを覚えるものとかなり中身のある人間ドラマが根底にある。
更には新任装備調達係のQや従来のシリーズで補佐的ポジションであったマネー・ペニーも揃い、またMの引退に伴い新たなMの誕生もあり、完全な新規一転が披露される。
それなら特に前作の扱いはどうするんだよ!?という解決不能な難題もあり4年という製作難航な時期もあったようで、擁護し難い要因もあるが、批評家たちの最大の賛辞は理解できるし、映画を愛する人々が本作を最高傑作というのも妥当な意見だと自分は思う。
今作であるとおもったマッチョイズム的要素やコスプレの数々がお似合いな大スペクタクル(例:敵要塞攻略)などは、次作でのお楽しみとなるわけだ。
だが、今作であぶり出したのは人間同士の信頼だけというわけでもなく、これまでのボンドよりもダニエル・クレイグが演じるボンドは泥臭く、プレイボーイというわけでもなく、人間味が非常に強い男だ。
これまでの可憐でゴージャスというスタイルとは全然違うとも言える。誰とでも恋に落ちることなどもせず、妙なリアルがある。
仲間に誤射されて酒に溺れて不精髭をはやしたまま任務に出たり、実力が落ちてしまったり、実家に帰ってきて敵と戦ったりとどこまでも泥臭い。
しかしそれでもトム・フォードのスーツは最高にかっこ良くむしろよだれが出る程欲しくなってしまい、等身大のヒーローとして本作のジェームズ・ボンドは素敵なのだ。
そういう意味で本作はシリーズ最高であり、またサム・メンデスの起用はまさしくシリーズのあり方を変えてしまったかもしれない。
本作はまさしく異端であり異質である。
しかしその分派手なアクションが似つかわしくない。トンプソン機関銃とか撃てるのだろうか?ミサイルランチャー似合うのだろうか?レーザー銃は?などなど泥臭い彼には極端なガジェットが浮いてしまうという馬鹿映画好きの自分としてはちょっと残念だったりする。
また本当に本作にそう言った異質な要素が必要だったかだ。
自分的にはちょっと無しだと思う。
20作を超えるシリーズの作品で同じ俳優がボンドを演じる回数は7~1と随分ばらけている。
シリーズ最高の評価と興行成績を得た本作だが、クレイグのボンドが見れてもあと3本が限界かもしれない。ここでそういった心機一転をはかられてもそれが続くかはまた難しい話しだ。
シリーズ的に浮いてしまった場合、本作の評価は後々下がる可能性も出てくると思う。
あとは心機一転にしてはボンドが老け過ぎている。Mとの関係を成立させるにはもう少し若い方がすんなりドラマに入り込めたし、これ以降にも大変期待が持てる。
しかし今作のボンドは40代とも言える(実際44歳のようだ。)。サッカー選手で現役は到底やれない年齢だ。(でもピアースも49歳が最後の007だったようだね。)
40代の泥臭いボンドってなんか違うんだよなぁー。
吹き替え版と字幕版って結構違う。
吹き替え版と字幕版が大部違うのはまぁー皆ご存知だと思うけれども、今作はかなり印象違った。
映画の印象が変わっているのは初めてかも。
字幕だと全体的に平坦な感じで、状況を解説しているような感じ、ドラマ面の没入感も観客次第と言う感じ。
逆に吹き替え版は、意図的にドラマに焦点を合わせている感じで、より人間味の強い作品な印象が強くなっており、本作の主題がすんなり理解出来た。
字幕版は色々問題視されている戸田奈津子さんなので、ちょっと気になることだよね。
またボンドとMの会話シーンやボンドとQの会話シーンなどは、皮肉の言い合いが多く、これが映画のちょっとした優れた技法でして、お互い悪口を言い合うが本音では分かり合っているのでちょっとした冗談合戦なのだ。ウィットに秀でた会話というやつだ。
それが少ない会話シーンで披露されており、それがあるのも映画として面白い。
でもこれ字幕だと結構平坦で退屈な印象だったが、吹き替え版だと上手くニュアンスが出ており、この技法に感動出来る。
あとIMAXについてはやはり音が爆音なのが気持ちいい。
吹き替え版は通常なので音が物寂しくてね。
その分画の構図に集中できて、1シーン1シーンを非凡に彩られており素晴らしいよメンデス。
あとはこれは当然なんだけどもハビエル・バルデムがすごい。
完全に頭おかしいけど、やっぱり賢くて、Mへの愛に取り付かれた異常者。
もとMI6の敏腕工作員という設定も凄いが、彼の演技力は凄まじい。
CGだけども歯を獲った時の崩れた顔面が素晴らしい。
ちょっと『ダークナイト』のジョーカーにも似ていたが、初登場シーンの長々しい歩き語りはかなりすごい。ネズミの真似もやばい。どっちかっていうとクレイグ以前の007ぽくて、そういう隠れたオマージュも良い。
あとは、見ている側も回収出来ないと思える過去作のオマージュのコネタが凄く多い。
分かりやすいのは、ボンドカー。あれの脱出装置ネタは『ゴールドフィンガー』見てないとわからない。
幾重にもありまして、ファン感涙ものだと思う。IMAXで見た時は、付近の人と後ろのイギリス人が舞い上がってたよ。(笑)おれも笑ったけど。
あと気になったのはボンドの名前が本当にボンドだったのには驚いた。007同様通り名だと思ってたよ。てか本名出しちゃうスパイって変だよね。
でもここで完全にクレイグにボンドを襲名させたとなると、完結編に流れ込むという驚愕の展開とかも用意していたり。(苦笑)
メモ得点メモ
8
ここまで褒めたのに9点じゃないの?って思うけど、脚本に穴があるのとアクション要素が少なくてちょっと残念。
つかみはとても良かったんだよ。あの屋根をバイクで走るのってクソ難しそうだし、滝から落ちるのとか印象的だし。
クラゲのシーンはスタント大活躍って感じ。
終盤の火災をライティングにした映像の数々とかすごいよね。
でも冒頭の事件が唐突過ぎて、それの経緯とか不明だったりするのもなんかな。
総評的には大作映画なのに超文科系な映画だった。(笑)
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