「登場人物全員クソ」
2016年アメリカ映画作品
製作
サム・ライミ
(『死霊のはらわた』)
出演
スティーヴン・ラング
(『アバター』)
ホワイト・トラッシュVS盲目元軍人ジジイ
『死霊のはらわた』シリーズや『スパイダーマン』シリーズの監督のサム・ライミの制作会社が送るアメリカンホラー映画。
監督はリメイク版『死霊のはらわた』を監督したフェデ・アルバレス
ちなみにヒロインのロッキーを演じるジェーン・レヴィもリメイク版『死霊のはらわた』のヒロイン。
本作は、全米の批評家から高い評価を得た作品で、北米では900万ドルの制作費に対して、10倍近い8900万ドルのヒットした作品。
これはサム・ライミ製作の映画の中では、日本のホラー映画のリメイク04年の『呪怨』に続く、大ヒット作。
ちなみに批評面に関しては、過去最高の評価。
さて内容に関して。
もう単純。
デトロイトを舞台に泥棒を生業とする若者3人(二人がホワイト・トラッシュで白人の貧困層)が、実は金を隠し持っているらしい退役軍人で盲目のジジイの家に潜入して、金を盗んでしまおう!!
という胸糞な内容だが、その帰還兵の盲目ジジイが、クソやばいやつだった。
という舐めた相手がめっちゃ強かったならまだしもめっちゃ○イ○だったという凄まじい展開。
まためっちゃやばいジジイなので、家もなかなかの作り込みをしており、脱出不能状態の一軒家を舞台に、ジジイと犬のペアVS若者という一軒家地下室付きでの短距離鬼ごっこがノンストップで行われる低予算スリラー!!
ネタバレ注意
もともと旅行中の金持ちを狙い、警備会社の身内ということで、ハッキング等せずに警報を止められるという優位性を利用し、重罪ギリギリの金額にするというかなりの計画性の高い奴らだったわけだけど、
舐めてたやつが最強だったという『イコライザー』という快作があったが、こっちは舐めてたやつが超サイコだったという悪夢!!
盲目だから大丈夫かと思いきや、心を病んでるやばい人で、しかも泥棒よりもやばいことしてる人だったという、ミイラ取りがミイラ状態。
最初から一人殺されて、デスゲームの開始!!
しかしこの映画、どっちも応援できないという欠点がある。
泥棒側は白人の貧困層で、劣悪な環境からの脱出を志しているが、普通の人から泥棒をしていて、完全に悪。
対する盲目の退役軍人は、もっとやばい犯罪者だったというわけ。
しかも劇中でどんどん罪状が悪化で、マジでやばいし、盲目とは思えない程、エグいことをいっぱいしてくれる。
特に女性が見たら、吐くのではないか?と思うようなレイプよりもおぞましい、ミルクを温めるシーン。
あのシークエンスは色々含めてきつかった。
また映画の冒頭がクライマックスで、フラッシュバック形式になるため、そもそもよく段階で複数VS個の構造がわかるのに、わざわざ、1対1で敗北状況からフラッシュバックするのに必要性は感じなかった。
また若干おかしなこともあり、さすがに軍人と言えども麻酔薬で寝るだろ?というとこもあった。特殊部隊出身とかだったのかな?
さらには、盲目でも強いという、デアデビルを彷彿させるが、盲目視点での相手の位置がどこだか音で判断するというようなVFXを交えたシーンがあるわけでもないし、極度の緊迫したスリラーとしての作風を貫き、携帯電話のバイブのシーン等でのスリルは最高潮だったが、盲目要素が映画的に活きてるかというと最高というわけではなかった。
むしろ追われる側の泥棒側が同様の暗闇にされた時の、展開が結構冴えていた。
また目が見えなかったら鼻が良くなるのでは?
という変な邪推をしてしまって、そしたら女性なら匂いとかで分かったりするのかなぁと?
音よりも匂いが、あったりしたりしないのかな?と思った。
ただ個人的には、ミルクのシーンと換気口の2階から1階に落ちた後の姿の痛々しさが生々しくて印象的だった。
あと序盤のドローンを利用した1階から2階への流れるような高さをドリーの映像は、鮮烈だった。ウェス・アンダーソンぐらいしかやらないことをドローン使うとできることに感動した。ウェス・アンダーソンもドローン使ってんのかな?
犬が死なないのも良かった。犬は本当に悪くないからね。
得点
・脚本のユニークさ濃さとテーマなど 7/10
・映像のアプローチ 8/10
・映画の美術面 7/10
・キャラクターの魅力 7/10
・音楽 7/10
・上映時間と個人的趣味 7/10
72点
ラストでの無罪放免は、アメリカの帰還兵への一方的な英雄視なのかもしれない。
ホワイト・トラッシュの絶望感と帰還兵の闇がぶつかる恐ろしい映画。
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