監督
ドン・ホール
(『くまのプーさん』)
ディズニーアニメ映画で描かれるスーパーヒーロー映画
ピクサーで『Mr.インクレディブル』というスーパーヒーロー映画があった。
スーパーヒーローが実存する世界で、事故などの被害によりスーパーヒーロー文化が衰退し、禁止されるわけだが、その世界でさらなる悪が目覚め、元スーパーヒーローに復讐を行う奴が現れ、引退したヒーローとその子供たちが立ち上がり、スーパーヒーロー文化を再興させる映画。
いかにピクサー映画らしい、ブラックユーモアと大人向けが共存するアニメ映画。
それから10年後、時代は変わり。
なんとアメコミのマーベルそのものが、ディズニーの会社になっちゃうという10年前では想像できない世界に。
そんな中、ついにディズニー映画として、スーパーヒーロー映画誕生。
一応原作は原題の『ビッグヒーロー6』として1年間という短命ながら連載されたマーベル作品で、日本を舞台にしたアメコミ。
個人的には、マーベルとディズニーのディズニー映画という複合体が、面白ポイント。
またディズニー自体がピクサーを傘下にしてるわけで、さらに正確に言えば、マーベルとディズニーとピクサーの複合体って感じか。
ただピクサーほど、大人を意識した濃いドラマやカタルシスに傾倒しているわけでもなく、マーベル寄りのヒーロー映画だった。
感想
宣伝では、悪と戦うという側面を省いて、心のケアを目的に作られたロボットが亡き兄の喪失感を埋めるのを主題にしていたが、映画では、その喪失感を満たすために、兄の死の真相とそれを行う手段として、兄の仲間たちを科学を応用してヒーローに仕立てあげ、兄の死の真相を追う。というヒーロー映画としては、よくできた1作目になっていたと思う。
ベイマックスが出てきた直後は、ややオーバーな演出が目立っているように思えたが、個人的には中盤以降は、そこも平均になってきた印象。
全体的に笑いあり、涙ありの綺麗にまとまっていて、普通に面白かったし、期待以上にも面白かった。
ヒーロー映画としてのカタルシスの自己犠牲の精神をラストシーンにベイマックスが見せてくれて、その映像の構図が個人的にとても好きだったので、こういうオーソドックスな初代チームアップものを『マン・オブ・スティール』とかでも見たかったなと切実に思ってしまった。
ただアニメに特化した見て楽しめるコミカルさに特化しているため、ヒーロー映画としての力を使うものとしての苦悩などは省かれていたり、ヒーローが直面する問題よりも、主人公であるヒロの喪失感に焦点を当て、そこの空いた穴を埋める、温もりに映画は特化している。
個人的な趣味だが、ヒーローものとして、ミニマムで耐久性の低い敵が大量に出て、それを各々の個性をフルに使って倒すというシークエンスは大好きで、特に今作においてはそれが無害過ぎて、見ていて爽快でした。
またベイマックスが空を初めて飛ぶシーンも見応えたっぷり。
ハニーレモンは、なんか微妙だった。
あとは、なんと言ってもスタンリー!!
スタンリーがついにスタンリーが!!声もスタンリー!!
DCコミックのバットマンの要素もあった。
不満点としては、兄の死の要素の扱いが薄いような。
まぁそこを補完するベイマックスの要素もあるわけなんだけども、もっと生々しく兄の死の描写があれば、気にならなかったんだけども、どこか兄が実は生きていてって思うんだけども、敵も兄か?と思ったら違ったわけで、あ。そっちかってなって、そこ兄で兄が弟を守るために行動してたとかだったら僕は胸熱ってわけで。
ベイマックスの体型は赤ちゃんってより中年でした。
得点
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7.5/10
・映像のアプローチ 7.5/10
・映画の美術面 8.5/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7.7/10
76点
面白いとはわかっていたけども、期待以上に面白かった。
フランソウキョウはどうでもよくて、むしろ舞台はサンフランシスコでよかったです。
冒頭は『リアルスティール』でした。
あと映像が年々すごくなって、実写との違いも曖昧になってきて、デフォルメの仕方もマニアックになって、エロささえあるキャラもチラホラ。
冒頭の短編もちょっと動物を短命にしてしまうのでは?と思ったけども、短編なのにラストの転調がグッときて、泣いてしまった。
美味しいご飯は楽しい気持ちがあってこそ!!
主人公の心の変化をベイマックスとのハグを通して変化していく様など見事。
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